気まずくも実家の居間で父親とテレビ見るのも親孝行かな
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昔日せきじつの夜 冷気入らぬよう布団の端 トントン叩く母の手の記憶
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廃業の 塗装屋の壁に残されし アンパンマンとミッキーのあか
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わくちんを すませてやれやれ つかれたね うでまくらさんで ねんねするニャ
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階段を駆け上がる音タントンタン 孫の背に乗り 春は音連れ
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ハイハイで 一目散に 孫三女 ママをスルーし たこ焼き見つめ
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牧水の愛用してた酒器なのと言われて見ても百均にしか
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聴き終えたやさしい話に作り手もきっとと思う「ゆず、香る」 /深夜便ラジオ文芸館にて
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娘から投函頼まれ必ずと愚直に手で持つ言われた通りに
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春浅し 日暮ひぐるる時の 伸びゆけば 時計の針が 開花を進める
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落ち込んで 項垂れている 首に触れ ラピスラズリの 青を手渡す
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歴史上生まれた人の総計は千百七十億人といふ
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入居前のお隣さんと 笑顔を交わし 嬉しい繋がり始まる予感
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目薬を子にさす朝の春がすみ見上げる顔のいがいな近さ
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土手沿いに開花3輪見つけたり 長い眠りの 心地よい目覚め
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理不尽りふじんな  孤独こどくかす  看護かんごの手  胸襟きょうきん開き  きずなしん
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流れ去る モーツァルトの 協奏曲コンチェルト 意固地な我を 解き放たれり
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ガタゴトと農道揺られ耕運機もろこしもいだ たくさんもいだよ
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ヒリヒリの 局面に立つ 細き背を 守りたまふや 雲上にをり
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いまさらに「今日は明日のいにしえ」と晩酌すなる今日の明け暮れ
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雲がまたかたちを変えて流れてくなににもなれないわたしを置いて
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落とし込むギュッと丸めて泡に込めつつく烏がいない夜空へ
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掲示板いくつもあれど閑古鳥ツールは映えるビジュの時代へ
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くさや好き差別されても耐へぬいて 妻に隠れて独り味わふ
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そよ風に 揺れる木の葉の 音色にも 春のきたるを 奏で知るかな
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恥ずかしい気持ち悪いし見たくないどうか変えてと願う春分
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外晴れてちょっと遠くの通りまでカラオケ屋から「なごり雪」聞こゆ
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約束の印をなぞる 日曜も赤き手帳に文字は踊らず
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無駄足を何度も踏んだ野心家はしつこく古希の初恋をまた
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梅のに  春雨はるさめ降りし  るい流す  べにほおを  で過ぎてゆく
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