雪洞ぼんぼりの まろあかりに 伏す君の 手弱女たおやめの如き 長き睫毛よ
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刑務所と閉鎖病棟を指す老婆病棟ここはそれよりずっと苦しい
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この街の雪が溶けてく速さまま、父の昨日が消えゆく仲春
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おこぼれに預かれずとも根気だよテーブル下でねばる猫さん/サラダなのですが⋯
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いつもなら 手に取る珈琲 スルーして アイスティーを 試すセブンで
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目で笑い心で暴言吐いているそんな大人にいつしかなった
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戦前の空気を知らぬわれなれど「強い日本」に感じる不安
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逆向きの席の電車でぐんぐんとバックする先 旧友が待つ
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僕ひとり寂しくたって構わない君が「寂しい」それはダメだよ
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弥生晴れ浅間の山の綿帽子 散りた綿毛かこぶし花咲く
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軽井沢しらかば林の名残り雪 眼を灼くほどに反射する白
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啓蟄に 根雪も解けて虫たちも 温む大地に手招きをする
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旧暦と新暦の差のひと月は 季節のずれた並行世界パラレルワールド
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雪深し 里にも確かに春の声 聴こえてきたり 空澄み渡る
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築30年 思い出だけが残されて  今はひとりで今日を重ねる
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鹿しし威し溜まりてココンッと流るれば春夜しゅんやの花びら微かに揺れて
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月影の蒼きひかりに君ゆらぎ指先まどう 春は彷徨ひ
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春みぞれ ようやく開いた野の花も 風に震え身を寄せ合いぬ
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ひ孫見ず逝きし父の姿かたちなり 息子の背中 桃の節句に
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春がきたWBC大相撲 選抜楽しむ元気な老後
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寒戻り 焦らし焦らされ待つ君に  届いた春の歓びひとしお
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行く冬と来る春相互のせめぎ合い 春勝利まであともう一歩
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中腹を越して麓にかかる雲あの辺りなら歩いて行ける
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霏霏と降る雪は諦め悪いらし(ミシンの日)とうひと日付き合う
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あふれよと死をみせしめし弥生なる十一はかなし 哀しき記憶/東日本大震災が近づいて
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朝食の支度のじゃまを やめたねこ 楽だけれどね らしくないんだ
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父看取り 母ひとり生きた15年 我も母のこ  前向き生きん
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半干しの柔らの骨のはたはたで ちろり二合の立山を呑む
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雛飾り 良縁祈り 早じまい 気づかぬ呑気な 四十路の娘
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困難の 多き時代を 歩き行く 百年先の 未来は如何いか
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