うたかたの どれだけ技法を 尽くしても 想いといふに かなはぬ道理
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猫と会話ひとりの日常 懐かしき 夫や母との口喧嘩さえ
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アイロンのスチームしわを伸ばしてく畳むハンカチ鶴を折ろうか
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ひまわりのような恋なら古希だって「あのね」「介護じゃないよ」「うふふよ」
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いつもなら 雪掻き追わるる我が里も ひと山越へれば天国地獄 
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仏壇の花 整えながら 今日の予定も整えている 穏やかな朝
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放たれた瑠璃色の矢は野晒しのあきらめた夢目醒ます光凛ひかり/折句
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まん中の子の名を忘れ懺悔してうちは子どもが二人と目覚め
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金利差のコンマ一位に幸求め一時間待つソファの固さ
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手離せば歌はふた世の始まりぬ 道標しるべなき野に骨晒すごと
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よる独りたわむれ歌を書きおけばそでのうちよりかすむ妻
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細月ほそつきのやみ夜にもがく人を見て 病まず我がじく持とうと想う
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日常はデジャヴをループ時間の輪 鍵は誰かの輪のなか周り
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巡りくる回忌を前に 父の背中流すごと 墓にそっと水をかけ
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休日に伏して気づけば外は雨ようやく土に命の雫
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茜雲広がる風景君からの1枚今でも待ち受け画面で
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赤い花咲く頃そっと手を合わす心はあなたにありますからと
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新しいケリケリ猫に渡したら猫喜んで蹴りに蹴りけり
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ひねり独楽ごまかさりこそりと卓上に朗らに回りコトリと絶えて
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定量と定性評価が混じり合い よくわからないハーフパイプとか
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停留所時刻をなぞる指先に旅の終わりが近づいている
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八戸であがなひきたる八幡馬 男馬女馬を離して飾る
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春告鳥(うぐいす)の鳴き声未だ聞かずとも  確かに聴こえる 春の足音
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砂山の砂に寄る辺の霞み草沖行く船にテセウスの旗
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見たくない物を無用に見る人よ フォロー管理も大変なのだ
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迷い込む夜の近道チャリの罠ドラッグストアへ助けを求め
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スーパーに 百円の春 並びおり ピンクのスイートピー まずは仏壇
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種飛ばしざくざく喰らう西瓜かな 六畳長屋の縁側ぎる
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貴方には少し好意を混ぜておく 全部入れたら甘すぎるから
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見ない間に 変わっちゃったね 君の表情かお 私が恋した 貴方じゃないのね
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