啓蟄に 野の草花も 色を増し 春のうたげの 準備中
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平日の 午前十時 駅近は さえずり靴音 子等の歓声こえあり
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さくら花散るを誉れといくさ場につぼみの学徒数多帰らず
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かすがいの 子どもがあっても いなくても 互い離れぬ 磁石がいいの
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西風が 雲送り出し 室内に 晴れ晴れ曇り 晴れ一瞬曇り
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細胞のひとつひとつの震えさえあなたのせいにしたくなる恋
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目をそむけ 知らないふりを したけれど じわじわ怖く なりゆく世界よ
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町内のスタバは異国のバル化してガラスづくしのそとにふく風
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母と医師姉妹のように会話するナースステーションカウンター越し
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並列で春夏秋冬って書くことに抵抗したい雪国の人
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鴨南で蕎麦を覚えし四十路過ぎ 君が馴染みの店に手を引く
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その人の目にとまりなば炎上の 掠め去りたる安らかの 翳
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わたくしを付属品だと軽んじる直ぐに困るさ電源コード
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今すぐに持ち物検査して下さい机に憎悪がはみ出ています
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高い位置 備えられしは 吾が祖父の 仏典経書遺影なり
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日常と非日常 その合間 普通の生活復興の日
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白皿に 赤きマグロの 色映ゆる 遅き昼餉に 足りて街行く
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嘘じゃなく約束でもない寄せ書きの余白に春が着地している
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植樹した ミモザに今朝の ご機嫌を そっと尋ねれば 枝揺らしおり
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詰んでいる寒くて辛く悲しいと言うあてが無くなるとはこれか
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春を編む文字の飛び込みはっとすは闇夜に詠みしやさしこころね
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夢血るる狼ねずみガブリがぶっ幕は引き分け共に子がをり
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歳甲斐の寂し 明け暮る空蝉の子安貝かな つばくらめ舞う
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PCもスマホも持たぬ野球ファンほんとにないと困惑の淵
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傘の花色とりどりに揺れる朝六年生とゆく通学路
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風止んで 瞬く空や 暖を取り スマホ立て掛け 聴くドビュッシー
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母の肩 めば上手うまいと 褒められり 亡き後に残る 感触寂し
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孔雀くじゃくたち 野生になりて 逞しく 子孫を増やす 南の大地
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今朝はまた気圧配置に救われた昇る朝陽よ我の援軍
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枯れ草の 生い茂る地に 風吹きて 復興の種 蒔かれたりおり
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