おかあちゃん いないとさみしい ちま猫ちゃん だっこだっこよ ねるにねられぬ
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蜜柑なら小粒が甘くて僕は好き小粒な未完も鈴なり目指し
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ひとりの世界がいいのに 他人より優れていると思いたい矛盾
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貼り紙で嫌がらせとはよく見れば文字も言葉も稚拙なもので
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この頃はよく夢を見る大抵は回廊にいる地下牢だろか
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薄日さす ひむがしの空を見上げたり ひとつ伸びをする ねこが見ている
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立ち枯れたうへはんぶんの鉢の菊 ふんばりどころまうすぐ冬至
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ねこおやつ おわって自分は 昨日のパン かるくトースト ハチミツバター
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きたながれ いえの洗濯機 つかうなと 仕事がえりに 深夜のランドリー
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寒かろふ冷たかろふて冬の町 家の中には温き火のあれ
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花の手いれ 始めしきみに ひかりさし やすけきときや 歌の生まるる
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セリアにて 猫の毛チャームも ゲットだぜ このこを連れて ライブ行こっか
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離れると分かり初めてこの町も素敵だったと気づく年の瀬
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きのこ雑炊 ごぼうサラダに 抹茶クッキー 明日の夕焼けも 一緒に見よう
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ひさびさに チビ猫抱いて ねむりまし 夢じゃないよね 冬のお楽しみ
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筋肉痛 輝きの日々を 通知リマインド 三日前なり 解散ゴルフ
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夜明け前の染め抜いたような藍色の空は裾から白みはじめる
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加湿器の 水の分だけ 飲み込んで 渇きを癒やすか 冬籠りびと
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みつめあう ねことねこのて にぎってる このまま永遠に ここより永遠に
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みどりごのはだかの足がぶらさがり 若い夫婦のリュックの脇に
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記憶なく 履歴もなくて 宅配の 配達予告に 疑心暗鬼す
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家向かう 重たき腰を ひっぱたき 帰らぬ理由 仕事に求む
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半身をせり出したまま躊躇する寒い閉めたい猫を蹴り出す/すぐ戻ります
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炊きたての米に納豆、炒め物のせて醤油をまわし食う夜
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道場の 畳の上で 静座して 目蓋の裏に 走馬灯の如く
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一番星 あかるく我を照らしゆく 奈々さん わたしの一等星よ
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孫登場 雑事さておく重力は 相対論的 時空のゆがみ
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雪時雨 孤独ひとしお 胸を刺し 心の血ハートのなみだ 溢れかえれリ
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楓より十は倍する手のひらの プラタナスの葉枯れて別れを
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消え残る畑の雪と霜と霧春みたいだと晴れた空見る/寒いけど
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