あれこれと試してみては気に入った靴だけなぜかサイズ欠けなり
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ベランダに干してる梅を見張るから今日はどこにも出かけなかった
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君の乗る小舟を沖へ押しやった。もう一緒にはいられないから
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真夜中に 今日一日を 振り返り まだまだいけると 意気込み眠る
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あれこれとパン屋で選ぶ家族分 子どもの頃の楽しい仕事
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我が家にもブルーベリーのなりたるを 孫に知らせて食べるを我慢す
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二年前 夫の植えたる花水木  大樹となりて与えん影を
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この道がここにつながる細い道感動しそのまま梯子酒
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チビ猫がのびのび寝てる 少しホッ もういたくない?大丈夫かな?
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あれこれを詠み込みたくて指折るも句数が増えて短歌とならず
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熱っぽい わがの身体 前にして「元気だけど」とは イクメンの真逆
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メッシュタイプ貼る包帯が血に染まるこのきっかけで切れる物もある。
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I FEEL...COKEじゃなくてスプライト 緑の缶持ち洒落者気取り
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新聞やチラシに ねこは きょうみある カラフルなインク きらきらひかるよ
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『秋桜』は母が好むので 歌います ずいぶん若い時分の作品
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夫の昼 うなぎのはずが お見送り 見本未満で 見合わぬ値段
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カーテンを洗いし屑取りネットから小さな子猫一匹生まれる
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国産の鰻を今夜食すなら何日節約すればいいのか
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夏に耐えこぼれるばかりの花々と 虫集う庭を風吹き抜けぬ
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美味そうと思うだけで口にせず 素揚げみたいなセミの抜け殻
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自分より我が子の幸(さち)を願う日々いつになっても変わらぬ思い
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便利さを欲する世にてただ願う触れる紙の本消えぬこと
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どうしても忘れることが出来なくて 刻んで煮込むミネストローネ
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誰もみな重き十字架背負ってしょっている自分だけと思うな自分/題『悔恨』
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灯台のような言葉のひとつあり 我に与えし忘れ得ぬ人
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ゆりちゃんの歌に詠まれた北の国なつかしい風吾に運び来る
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決戦日「サアサアサア」と売り人は巨大な鰻背負い込んで立つ
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喧騒を折れた道先 駄菓子屋に足は止まれど跨げぬは大人
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天神さん 人出増えるので 駅撤収 くれると言うなら うちわはもらう
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夕暮れにほろ酔いで聞くひぐらしに響鳴するごと梅雨の雷音
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