戸が開くと逃げてみよかと猫が寄る雪と寒さにたじろぎ回る
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セーターにくっついてきた愛猫の白い毛取らず一緒に連れてく
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変わること変えることなどできないとあきらめたとき親子になった
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削れゆく鉛筆走る音さえも染みゆかむかな 雪の白さに
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「生きてたら儲けもんだよそれだけで」心配性の母が笑った
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額付け欅の古老に身を託すただこうしているだけでいい
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かんばしく 色鮮やかな 草餅を  こしらえ送る 九十の祖母
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寒けれど 寒さの中に 風情あり  ため息一つ 気霜きじもに変わる
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もういいと人生はそう返せない神が返せとおっしゃるまでは
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バイソンの群れ荒れ狂う只中でその一頭と眼が合う刹那
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夏、アイス 冬、缶しるこ ねだられる 娘と散歩 1歩進んで2歩下がる
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子や婿の仕事始めに残された 我に今日から初場所来たり
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孫送り届けてうつろ帰宅せば 忘れピクミン 輝きて在り/アイコン変えました
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「おなかちゅいた」の ねこに ひとくちおやつやり そのまま二度寝 月曜の朝
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二十年前はたとせの歌はあの日を連れて来ぬ 若気の至りふと苦笑い
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どの人も無駄だと知りつつとりあえず 行列並ぶパワースポット
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しゃっくりをしながら泣いてる吾子の背をポンポンできるだけの左手
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賑やかな孫らの歓声来てみれば指さす先の部分入れ歯よ
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放課後の音とにおいが好きだった心パンパンだったあの頃
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煽る鍋 言の葉チャーハンてんこ盛り具材は採れたてスパイス効かせ
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同世代訃報の多き昨今を馬耳東風に、生きてみている
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バレンタインに何もらえるか考える暇はいらないもうインシュリン
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春風の運んだような筆跡で 顔も知らない君に恋した /創作短歌「手紙」
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取り替えし電球色の懐かしき 暖かきやら 心ぼそきやら
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摂食が 出来ずに倒れ 入院中 ナースと関わり 自我を取り戻す
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大井川鉄道夢の吊橋を渡れば夢のよう夢ん中
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かーてんを あけるとチビ猫 おりてくる 「ひめべっど」なのよ おきにいりだよ
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絶版の歌集をさがす 白樺の林のような古本屋にて
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天気図に早も台風一号と… まだもう少し冬に浸らせて
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夏のはあれほど厭うたアイロンをまめに掛けてはほっと暖取る
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