シャボン玉 タバコの煙 お線香 白く吐く息 胡蝶の夢や
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離れてるから俺の代わりにそう言ってくれたストール三年目/寒くて登場
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目に映る錆びた線路の世界線 未来は無数vs僕の決断
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三十路にて 初めて知りし 秘匿なり 今際いまわの祖父と 韓国戸籍
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何ゆえか父が私にくれたのはヘミングウェイの老人と海
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どうせまたAIでしょと思うたびこぼれ落ちてくときめき感動
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図書館の駐車場にてつかのまの歌よみねむり歌よみ暮れる
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バックミラーの夕やけ空はあとわずか「帰れ」コールのいいふうふの日
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ユーラシア 端と端との 言の葉も  電子の波で 今ぞ伝わる
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帰りても家に入れず冬の宵ママ友の車びどうだにせず
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東京に逆らえない新潟県東日本は終わってないのに
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落ちた葉が絨毯みたく綺麗でも足を滑らす危なき歩道
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初雪の すっかり消えたハレの日に 我いざ進めん 冬支度をば
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しゃぼん玉 刹那の命かがやけり 我の命もかくあらまほし
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小手先の スキームなぞと 曰うは  枝葉を眺め 幹を眺めず
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ジャリジャリと響く足音聞きながら、抱いた赤子が駆ける日思う
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子を預けひとりで出かけ 紅葉と、子ばかり見てた日々に気が付く
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食べるべきものと食べたいものは何故一致せぬのだこの世の不思議
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友招く 理由は散らかる 部屋掃除 すると言いつつ 風呂場に隠す
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手作りが数枚売れるミニライブ一歳うへのあまいうたごゑ
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田舎よりすべてが勝ることもなくこんなもんかよ都会のイルミ
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寒空をくぐり冷えたる君帰り ストーブ前の妻をずらしぬ
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君は何?あなたは誰?と生涯は真白きままに下降してゆく
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群青は  田園に死す  醜くも  サヨナラだけが  強がりなんだ
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頂いた値段が高めの珈琲コーヒー豆が好み合わない時の無念よ
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雪舞いし 夜半の名残りを 仕舞わしめ  春に華持て 君とまみえむ
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惑星を桜器おうきに七つ入れ飾る 金、銀、ピンクは星のかんむり (銀紙の惑星ですが)
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あのひとの 子を可愛がり 恨めしく  思うわが身の はしたなきかな
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赤信号 ぼぅと眺める その先の  街路樹濃ゆく ワインレッドに
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飲み足りず 君を誘って ウイスキー プライベートで 気取らね二人
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