花は散り 桜の珈琲淹れる朝 淡きにほいに 満たされていく
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高々とメトロノームの如く手を振りつつ君は路地に消えゆく /想い出は飢餓の如くに
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「重たいか」心配そうに母の声 荷を持つための我が手なりしも
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電柱の上にハローと鳴くカラス僕のハローを学んで鳴いた
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春の雨 思う存分吸い込んで 一斉に萠え立つ樹々の歓喜よ
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風の音で目覚めた朝は手を伸ばし毛布のなかに春を連れ込む
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桜咲く路地は夕暮れぼんやりと僕らはいつも世界のとりこ
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自宅にて 花見弁当 広げれば 雨には勝てず されどつまの笑み
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道端に アスファルトの 隙間にも ふまれてたんぽぽ ひらいてたんぽぽ
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無垢な笑み失う怖さ憂ふ世を 悟られぬよう笑みを保てり
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葉桜に 新たな明日へ 導かれ 風にさらわれ 君にさよなら
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セルフレジ 行列できて 人のレジ 日祝日は それもいいかな
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血の色に染まりて蕊や 散る桜 連理の枝にゆくへぞ問はむ
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まほろばの 階段の下 遺書遺す 「もう疲れた」と どこに消えたか
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子の爪を切らうと新聞ひろげ知る土屋文明賞立ち上がり
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知らないでモヤっと不安でいるよりも 学んでしっかり不安でいたい
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思はでも過ぐせるものをなかなかに面影追ひ春の夜の月
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この春は花より蕊のこころして落ちゆくみぎわ水面の揺れて
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待ちわびし 花咲く春は 巡れども 黄泉竈食(よもつへぐ)いの 君は帰らず /挽歌
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満開のあとの名残りの花咲かす黄緑ピンク恋人桜
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保育園の担任妻はピタリ当て足掛け五年つかんだ人事
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死ぬ事に不服は無しと豪語せし 我の服薬手のひら一杯
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一夜漬け叶わぬゴルフスウィングのYoutubeなど彷徨いており
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カスハラに困り果てるもその人の神対応に胸はざわめく
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五分でも瞑れば楽の摩訶不思議何も知らずに生きてる不思議
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ちいかわの お猪口で酒を呑みほして はちわれかわい ついもう一杯
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2時間余の眠りにて飛んでイスタンブール目覚めれば晴天あさひ眩し
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さみどりの 紡錘形の 莢の内 黒き実放つ 天竺の香(こう) /カルダモン原産地天竺
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口語歌と 文語の歌と 一目見て 「位相語」の如く 違う語彙の差
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マンションの三階までも階段を登った花びら廊下に散らばる
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