母さんのマニキュア落とした指を見て いつもありがと なぜ言えぬのか 

虹をこえきみとふたりでここに居てヒトで居たいと叫んでいたい 

眠いから落書きをして過ごしてる猫は胴長として有名 

大好きな人と結婚したはずなのに私の言葉は雑音と成り果てた 

この街は秋の匂いになりました 君の街にも秋はいますか? 

僕たちのなかに存在するだけの「ふつう」にみんな殺されている 

「刺す」きみはか細い声で包丁を握ったけれど何もできない 

一瞥いちべつを くださるだけで、わたくしの 海を満たしていった冬空 

ふふふ、て含み笑いの横顔を見てる私も幸せですよ。 

戦場で歴戦のスナイパーになる妄想しつつ講義受けてた 

「八文字を超える言葉はありません」歌人が拒絶したものの例:ルンペルシュティルツヒェン現象 

飽きたとか 飽きてないとか関係なく 鍋に残ったわずかなカレー 

残業続きの深夜の職場死ねと死ぬが行ったり来たり 

未来都市サイバーひしめく虹色が照らす地べたが未だ灰色 

モニターで重油にもがく海鳥の海ここもあり狂うまであり 

「無事着いた」LINE着信自分から「安心ですか? 今居るそこは」 

生き延びた今も希死したあの時も変わらず美味しいあなたのごはん 

あのころの癒えぬ飢餓感もどかしく草をんでも肉をんでも 

ねえどうか、後ろを向いてくださいな、多分私ゆっくりしか歩けないのです 

寝る前にブレックファーストブレンドの紅茶をいれる程度の悪女 

「暁の、海老名サービスエリア LOVE」クラゲに彫られた刺青タトゥーに見惚れ 

花を渡すか渡さないかとかでなく香りも知らないままでいたい 

波のおとがききたい のまれたいわびしくてつめたくて色のない 波の 

レシートに順番に刻まれていたのを忘れてて手で擦ってから思い出す 

マックで女子高生が話すからあなた私の前に座ってたよね 

暗い夜茶 きっと苦いかなしい遠い花の雨の匂いが 嫌な 

今日の知見:ごま油越しの世界はさよならに似た深い紅色 

君の苦しみを分かった気になって泣きそうになるのをやめたくて 

私、まだ、言葉遣いが下手だから、ちょっとごめんね、抱きしめさせて 

爪を切り幼くなった指先で 起こすプルタブ麦酒は苦い