父と夫二人の影を背に負ひて 息子のなかの光へ歩む
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荒川の三角波は寒々と 花の浮かれをものともせずに
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目に花と人の集いを転写した絵手紙へ書く笑う春風
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弥生末 ねこたちまだまだ 冬ベッド ふたりなかよく 暖を取りたる
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物忌みの2日目耐えたご褒美に ファミマの増量チョコクレープを
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気だるげに目覚めて開くネモフィラを癒す音色のジムノペディの雨
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死ぬ事は怖くないけど遺された母が不憫で頓挫している
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縫い幅は縮めて愛し名を赤き刺繡で満たすハンカチの隅   「ミシン好きです」
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ふきのとう、教えてしまえば僕だけの春が二人の景色にかわる
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生きてゆくわたくしだけの役割を果たす私はわたくしらしく
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ささくれた人の世に問う一粒を詩作の新薬効けばいいなと
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乗り越えし 我が歩みしいばら道 山あり谷ありひと花咲かせ 
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曇天に見上ぐ桜で雨宿り奥の枝先ヒヨドリが来て
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帰路の宵 待受を閉づ漆黒のスマホ液晶に 映る月影
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手につかみ 口に入れたい 孫三女 満面の笑み 見とれる時間
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真夜中の しじまを破るサイレンの音 近づきそして遠のいていく
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君だけが全く違う輝きを放っているんだ何てこったい
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老木は 虚空の光 宿すのか はなの下にて 人は集えり
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我が母校 同じボタンの 子の学ラン 眺め小声で 校歌独唱
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飛行機に乗ってここまでやって来て「臨時休業」なんで今日なの
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一粒の 雨も母には 許さじと 傘傾けて 春の畦行く
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みどり濃し湯に泳ぎきる菜の花の熱燗酌みて早春を知る
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子どもでも描けそうな絵で印税を稼ぐあなたはやっぱり非凡
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窓側で赤ベコのように揺れながら寝てる息子をインストール
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君だけに纏いて包むあたたかな春の微風よジェラシーも消せ
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鉄錆を研ぎ澄ませれば三日月の芯より清き真(まこと)極めり
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桜舞ひふわり抱きし初孫の十八年はひとひらの夢
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タイトルを付けてみようか人生に照らすくるくる走馬灯なり
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黄の花の名を尋ぬれど誰れ知らむ 遠き山より鳥の運べり
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叙勲いさおしの記章を磨く術もなく 認知わすれの父は私を呼ぶなり
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