有明の夢とぞ憶えし逢瀬なら月満つるまで夜桜に泣く
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落ち込んで 項垂れている 首に触れ ラピスラズリの 青を手渡す
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親を子のようにおもう日 崖っぷち、だけど愛して家事をしている
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よわい十八迎んとす愛犬 気に掛ける日々 噛み締むる日々
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月もなく 猪口に映るは 闇ばかり  ひらりとりし 花びらを呑む
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春を編む文字の飛び込みはっとすは闇夜に詠みしやさしこころね
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物寂し きみに与えし ひと匙に 今や恋しき 張りすぐる乳
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散歩道人なき家の庭先に倒れた枝に芽生えた蕾
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恋したらどんどん歌が出てきたが鬱になっても歌は出てくる
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大松明 燃え上がりけり 二月堂の 軒の垂木の 焦げむばかりに /二月堂修二会大松明三月十日
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迎撃を 巧みにかわし 爆撃が 原発襲う 修羅の果てなり
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明るめの歌が書けなくなったとて今を読む事それしかできぬ
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置けば泣き 抱けば我が腕握りたり ときの重さを決して忘れじ
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大富豪 政策杜撰 金任せ 「No」いろんある鷹派 爪隠しおり / 常句>冗句
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システムをつくるでもなく工場の白い案山子になりきれもせず
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ゆびきりの 白い小指に ふれもみで ほぞを噛む夜 幾日数え
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もうとんと掻かなくなった子の部屋に 失くした耳掻き五本現る
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悔しくて怒りに震える時にこそ 馬鹿丁寧に文字を連ねる
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不可能を墨で上塗り葬れば焼かれし辞書の生き生きとして
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キリギリス蟻のどちらを生きようかこの人生の選び難さよ
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今日が来た春眠覚めて眉重く牛乳パック傾けて飲む
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引きこもり 解決されず 三十年 今形変え 孤立死となり / 孤独死 ≠ 孤立死
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戻らない時を思へば相反す 静かに眺む珠の寝顔を
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八雲立つ出雲出どころフライパン 咆え猛るなり火災報知器
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面白い冗談を言えば、また肩に触れてくれるのかもとか思って。
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あと一歩君に届かぬ恋心花と散りけり高三の春
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スーパーで通信障害 手作業の レジ 賑々にぎにぎしく長蛇の列なり
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のり弁が冷めてしまった長電話。伯母のリハビリ、とても順調。
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別々の道もまっすぐ進むならいつか会えると皐月の晴れよ
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ねぇ聞いてダウン羽毛コートがへなへなよ洗って台無し「んもう家着ね」
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