うららかに咲いて輝く花一輪ピンクの薔薇は影を照らして
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「クリパとはなんぞ」と訊けば 女房の ここぞとばかり 語るぞ悔し
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少年の墓前に咲ける白薔薇の枯れて散りゆく戦場の町
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ちかいうち 顔を出すよと 告げただけ それで喜ぶ 電話の向こう
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魂はくるりくるりと光る玉 青き穂先へぽとりと止まり
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スプレーの冷気しみ入るふくらはぎラスト十キロ ゾンビの根性 / 過去7回走った湘南国際M
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筋肉をスクリューにする小舟たち区民プールの大うなばらに
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雪よりも一足先に白散らせ 月夜が照らす 八重の山茶花
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煎りじゃこを炊きたてご飯にふりかけて 頭をよぎるジェノサイドかな
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着ぶくれて厚み増す分低くなる冬の枕にタオル一枚
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上からツー横へピリピリわあ裂けたほぼ丸裸開封儀式/ボトル
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若き日のショット・バーでの思い出を懐かしみつつ啜るほうじ茶
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二歳にて チョコバナナの 味覚え 朝からねだる 孫のほほえみ
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室内へ日暮れのように灯をともしぼたん雪ふるバッサバッサと
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赤い実を食べずに鳴ける鳥あれば夢の共生ユートピアの庭 / マンリョウ四株
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整形とハリの先生真逆言ふ気持ち泳ぎて画像に目凝らす
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生きるのはしんどいことだしかしまだ飯が旨いと白寿の祖母が
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隠れ咲く低き紅葉もみじは艶やかに赤きだいだい 凛と広げて
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路線図を見上げ宇宙の果てまでも運ばれたいと衝動起こる
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従業員出入り口から踊り場のけしき三日目多言語標語
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宰相が眉毛の描き方変えたので 内閣支持率高止まりする(前より良くなった!)
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紅ひとつ ささぬ我だけど 練り香水 大好きなので 舞妓さんのやつ(金木犀終わっちゃったんで、金木犀の香り。いざお散歩へ)
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夜想曲弾かんとしてもその中に密かに宿る夜は逃げ出す
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あったかい! ダウン羽織った だけなのに 冬の味方を 1つ見つけた
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我もまた秋の味覚になりにけり 脚に実った野苺にムヒ
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柿の葉をかき集めては思い出すみなで集いて落ち葉焚きし日
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小さめの罪悪感が巣を作る レシート捨てるための入れ物
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湯船にて 眠気堪える 冬の夜 北風紛れ 鈴の音が鳴る
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輝きに当てられ閉ざすひとたちは闇に呑まれて自我を失ひ
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ガラクタの反射板貼り煌々と百均ライトは歪に光り
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