肝っ玉母になれぬを責めつつも 手羽先煮込む鍋の静けさ
15
諦めを覚悟と呼びて生きてゆく この身はすでに森に降る雪
48
凍空に 遠く聞こえし鉄の音 始発電車に一日ひとひ始まりぬ 
25
呑んだとき「旨い」と云つた酒の名を刻むで求む義父誕生日
14
味噌汁の汁の旨味の疲れとれ落ち着きこころさといもあるか
14
午後10時 罵声発する 君がいる 翌朝君が ハグして「ごめん」
14
待ちわびて 靴ぬぎかけの 足もとに  すり寄る愛猫 ギュッと抱きしめ
14
新月の そこにあるかと なぞる指 ほんの一瞬 触れられたかも
14
終電が過ぎて深夜を埋めてゆく誰かが動かす 鉄のうなりに
14
月下げっかなぎ 水面みなもに星が うつれども 下半分は 風前に
14
その刹那手中に何があるのだろういろんな候補が浮かんで消える
14
ワイマール超民主主義国家 多党で澱む国会に しびれをきらせた国民が、「彼」を選んだ
14
雪晴の空気吸いこみおもひそむ古都につとめていたかの女史を
14
御仏の御導きこそ無かれども孤独に耐える心を下賜され
14
終電に間に合ったねと哀しみに行き先告げず運びゆく夜
14
どこからか 投げられてきた そのカイロ 寒いと言った 僕のためなの?
14
平日の車窓を通した河川敷 投球練習芝は冬色
14
あれこれと 地域クーポン 使ったら 得したはずが 気づいた浪費
14
あちこちにチラシ看板恵方巻き 節分前にお腹いっぱい
14
諦めと度胸が身につく四十前しじゅうまえビビり散らかす明日も見えるが
14
「大丈夫」「全然平気」「待てるから」深夜の駅前雪だるま一つ
14
早朝の 家族忙し 洗面所 お湯になるまで すこし一息
14
生きていていいのかしらと萎縮する心なき娑婆冷たき世界
14
伝書バト荷も重くなる寒きふみふるさと目指し低空飛行
14
末娘のくれし毛糸の靴下を大事に履きこしがつひに穴あく
14
股越しに降る雪ならば昇るはず「ぐぐぐ重力」僕らを縛り
14
電線が空を縛っているために 天使が泣いて還るのを見た
14
贅沢の限りを尽くす午前2時  明日の仕事を生き抜くために
14
成果に自信はないが 継続はできる好きなこと 今日も続ける
14
氷点下6度の夜を越えた朝 カップを取った指から解けそう
14