ひとつない何かを消したアイコンを僕のうとうとスマホをいじり
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その手すり まだ要らぬと 言いし夫 いまや一番の サポーターとなり
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さくら花儚き色の風が舞う幾年いくとせ過ぎて覚悟のせつな
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訃報来し 翌(あけ)の朝餉(あさけ)に ジャスミンの 匂ひは立ちぬ 泣けと如くに  /挽歌
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冬眠を解かれて未来 問う声は「フェイス チェインジ?」選択迫り
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内外に 果たす役割 見えてきた 「八十億分の一はちじゅうおくぶんのいち」日本
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ランデブーと古い言葉がお似合いの今夜の月と木星の距離
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画面より  あふる不安を  押し消して  スマホ置く手に  夢を見にけり
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遠き日の家族染み入る大鍋の埃り拭えぬ一人暮らしに
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川底に竜宮城があるといふ河川敷にて菜の花を摘む
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耳コピで奏でる歌は楽譜より別の音符となりても響く
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いい大人無邪気に意地悪などをする徳を失う事知らないの?
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ワンピース仕立てる母を見た頃の穏やかな日々遠く過ぎ去り
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にくきもの止まらぬくしゃみ 日曜の朝のピンポン トランプの顔
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無花果の枝の武骨にそよそよと水仙の白 病める身の春
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窓からの陽射しは膝に熱を射て 開けっ放しで車ころがす
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掲げたる民族自決の正論は 常に戦の火種を孕む
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いにしえから 川辺りに立ちぬ桜の樹 老木なれど ひたむきに花咲かす
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移ろいの四季の描写に飽きは無く自転車辞めぬ理由の一つ
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飯くれとやかましいので猫さんに旅に出ろよと戸開け促す
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駆け回る 子を先生が 追いかける その歓声よ 未来に続け
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完全側臥位法とかしてみればあれよあれよと砂に滲むよに/100ml
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故知らず 人恋しくて 茶を啜る 彼岸の明けの 薄日さす午後
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プッチーニの アリア聴きつつ 濡れ縁に 爪切りて居き 春の彼岸に
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フォークルとトワ・エ・モアと赤い鳥 プレイリストはこれだけでいい 
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空腹のこの喜びをたれぞ知る飽食牢を釈放間近
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よるりて オリオン低く みなみ空 誰かが云った また来ん春と
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息絶えたように眠って夢の中なぜに初恋いまさら未来
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プラス5度 二月思えば 暑いはず 寒い身体は もう春仕様
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たくましき 大樹に注ぐ 月あかり 零るる泪 乾かし給ふ
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