庭先の五葉松にも花咲かせ音なく積もる束の間の雪
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耳たぶの冷たさをなで身をすくむ 君乗るバスを待つ停留所
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いつの日かウイルスみたいな言霊で人の悪意を浄化したいよ
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桃いろのプリマのごとき梅の木の燃える想いを冷やし雪ふる
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やわらかく煮える卵に託すなり ごめんと言えぬ私の愛を
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手指だけは妣譲りだとすべすべの六っつの手のひら姉と見比べ
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無償とか正解だとかもういいの 私のペースで明日は呼吸す
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眠りつく直前に見るブルーライトあなたの言葉声のする文字
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けふの夢 帰らぬひとにて満席のバスに遅れて挨拶などし
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ちさき手を 伸ばして池に パンの屑 群がる鯉に 孫あとずさり
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入滅は昨年だつたと知つた日のこたへあはせのようなスワイプ
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小春日の温もり去った公園で 雨にけぶブランコが揺れ
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この部屋に占める「私」が増えた日の 少し大きくあくびをする九時
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付けふみを 結びつがえて 時を待つ 雲が流れて 弓張りの月
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「マシュマロが好きなんだつて」日曜日はじめて遊ぶきみたちの頬
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つつましさ ほのかに香る 品の良さ 梅園に立ち 吸い込んでみる
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着いたよと山頂やまいただきに歓喜する死がそのようでありますように
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恵方巻 ばっさり切って皆で分け だって色々食べたいもんね?
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窓外に 息のむ程の 白き富士 ベストショット狙い 車内彷徨う (身延線より臨む)
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つかの間の 陽に照らされて 木々の枝の 雪落つる様に 春を夢見る
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サヨナラはいくたびかしらあったけど真の終わりの予行演習
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逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ これ以上嘘をついたら総理になっちゃう
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「オレンジのスノームーンよ」出窓から夏目漱石的に伝えむ 
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ありがとうその一言は泣き笑い陰と陽とを併せ持ってる
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あまりにも大判ぶるゆえ混雑の一万一千(点)「東京アプリ」
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のらぬ日に一駅前から朝散歩向かい風のに鼻歌をのせ
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自販機のペットボトルが水筒に名前を変える午後の仕事場
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十八歳じゅうはちの我らに教えし「たけませか」若き助教授リタイアと聞く/<撓み、傾斜角、曲げモーメント、剪断力、荷重>の頭文字
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かじかんだ指が何かを教えてるひとの絶えた二車線のみち
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聞き逃し ラジオ深夜便 朝に聞く 昭和の匂い  我、娘となる
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