さよならを言葉にせずに就職し恋のおわりをごまかした夜
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睡眠のお供に飲めぬ酒そそぐカルーアコーヒー優し苦み
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そとは雨 電話にでない あなたなぜ ふと耳をつく レイニーブルー
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引き出しの奥に見つけし手紙束 十九の我らとしばし語らう
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繁盛の昼間食堂その隅で相席するは振り合うも縁
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窓の下、水面にうつる月を見た。「きみもとらわれて、不自由なのね」
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気がつけば ラジオ体操 直前に 真隣にくる あなたが好き
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百日紅 風に散りゆくもも色が終わりを告げる夏と初恋/題『終』
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空仰ぐ 並んで光る 二重星 いるかはくちょう 天翔ける星
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筋痛よ髪の毛だけは手出しすな女の命痛め付けるな
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りっぱにはなれない、いつも恥ずかしいわたしのままでそっと寄り添う
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急に思い出す『忘れ去られる くらいなら いっそ憎んで ほしかった…』/昔のCM?歌?
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旅立った愛犬思い涙する虹の橋にて再会望む
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ハーブティー飲めば誰かと繋がれて 夜のラジオは私に寄り添う
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静かなる緩徐かんじょの調べ 泣いているのか笑っているのかモーツァルト
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半額のはまちの刺身を買った時心の中でスキップするの
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「こもれびがじゃま!」って自転車のスピード上げるきみの背にこもれび流れる
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初心者本 ブックオフ行き決定だ 初心に返り我流つらぬく
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ふるさとを離れてよかった13年 彼の人生知らずにすむから
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計画をしたらやり遂げたくなってやれないことを責めてしまうね
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人肌の温かささえ知らぬ吾にそれを教えてくれたあなた
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おはようの声をかけても目は合わず返事も惜しむ思春期の女生徒ヒト
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人足りず過酷を極める労働環境 何も変わらずまた夜が明ける
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ズルズルとすする深夜のカップ麺 罪と癒やしとカロリーの味
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好物の刺身と梨とぶだうには 喉詰まるまで食い付く亀よ
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秋風の到らぬ里に宿もがな思ふことなく月を眺めむ
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扇風機だけで凌げる午前中夏なんだろうか秋なんだろうか
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楽しみは 待つと長くて 嬉しさは 過ぎると彼方 星の輝き
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たまにはね、健康志向ヘルシーぽいことやってみる 秋限定のスムージーとか
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好きな人ならば余計にその顔を思い出せぬは恋した証/題『ポエマー』
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