冷凍庫の ねこみにタルトと 目が合って 土曜の朝食 これで決まりと
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どこかにて 袂を分かつ 風なれど またいつの日か ひとつの世界
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放っといた庭木柿の木紅葉の木放埒すぎる枝のやんちゃよ
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はじめての 発表会にて サックスの 音色響かす つまを見守る
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庭先にそびえるモミジ陽を浴びて 若葉きらめき生命いのちみなぎる
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せいくらべ 孫はつまより 十センチ 高くなりけり アスパラの如く
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何であれわたしを負かす後輩は頭かきつつ「番狂わせっす」
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おさな子の手を引き歩いた野辺の道 変わらぬ風情ふぜい 若葉萠え立ち
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「暑いですね」 卯月と思えぬ挨拶交わし 額の汗拭き庭の草刈る
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起きたらば ベッドの上に ぼーるさん ちま猫ちゃんが あしょんで遊んでいたの
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ながいことやってしまった『いいひと』のあくぬきするや竜泉寺の湯
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春の陽も徐々に空まで連れてゆく元気になれるパンジーの白
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思慮深さ揺るがぬ君を紫のパンジー照らす二人の明日
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ボランティア「携帯トイレ持参要」 そのひと言で参加ためらう
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冬眠の開けしじゃがいも待っている姉の電話に隣町まで
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漬け樽をひっくり返すとまろび出た たくあんお前 まだ居たのかい
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たくあんと野沢菜漬けの桶洗い 冬の始末がひとつ終われり
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一歩ずつ母へと向かう純白のカーネーションの愛を抱きしめ
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梅が散り辛夷こぶしも散って桜桃さくらんぼもう咲いている吹く風寒し
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おはようの音を奏でるサックスの銀色褪せてセピアなる朝
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霧雨の花はしとりと散りゆきて繋ぐ手解く「さよなら」もなく
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週末のアイロン作業は捗りぬ 「ながら曲」にはボサノバが良し
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匂ひたつ植物どもの体臭に 気怠さおぼゆ木の芽時季どきかな
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泥付きの 荷台に寝転ぶタケノコを 「持ってけ」と笑む里山の春 
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すべての窓 パーッと開け放ち 家中に卯月の風を招き入れる朝
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日だまりに 如来の如く 目を閉じて 猫の居眠る 斑鳩の里
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流れてく川に放すは軽き舟 四季の花びら乗せる折り紙
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若葉より癒しを得られ一服の珈琲は青い瓶の魔法
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胸骨に風を受け止め七分丈 床屋帰りの頭撫でつつ
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人の祖の地に両手付く遺伝子を辿りては老い地上へ帰る
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