罪咎つみとがをしばし忘れし散り桜 何人なんぴとの上分け隔てなく
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群青のスーツに笑みを貼り付けた青年がゆく四月一日
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ただいまと扉ひらくとおひなさま おかえりなさいと母のまなざし
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帽子かぶりベンチコート着てマスクして杉林下のゴミ収集場へ
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西行の歌をそらんじ老夫婦 桜尚舞う羨む我に
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漱石がかつて座った縁側にじっと佇み春風に酔う
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焦点の揺れる駅舎に目をそらし騙し絵のように君と知らずに
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 公園へ 誘われし春 にぎわいて いつしか夏の 夕暮れ想う
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「そのままでいいと思うよ」そうやって僕じゃないほう選ぶんですね
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枝垂れ梅 香こぼれる 春月夜 酒酌み交わし 花の宴  
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二時の列「クジラ」のあとの「ラーメン」で決着つきて煮干しも薫る
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子供らの歌聴きながら家事をする 今日は花曇りのち雨の土曜日
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生まれたての萌黄が笑って風が吹く わたしは春を深く吸いこむ
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無垢な笑み失う怖さ憂ふ世を 悟られぬよう笑みを保てり
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消えた短歌思い出してはメモに書きまさに推敲二つ三つ四つ
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花筏かたち変えつつ揺れゆれて たれか棹さし運ぶ泡沫の夢
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啓蟄も 虫も見かけぬ この土地に 蔓延っている ショウジョウバエ ※温暖化と「土」や「緑地」の減少か?
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明日といふ 日がなきことは 夢ならで 逝きて帰らぬ 君を悲しむ /挽歌
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だんだんと脚の痛むを尋ぬれば昨日歩きし一目千本
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「今日は四月六日ですね 今年も一年よろしくお願いします」/三十一音届く
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春仕様 猫と私も 衣替え 言いつつ寒く ストーブ囲む
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バンザイで新入生を迎え入れ白き花咲く梨の木々らは
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母と妻のアッシー君を済ませたり 眼科へ耳鼻科へ歩けや、歩け
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朝の路 愉しさぎっしりランドセル 躍る足どり 踏み出す一歩 /入学おめでとう!
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恋の文 墨と硯の摺りし音も無邪気な君の笑みへ途切れて
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押すとすぐ売り切れだけど有難き夜のチャリ疲れスカッシュと消ゆ
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気がかりな景色を抱いたお土産は吾の胸ひらく鍵のいろどり
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丸美屋のたまごふりかけかけたならミモザの花がご飯に咲いた
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満開の桜に溶けて見上ぐれば知らぬ翁も我と並びぬ
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菜の花は今茹で上がり厨には蒼き香りと春が拡がる
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