そんなとこいてはだめだとカメムシをしてはだめだと猫を叱った
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嗚呼今日はカメムシがいる戸に床に頭上に服にシンクに椀に
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群衆にもまれるなかで僕らだけ手をふり分かつ深いサヨナラ
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赤いちいさな 南天の実の 愛らしき 下に見ゆるは ヒラドツツジか
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この道でよくすれ違う人だけど挨拶はなくたまに目が合う
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久しぶりに ピアノに向かう 想うままに 鍵盤を打つ 郷愁ノスタルジック
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読み人のない本風に数ページめくられるまま木の葉舞い散り
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店先に並んだ花はどれもみな きれいだけれど値段ついてる
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雨戸開け、南の空にオリオン座 冷えた夜風は肺を清めて
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暖かき 小春日が差す網戸には 群れ来るカメムシ我が物顔で 
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おかあちゃんだけが げんきに おどってる あさごはんの おしたくお支度しながら
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枯れ草の土手にまだ咲く小さき花小待宵草朝陽の中に
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コーヒーの粉がほわほわ膨らんで きみの笑顔を咲かせる香り
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お祭りの夜に賑わう端っこでラムネの瓶は夏を見送る
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テレビにて 氷川きよしきーちゃんを見た 励みになる 今日が一番 まだまだ若い
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はしゃぎぶりなにか可愛い嬢ちゃんと言えばまずいか宰相だしな
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明日から 雨だと知れば 青空も 日差し富士山 より愛おしい
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幼子が私の本見て顔を見てにっこり笑いパパと去りゆく
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そこまでの 無理はしなくて 良いからと 赤い特急おけいはん 囁いてくれた
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さくらんぼ畑がみんな無くなってススキ、セイタカアワダつ野原/見渡せば
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きらきら星 最後の一音ため息で吹いても誰にも気づかれないな
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ねこたちは きょうもとっても ねむそうで おかあちゃんのたいそう体操 うとうと・ながめる
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四日目の朝の空気は冴え冴えと思惑などを呑み込んでおり
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バス停に置き忘れし墓参の花は何処かの墓に供えてあらん
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諦めか 乗り越えたのか わからない エールを贈る 君のその背に
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街濡らす秋雨のよう身内など実は心底冷たいものだ
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5年前のちょうど今日は自分よりバカなやつからバカにされた日
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無愛想他ひと人に冷たいすぐばれる嘘をつくでも犬に優しい
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縦列に ひょこひょこ動く 黄色帽 ひよこの列で幸せな朝
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「光あれ。すると光があった。」マジ? お金あれ。「いや、そういうのじゃない。」
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