春まつり終えれば街も工場も戻る寒さにふるえるもよし
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若き日の烏が残し泡沫の揺れる湯船に微睡の宵
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カーテンの隙間に光るきみの笑み 決してこの子を戦に送らじ
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もしかしてこれが最後の桜かもそう思いつつ観ればなお佳し
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いささかに 「サザエさん」とは 違う世で 令和になりて 甚だしかり
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春の夜に 紡ぐぬくもり 憩えるなら 今もほどけぬ 花かんむり
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おかえりと むかえてくれた 猫はただ ご飯を待って 私より飯
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暗き世は 愛しき世なり あと少し 「力」蓄え 日の出を待とう
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瑠璃や藍あかく咲けざる紫陽花に降る雨沁みて土染まりゆく
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大好きな君の先生別園へ別れと出会い四度目の春
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花冷えの 雨降り出でて 悲しみの ふたたび返る 君が四七日(よなぬか) /挽歌
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図書館へ 花舞ふ路をはや足で 君いるかしらん ひかりの窓辺
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名物のおみやげお菓子個包装 明日あすの君への口実を買う
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満タンの 灯油を燃やす寒き日の希望うすめる春の初夏の日
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四つの葉のオキザリス春あの空へ赤きラッパの花のおはよう
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背中から両腕回し抱き上げる日々の吾を置き父旅立ちぬ
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今日までを過ごした仲間に手を振った 永遠とわの別れになる予感秘め
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キツかった ウエスト少しユルくなり 「痩せた?」「いや違う」『ゴムがのびたの』
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猿沢の 池の畦(ほとり)の 暗がりに はつかに動く 鹿の角見し /春宵の奈良鹿
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経済が 能力有無を 決める今 追いやりましょう 貴方は貴方
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もちゃもちゃと歩く仔犬のまんまるいおしりを眺む転ばずにゆけ
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そこだけが許されたようにはしゃぐ子と一人でいるかのような母親
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春ゆけば蕊のやうやう紅らみて幼な子愛でるときの過ぎゆく
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殿様トランプ大統領の 舌の裏には舌があり 振り回されて それも世の中
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罪咎つみとがをしばし忘れし散り桜 何人なんぴとの上分け隔てなく
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群青のスーツに笑みを貼り付けた青年がゆく四月一日
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ただいまと扉ひらくとおひなさま おかえりなさいと母のまなざし
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帽子かぶりベンチコート着てマスクして杉林下のゴミ収集場へ
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漱石がかつて座った縁側にじっと佇み春風に酔う
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漬け丼を半分食って茶を入れる鮪の赤身白む窓際
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