脱衣所の 鏡がやけにくもること 私の元に 冬が来たこと
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犬さまよ もともとそこは オレの位置 かせがぬくせに 調子のるなよ
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忘年会ただ酒呑んで酔いどれて 湯舟で爆睡溺死寸前
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底に少し テイスティングすれば 想いが回る 銘柄はなに?
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もう一度春琴抄を読み返す眼科手術の十日目の夜
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この頃はよく夢を見る大抵は回廊にいる地下牢だろか
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立ち枯れたうへはんぶんの鉢の菊 ふんばりどころまうすぐ冬至
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七草や鏡開きや節分と一年分をまず書いてから/来年のカレンダー
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カーネーションと 南天欲しいと 願っても そんな大それた 望みじゃないよね(ダイソー)
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ねこおやつ おわって自分は 昨日のパン かるくトースト ハチミツバター
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音楽は響く周期があるみたい彗星みたいに僕の心へ
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世の中の 値上げブーム うらはらに 病院界隈 八割赤字
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しゃきしゃきの玉葱喰らうつわものは毒に倒れて枯野の夢に / 玉葱中毒の恐れあり
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金色のイチョウはまだまだ落ちもせず辺りを明るく照らすかのよう
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薄暗き早朝散歩のお供にはヘッドライトとネックウォーマー
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八本の腕に見惚れるくすの木に「エイタム」などと名付けてみたり (ヘブライ語で「隠れ家」)
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小説を 書いてみたいと思うけど 書き方調べる 私は不向き
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満ち満ちた陽ざしの中の紅葉をきらめかせては過ぎて行く風
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またひとつ君を知るごとに深くなる呼吸を人は愛と呼ぶらし
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風散れる イチョウ並木の 向こう岸 彼女は消えた 冬を残して 
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ゆっくりと汀踏み往く神の足 足うら響く黄昏の音
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十日間風呂にはいれず父帰るせめて洗車をしてから迎ふ
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寒空の下でゴメンね洗濯機ザブンザブンと稼動中です
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ひとりだけ住む人の手で丁寧にただ撫でられているカーペット
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お会いする 機会は今年 最後かな 今年最初の 良いお年をと
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仮置きの 老眼鏡の 行く方の 一時間後に 見失う件
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手持ち花火持って走って少しでも光と夏を 伸ばそうとした
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いているギターの曲に遠い日の絃の感触かえる指先
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寒いから 今日はやめよう 寒いから あとからにしよ 寒さに勝てず
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秋深み干天続きに冷雨降る三浦の野菜も喜び居らん
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