望んでる 答えを聞くまで 繰り返し わかっていても 尋ねてしまう
20
隙を見て羽を引き抜き消ゆなれど我を見下ろす雲が貴女だ
20
笑い声 透過してゆく春の陽に 苦めの珈琲が未来予想
20
一泊の兄の寝床に酔い覚めの温冷保つボトルを2本
20
震えたる 指の鼓動が 風になり 国境超えて 無慈悲な戦
20
乱心を湯浴みに清め明日君の幸よ届けと一途な吐息
20
5回死と遭遇したが目が覚めて思った神は不確かだった
20
団塊の端にも春はひかり満つ 妻とおとなうたまゆらのはな
20
読んでいる二つの本に退職の警官がいてシンクロニシティ
20
ゆっくりを瞬きをして慰めてくれるか照明店の黒猫
20
無言人ぬっと現れぬっと去る持ち去るようじゃ猿かも知れず
20
フランスの街の音も打つデ・ヴィルを貴女の右の手首へ捧ぐ
20
無人にて 朝採れ野菜に 手を伸ばす 本日きょうの健康 手に入れたり
20
宴終えて器を清め茶箪笥へ並べては抱く兄と会える日 「詠み直しました」
20
逢えぬ日に抱く微熱の囁きを星ひとつ詠む夜の短さや
20
山奥の家屋の隅に白き鳥とまったような辛夷の花見つけ
20
どうしても馴染めずにゐる我が世代 ズボンをパンツと呼ぶことにつき
20
ふうわりときみのうなじをくすぐった春風にさえ嫉妬している
20
暖をとる猫の重みの懐かしく 膝は空いてる 桜散る頃
20
青色の満ちゆく花の波に浮く家を守れる芝桜なり
20
はな散らす 風は熱波を 従えて 二季となりる 夏に怯える ※ 金がない ……
19
子の部屋に大きく空いたこの穴はブラックホールここは宇宙だ
19
吾の焼いたシフォンの脇にホイップと苺で君はまばゆい笑顔
19
言霊を信じて願い唱えるも夢見草散る叶わぬ願い
19
生姜湯(しょうがゆ)の 腸(わた)に着く頃 眠くなり ひねもす止まぬ 花の雨かな
19
散り花を踏む足取りは柔らかく風織り上げた雲を踏むよう
19
たばこ火の終えしまでにピーヒョロとトンビを真似て仰ぐ空かな
19
降る雨に春の炎の鎮まりて集いのはなしずかに立てり
19
雨上がり ひときわ映ゆる 花の色 清らかさとは 後に気づきぬ
19
先を行く きみの腰に揺れる水筒 共に歩きし あの日の野辺に花
19