ミモザ咲く 作家の家で 打合せ 穏やかな夜 黄色が映える
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ダージリン 疲れた体 染み入って 香り佇む 夜の事務所に
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使うたびライトがついて動き出す北窓に向く健気なミシン
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「おちょこ」とふ名前をつけたと友の言う猫を眺める眼差しに愛
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雑音を吸い込みながら降るけれど雪は白色静かに積もる
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見慣れない 寝癖つけ走りくる吾子の 涙の跡を見ぬふりし抱く
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駅向かう 人の流れる 窓際に 猫のびやかに 欠伸をひとつ
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お日様が照らす窓際暖かく眠気に負けた午後の現文
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結露、結露 滴るしずく拭えどもパッキンの黴ニタニタと黒し
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「おーいお茶」妻に呼び掛けてたなんて 今は爽やかオオタニさん
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車窓から景色流れる冬空に旅鳥くの字ゆっくりと過ぐ
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密やかに文化なるもの永訣し滑稽な世に澄まして混じる
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一面に白き寂寞降り注ぐ庭にくれない差す寒椿
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わたくしと 2匹の猫も 歳重ね 健康のこと 気遣うように
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夕映えの富士を拝める2階窓樹木が伸びて姿を隠す
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極寒の風に吹かれて喫茶店 ハイビスカスの紅茶二杯で
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(株) 歌ノロジー「海の底から宇宙まで」潜水ロケット開発しなきゃ
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ヘリの音空より爆ぜる争いの気配再び終わらぬ不安
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深爪の気づかぬうちに仄の痛き齢かさねて左薬指
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好きだった。ただそれだけさ。 美化された別れの言葉は似合わないから。
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二十歳頃 サンダル履きでT定規 カッコいいと思っていたふし/成人の日に寄せて
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亡き友と 同じ名前の 菓子食す こんな気持ちで ひとり頰ばる
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限られた逢瀬愛して愛されて夜明けコーヒー飲む暇なしで
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薪は爆ぜ驢馬の吐息が白くむアンデスの峰ケーナが渡る
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窓からの 寝たきりの空 肺病みの 熱におぼろも 冬の層雲
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若干も人に成りたり歩みそむ おのが開きし 扉の幸あれ
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かえりみる父の霞は風に散り いま確かめし あしたの標
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帰省せし長女と妻のならびたつ台所より夕餉の香(か)流る
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まだ入院中につき 短歌は リハビリとして自由に書く 
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海まではとどきはしない純白のあなたの羽根を羽ばたかせても
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