過ぎし日に 土筆の袴 子らと剥ぎ 湯がいて食した春の味わい
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これほどに 待ち望む花が 他にあらむ 古きより胸に 刻み込まれて
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待ちまちて春が来たなら何しよう花見・野歩き・友のお見舞い
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春分ける四温の風のふうわりと臆病一枚脱ぎ捨ててみる
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珈琲の向こうに君の笑い顔 世界をちょっと許せてしまう
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花や木々 空の蒼さや風さえも 短歌うた詠みめし日々変わりゆき
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散歩中 津軽じょんから 聞こへ来る 旅のガイドの十八番おはこ懐かし
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隅っこの花梨の花はひそやかにそっと春呼ぶ桜の陰に
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梅残る彼岸の墓に香焚けば此岸のにほいの風に吹かるる
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軽トラの 荷台に転がる泥葱を 「食うか」と笑う翁のありぬ
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駅降りて 人々は散る それぞれを 待つ暖かな 灯りを求めて
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窓際の本のページ パラパラと 読み進めていく 春の清風
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標準語しゃべる男の声だけがローカル列車の旅をじゃまする
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春浅き君住む街にほおき星 欠片を追ひて永遠の歌詠まむ
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午後七時立ち食いそばで一人づつ 言葉交わさぬ背中、背中
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春彼岸義父母の墓へ菊の花 我関せずの夫は誘わず
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仏壇の蔭に身を寄す蜘蛛の子よ まわれ右する掃除機の先
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寄り添いて不味き牡丹餅分かち合う 笑う夫の手の節愛し
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今年もまた 感謝の想い伝え来る 墓に春の陽降り注ぐ朝
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目に見えぬウィルスと戦う人がいて見えるが存在しない星見る
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雪溶けて  冬の女王  やぶれたり  長きトカゲも  春に這い出す
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「反戦歌うたっても武器作るなよ」被爆二世が言ってもムダか
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春もみじ紅き新芽の妙なるや朝陽に愛でし仲なればこそ
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一人城 引き揚げてきた三男の 荷物が我が家の居間占領し
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3時間2万歩歩いて消費した 脂肪はたったの82グラム
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助手席の私を越えて春の山 見えぬ動物けもの呼吸いきに霞めり
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ぶら下がる父を見上げて震えても何も出来ない夫だった人
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池の島松ヶ枝に立つ白鷺に 射竦まされて暫し動けず
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開けてすぐじゃなきゃだめと猫殿は銀のスプーンのまぐろ返品/パウチ
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やんでると見まがうような降りでさえ傘にはちゃんと雨粒の跡
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