氷の下をひそか流るる水の音今は健気に春を抱えて
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救いとは苦しみの果て「ほんたうのさひはい」さがす『銀河の図書室』
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許されて安穏感ず関係を持たず久しき月日流るる
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二位通過どこがどこやらわからぬもホッと安堵の「がんばれニッポン」
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病院の帰りに寄った公園で、「結婚したい」とふんわり思う。
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静寂しじまさす電球色に夢うつつ元気ぐるぐるパンツは回り
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犠牲者の数字は言わずタンカーが来ない場合のガソリン価格
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陽だまりの たんぽぽひとつ 春が来る 小さな風が そっとゆれてる
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庭の木が 雪を被りて 花景色 寒さの中で 得した気分
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ソラリスで優雅な老後を暮らしたや BWV639聴き(ハピネス殿へ返歌)
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往き方は調べたけれど間に合わず 疾うに葬儀が始まる刻や
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砂塵より 花粉舞い散る 舗装路の 公的工事の 適正を問う
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地方都市 人を招いて 原資とす スポーツ芸術花盛り
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朝餉にて ミルク浸せば クロワッサン 腕に残れる みどりごの重み
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歳甲斐の寂し 明け暮る空蝉の子安貝かな つばくらめ舞う
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傘の花色とりどりに揺れる朝六年生とゆく通学路
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諧謔ユーモアと 忠恕おもいやりさえ あればいい  世界平和は かくも易きに
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波に落ち波に消えにし人々の安らかなるを祈るほかなし
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まっすぐに 切られし町を歩みゆき 曲がる心の 行き場なくなる
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努力など誰も見てなどいないこと分かりつつある二十代なり
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玉の緒の 果無はかなきことを 忘れゆく  身を置く処 満ち足ればこそ
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指さえも軽やかに舞う春装の笑う君の背伸びやかで在れ
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ハウスにて出番を待てる苗障子 待ちわぶ蝌蚪かとの揺らす青水
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待つよりも永い時過ぎ邂逅の みそひとみっけ 夢かくれんぼ
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水やりて ミモザのご機嫌 聴く朝に ひとつ増えたる わがルーティン
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毎日の何が一番楽しみか以前は呑むこと今眠ること
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レンズから図鑑から世の解像度どんどん上がる足を運べば/自然観察
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哀しみはわれにもあれど濃さゆえに福島行きの遅くなりにし
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一時間に一本しかない田舎駅 古食堂にてタンメンを食ふ
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ぽっかりと中央白き寄せ書きの端へ端へと人の寄りゆく
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