水泡みなわこそ逢瀬のごとに透き通り 壊れぬうちに君を忘れむ
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ひと椀に炙り真鯛と芹しめじ 葛出汁かけて柚の子で召しませ
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冬物の羽毛布団を一抱え 丸め押し込むコインランドリー
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匂ひたつ植物どもの体臭に 気怠さおぼゆ木の芽時季どきかな
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どこかにて 袂を分かつ 風なれど またいつの日か ひとつの世界
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放っといた庭木柿の木紅葉の木放埒すぎる枝のやんちゃよ
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一昨日まで 暖房いれてた寝室を ねこも暑かろと 快適おまかせ
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春光を浴びつ 商人らは憩ひ パックのジュース片手に談笑
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はじめての 発表会にて サックスの 音色響かす つまを見守る
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人の祖の地に両手付く遺伝子を辿りては老い地上へ帰る
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せいくらべ 孫はつまより 十センチ 高くなりけり アスパラの如く
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仕留めたる 鼠をくわえ 見せにくる 健気な猫と 共にありし日
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スカスカの桜を見てはこの春は華が無いねと吹く風の中
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思慮深さ揺るがぬ君を紫のパンジー照らす二人の明日
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心地よい 風をあびつつ 仕事して ベンチ休憩 無のひと時を
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気がすさむ体きしむをやり過ごす買い出し行ってお勝手立って
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新聞の人生相談読みながら飲むコーヒーがひときわ苦い
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漬け樽をひっくり返すとまろび出た たくあんお前 まだ居たのかい
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結果待ち揺らぐ心を紛らせていつもと同じ笑み交わし合う
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春疾風 凍てし涙の乾くころコート脱ぎ去り光纏はむ
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疾風にさらはれ 人の行き交ひぬ歩道へ舞ひ込む 店の貼り紙
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松林 土管の中のノラ猫一匹 冬を乗り切り 生きてた!良かった!
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世界中 似たような事 起きていて 進化はしても 猿の末裔
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雨上がり 脳にお酒の 水たまり 揺れ降る桜 見納めの頃
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来ては去る車の白と赤き灯に滲むビニール傘と泣こうか
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春の雨 思う存分吸い込んで 一斉に萠え立つ樹々の歓喜よ
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週末のアイロン作業は捗りぬ 「ながら曲」にはボサノバが良し
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書くことも 読むことすらも 遠ざかり 私の文字は 未だ汚い
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山吹の枝垂れる様の美しさ丸く刈り込むいもいまいまし
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去年「こぞ」残す羽を清めて新風のありて凛々しき扇風機かな
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