心にもない雨がふる花がちる憂き身はともにながれて海に
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キツかった ウエスト少しユルくなり 「痩せた?」「いや違う」『ゴムがのびたの』
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猿沢の 池の畦(ほとり)の 暗がりに はつかに動く 鹿の角見し /春宵の奈良鹿
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経済が 能力有無を 決める今 追いやりましょう 貴方は貴方
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もちゃもちゃと歩く仔犬のまんまるいおしりを眺む転ばずにゆけ
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そこだけが許されたようにはしゃぐ子と一人でいるかのような母親
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うわのそら春はハートのたがゆるみ満月さえもうわすべりする
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春ゆけば蕊のやうやう紅らみて幼な子愛でるときの過ぎゆく
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谷風が雲海消して炎暑降る真昼夢見る池ノ谷[いけのたん]かな
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殿様トランプ大統領の 舌の裏には舌があり 振り回されて それも世の中
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罪咎つみとがをしばし忘れし散り桜 何人なんぴとの上分け隔てなく
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帽子かぶりベンチコート着てマスクして杉林下のゴミ収集場へ
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ただひとり抱き締めたくて君のこと たぶん恋ってこんな感じだ
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漱石がかつて座った縁側にじっと佇み春風に酔う
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焦点の揺れる駅舎に目をそらし騙し絵のように君と知らずに
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 公園へ 誘われし春 にぎわいて いつしか夏の 夕暮れ想う
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バッグ抱えデイの窓辺貼り付く義母に くるり背を向け気づかぬ振りを
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枝垂れ梅 香こぼれる 春月夜 酒酌み交わし 花の宴  
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手の届く間合い頃合い腑に落ちてまったり詠めば蘆雪の絵筆
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夢の中 ぐらい良い夢 見たいもの ピンチ連発 寝ていられない
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子供らの歌聴きながら家事をする 今日は花曇りのち雨の土曜日
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若き日の烏が残し泡沫の揺れる湯船に微睡の宵
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生まれたての萌黄が笑って風が吹く わたしは春を深く吸いこむ
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無垢な笑み失う怖さ憂ふ世を 悟られぬよう笑みを保てり
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過信せず 予断許さず 生きるすべ 守り破りて いとし人間
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帰り道 青いインクの 言の葉が やさしく沁みる やさしい雨と
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春ゆきて蓮華の池に降るはなのひかり揺蕩う ささなみの立つ 
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春嵐も花粉も過ぎて神経が落ちつきそうな季節は近し
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おかえりと むかえてくれた 猫はただ ご飯を待って 私より飯
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薄雲を通り無影の朝の日が満開梅をこんもり照らし/デフューズ
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