次々と 枝先飛び来るムクドリの 啄む柿の実風に揺れをり 
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祖母の兄うた愛せしと母にきく父の手術の終はりまつ窓
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枝先は柿色中は山吹の見とれるきれいが終わってしまう
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愛は枯れ芽吹く春待つ土の中 雪の毛布でじっと目を閉じ
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外干しは 昼までだったと 思い出し 浴室乾燥に移動グッジョブ
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明日何着ようかなって 考える 黒は着たくない ほんとそれだけ
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ポッカレモン 胡椒をたっぷり 振りまして レモンだれにて 餃子召しませ
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血圧が母の痴呆を進めてるせめて私は「昆布生姜茶」
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昆布出汁に生姜絞り汁入れるだけ卒業生の知恵を借ります
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亡き父へのダイレクトメールまだ届きとりあえず生きていることにする
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クリーム色のブーツで 落ち葉踏みしめて 小春日和は いとうららかに
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一日にたった一度のお薬で脳梗塞を防げるだろうか
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ハラハラと 時雨のごとく山茶花の 降り落つ花びら白く積もりて 
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日が落ちて カーテンしめて 月見上げ じきに満月 月餅食べよう
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ねこの手に 左手重ね あたま乗り このひとときよ 永遠であれ
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誕生日のシフォンでは味気ない筒に隠すはお菓子か札か
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二、三枚はがし艶めく白菜はまつすぐに立つ新聞のうへ
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遅刻かと 急いた心に うた浮かぶ  飯とスマホの 迷い箸かな
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濃い青にバサリ羽ばたく光る白鷺が旋回ひとつして去る
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カリカリカリ 朝から頼もし ねこゴハン おかあちゃんも がんばって食べる
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隠れ咲く低き紅葉もみじは艶やかに赤きだいだい 凛と広げて
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通ぶってあれやこれやと試しつも 白いご飯にまさる快なし
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想定を 超える時間の 会議終え 残務処理し 日付変わる夜
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朧月 ふっくらとして 満月の 近きを知るや パワー貰おう
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年取るとあちこち痛い常体がこだなだべなと慣れて親しむ
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これからが寒さ本番膝痛よそんなに暴れないでおくれ、と
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じいちゃんの 柚子割り酎ハイ孫真似て シーツに描くは香る世界地図 
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「聞いて無い」夫の言いに腹が立ち 「◯回言った!」が盛り気味になる
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散らかして物探せずに目に入る代用品で済ます不自由
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冷凍食品れいしょくをチンして食べる気力すら 奪い取るのだ鬱のやまひは /鬱短歌
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