背にけはい手持ちぶさたの店員と胡蝶蘭たつカウンターひとり
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ライブ服 昨夜決まりて 体型は キープするべし 体重はいいから
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垣根越え 山茶花さざんかの花 べにさして 含羞はにかむごとく 路地にこぼれおち
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短歌すらむ気が失せるほどえた心振り切りまた筆を
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ワンショット「ナイス天才!」呟いて小さな仕事も真摯な腕で
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夜十時街灯のそば通り過ぎ追い越し消える自らの影
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言の葉の大海進む俵船 七副人は乗り込めますか
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スカートの下にジャージの女学生体いとえてよろしき事よ
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ささやかな誕生祝いのあて先はたった二ヶ月先のワタクシ
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雀との距離が縮まった気がして逃げる彼らの鳴きまねをする
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はからずも 歌人の選に漏れおちて 我が身に言問う 『死にゆく言葉』
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いつの間に 車内ダウンの 人だらけ ブレザー1枚 JK潔し!
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もし僕が消えたとしても貴女ならきっと誰かと笑っているさ。
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道すがら他人の庭に咲く花の名の調べ方考えていた
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整えた爪 トップコートの艶 小さな丁寧が 心を助く
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十日間風呂にはいれず父帰るせめて洗車をしてから迎ふ
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一定の周期でやつてくるポケモンブームにふりまわされクリスマス
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木枯らしに吹きさらされてバス停の朝の寒さと晴れやかな空
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苦しさを抱え込むのは我一人 きみがきづかぬあいだにいこう
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楽になるために赦すのか 眼の前をただ茫漠と暮古月逝く
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仮置きの 老眼鏡の 行く方の 一時間後に 見失う件
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冬空に オリオン光る 寒さゆえ はく息白く 夜空に消える
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焼きそばの湯切りで麺をぶちまけたシンクを眺めどうしたものか
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背伸びして 宇治行き特急 たしかめる 真冬でもいい 行くんだきっと
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年の瀬にふみのあてさきかぞへつつ 薄墨いろの白菊しらぎくを見る
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3℃冷たい雨の日曜日 36℃のプールで泳ぐ
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ピークなる疲労の夜に浮かぶ星やさしいオリオン私を照らす
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ガンダムのプラモを買った玩具屋おもちゃやも消えた故郷の静かな師走
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二軒分 家事と介護を こなすには 知恵を絞りて 手抜き息抜き
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夜ふかしがこんなに楽しいことなんて もう死語となる「花金」たの しむ
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