靴底を張り替えてなお履き続け靴紐緩む夜の下駄箱
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はな咲けどまだ浅き春昏れゆけば戸口に立ちてにほひぞ知りぬ
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カフェの客午後二時にして吾一人次が来るまで立ち去りがたし
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二人して久しぶりだね カラオケのマイク握れば 隅っこに春
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愛用のぬいぐるみくわえ我探し 見つけてほっぽり 我へと一直線 /愛すべき我が猫
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猫さんがくれというので食っているカニカマを出すこれじゃないらし
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山頂を雲で隠して山たちは幽玄ぶって佇んでいる
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もう一度 あなたと見たい 桜の木 花びらひらり 涙と落ちる
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白湯を飲みほっと息つくマグカップ雪の降らないこの街の白
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キキの手にはいつも温かな飲み物おソノさんにもウルスラの手にも
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神さまか誰かがくれたギフテッド活かし育むためこそ、独り
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気がつけば戦争中を生きてゐて真綿で首は細くなりゆく
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春星はるぼしや  月に負けじと  またたきて  空に希望のぞみの  流れ星かな
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曇り空 たたずむ川面 映したる 街の裏側 ひめやかなりし
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仮名文字の 「へ」の字の如く 垣越えて 雪柳咲く 堀沿いの道
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老木は 虚空の光 宿すのか はなの下にて 人は集えり
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やっとこさ子らの進学準備終え次は自分の異動の準備
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我が母校 同じボタンの 子の学ラン 眺め小声で 校歌独唱
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目に見えぬウィルスと戦う人がいて見えるが存在しない星見る
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就活に追い詰められてもutakataで心安寧まんまるになる。
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慎重に針落としては聴いていたフォークルを今iPhoneで聞く
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親兄弟ありがたいけど最初からいなかったらなと罰当たりな夜
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人生のゴール地点見えてきた ここらで少し歩を緩めよう
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長い影西日に帳がおりるころ壁塗り終えた父と銭湯
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いとまあり  読書しようと  意気込めど  わずか十分  やる気は失せて
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チェインソーまたさくらんぼ切る音と思えば柿の木の刻まれて
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出る出ないこれで9条改正はないのだろうと思う言い訳
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またひとつ名もなきフォルダ開けてみる 今は亡き人そこに居ぬかと
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恋人と呼べずに去りし人送る横浜駅のやさしい雑踏
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西の窓 沈みゆく陽をでた夕刻 今家々の屋根が遮る佳景
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