Utakata
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葉に残る春の名残りを洗い去り五月の雨は緑を濃くす
25
初孫の 我をもっこに ひょいと載せ 野良の仕事に 連れゆきし祖父
21
ひたむきに生きた証が散らばった服や文具の配置に宿る
13
待ちぼうけ 指で乱した水鏡 濡れたこの手を如何にせむかな
13
早朝の植田に映る山影を踏みしめていく
烏
(
からす
)
が一羽
16
父さんの言いたいことが分かるのは私だけよと母さんの声
15
にょきにょきと立派なアスパラ顔を出す 昨秋の施肥のお陰なら嬉し
15
似た
形
(
なり
)
のまったく別の雑草として人混みにまじる夕暮れ
15
我ひとり温めるための紅茶淹れ ため息ついて孤独を嘆く
11
風
薫
(
かお
)
る
皐月
(
さつき
)
の空に遅桜人目もあらでひとり散り失す
10
苗代に雪消の水を流し入れて高嶺に遅き春は
来
(
き
)
ぬらし
16
シャッターを開ければ燕風に乗りふわり飛び来るまた翻る
24
膝痛み あちらこちらに 通院す 仕方がないね 年頃だもの
18
勤め終え 今日の夕餉は 冷し麺 まだ風涼し 明日から皐月
9
水音の透ける煌めき細やかな窓辺の鳥の歌うさえずり
12
火事花
(
カジバナ
)
と忌まれ手折れぬタニウツギ 謂れ知らずも
屋
(
や
)
には飾れぬ
15
そこどいて一般図書の915 立ち読みしてる背にかける圧
8
縮むのが母の歩みと知ったとて なにも返せず何も残せず
11
涙ぐむ AIの組む推しからの 正しく重い正論受けて
8
ブックオフ買いたき本を見つけるもセールは明後日(から)嗚呼節約家
8
文庫本十冊売りて 原田ひ香 百円足して連れて帰りぬ
8
気がつけばもうすぐ五月 慌てつつ予定立てるもまた一人旅
8
ぽつとぽつ 草木が「降るぞ」と噂して 私は散歩の
踵
(
きびす
)
をかえす
23
暗幕を閉じてはじまる理科室は星のスライド尾を曳いてゆく
19
「ゴミ・タバコ・拭き紙・等を・捨てないで」トイレに書かれたリズムをまもって
10
風冴えて水に煌めく日の光嵐畏れず花より凛と
7
生きるのは稀、大仏拝む800年
(
心あてに 折らばや折らむ 初霜の
)
置きまどはせる 白菊の花 /029/100/凡河内躬恒
7
ベランダで 陣地争い オセロゲーム 黒のハシブト 白の干布団
8
病みて知る 健常なる日の
傲慢
(
ごうまん
)
を 今なら添えし心病むひと
12
明日には もういなくなる お別れに 思い出すのは いつもの笑顔
7
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