記憶ではこんな軽口言わぬ人 増えた白髪(しらが)に思う歳月
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あやうさの静寂にひそむ春隣 AIといふ君の歌きく
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馬鹿げてる歌と滴と夕やけと眠る夢バナ東大受験
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春風が吹いて香りと思い出の切ない化学反応起こす
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見え透いた落書き捨ててありのまま鴻鵠らしく大空に翔べ
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冬の風 圧倒している 太陽や 暖房弱め 二月晦日(みそか)に
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自由とか民主主義とか対話とか 無くなったのか 元から無いか
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温かい湯船に浸かる 泣きながら刺さった言葉を一個ずつ抜く
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土温み 駅ロータリーに 下草を食む 鳩・雀 カラス横切り / 訂正しました
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お決まりの席で過去問にらんでた子の笑顔祈る 春の図書館
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失って 得ることもあり 戦後日本 賛否もあれど 支えたりけり / 微力ながら
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どうしたのなぜ箱の中に寝ているの外はざざ降り時間が止まる
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トム・クランシーが失業しそうだと思っていた頃が懐かしい
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さうかもう、下の子だけと行く園のヤマアカガエルのひとみはつぶら
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階段を一個飛ばしでいく春の初出勤のをのこの背中
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ドキッとす下卑た雑言ふりそそぐライフル乱射の狂気に似たり
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自然界 般若の顔を 見せる今 先進国が 道筋示す
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煮込みつつきみがシチューに聴かせているアイネ・クライネ・ナハトムジーク
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家族間 近所付き合い 格差あり 解消されず 転がっており
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オイとだけ愛犬を呼ぶ祖父なれど目を細くして皿に水汲む
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いいねだけ溺れて仕舞えば落とし穴 歌力が濁る空っぽ色に
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落とし物 気付かずに去りゆく背中 「待って」のさき声も届かず
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雛壇の人形は 雨声うせいを聞きつ しづかに宴 氷雨ひさめの弥生
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眠ってた春服そっと起こすよに 陽光の差すだまりの部屋
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伊丹発福岡行きの定時便 洗濯物干す我を見下ろし
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言の葉は鏡となりて映りけりいましの涙胸に鎮まる
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揚げたてのカツを喰らへばザクザクと奥歯のあつた歯肉にささる
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師の夜も長いだらうか『山月記』人虎の交わり忘形の友
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死ぬまでに 出したい声があるのだよ イケボといえば速水さんでしょ
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生き死には 我の事なれ つゆ知らず 明日の命を 願いし噤む
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