残雪の庭にはあれど日向にはすでに福寿草一輪あらはる
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忘れない 君はここにいる 受け継ぎし 孫のしぐさに 君生きており
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仕事柄常に眼精疲労ですおでこグリグリまるで拷問
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南洋の日本兵らの陽除ケ帽 今園児らのうなじを覆ふ
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「美味しいね」顔見合わせ息子と孫 その一言で満ち足りる食卓
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今週の乱高下する血圧はひとまず忘れカラオケに行く
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親四人看取りしあとの暮らし向きいずれは終わる穏やかな日々
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かすがいの 子どもがあっても いなくても 互い離れぬ 磁石がいいの
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西風が 雲送り出し 室内に 晴れ晴れ曇り 晴れ一瞬曇り
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細胞のひとつひとつの震えさえあなたのせいにしたくなる恋
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町内のスタバは異国のバル化してガラスづくしのそとにふく風
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母と医師姉妹のように会話するナースステーションカウンター越し
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並列で春夏秋冬って書くことに抵抗したい雪国の人
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鴨南で蕎麦を覚えし四十路過ぎ 君が馴染みの店に手を引く
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その人の目にとまりなば炎上の 掠め去りたる安らかの 翳
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黒板の隅に描かれた怪物が話しかけてくる五時間目
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わたくしを付属品だと軽んじる直ぐに困るさ電源コード
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高い位置 備えられしは 吾が祖父の 仏典経書遺影なり
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日常と非日常 その合間 普通の生活復興の日
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白皿に 赤きマグロの 色映ゆる 遅き昼餉に 足りて街行く
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植樹した ミモザに今朝の ご機嫌を そっと尋ねれば 枝揺らしおり
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春を編む文字の飛び込みはっとすは闇夜に詠みしやさしこころね
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物寂し きみに与えし ひと匙に 今や恋しき 張りすぐる乳
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散歩道人なき家の庭先に倒れた枝に芽生えた蕾
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恋したらどんどん歌が出てきたが鬱になっても歌は出てくる
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大松明 燃え上がりけり 二月堂の 軒の垂木の 焦げむばかりに /二月堂修二会大松明三月十日
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迎撃を 巧みにかわし 爆撃が 原発襲う 修羅の果てなり
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明るめの歌が書けなくなったとて今を読む事それしかできぬ
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蔦の這うひかりに鏡うもれいる うちに眠れる人おだやかに
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置けば泣き 抱けば我が腕握りたり ときの重さを決して忘れじ
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