喜びも 絶望さえも 見下ろして 医大の前の 銀杏は青葉
20
朝の陽へ撒きし餌へ舞う群れ鳩と触れ合う爺の影は伸びやか
20
離れてもハイビスカスを二人して育ててゆけば一緒と同じ
20
キンセン花 命の捧ぎ萌えてなを慈愛果てなき道へいざなう
20
日の出前 空気の揺れと 鳥の声 住宅街は 気配に満ちて
20
花は天よりぼんぼりとして降りる地はゆうたりと微笑んでいる
20
公園を 螺旋を描き ツバメ二羽 風を切り裂き 曲技飛行
20
力より 均衡バランスだよと 教えられ ぶつくさ言うも 「YOGA ヨ ガ 」に精出す
20
心痛に足が重くもデイケアへ笑顔の迎えこころ華やぐ
20
創作心 滲む作者のお人柄 磨いているのは己の心
20
風吹けば松の緑は現れて空にぞ掛かる藤浪の花
20
噛みやすい歯茎で舌でつぶせます噛まなくていい今どのあたり/介護食
20
県道を走る車のライトが見える空家解体されて素通し
20
明るいな気持ちがいいな起きようかまだ寝てようか晩春の朝
20
音もなく車窓に積もる霧雨に 私も埋もれる宛もない
20
斬新の森へ踏み込む勇者たれ泡沫の世をおもしろく生き
20
鯛踊る大漁旗ははためいて母なる海の深さを知らず
20
海溝マリアナの唸る闇には噴出孔ナノな泡のせ海へ広がり
20
陽を抱いて 黄色ピンクのオキザリス 風と終待つ 故に恋しい
20
道脇の運河を照らす空撫でて霞む漁船のキラキラ光る
20
蒼天の 鱗雲へと 風を抱き 翼広げる トンビ眩しき
20
選挙だと電話してくる初恋のあの日もうないならかけないで
20
何気ない朝も 失意の 夕暮れも 同じメロディ コンビニのドア
20
八百年 一瞬にして 平安へ 連れていかれし 熊野ゆや長藤ながふじ
20
舌よりも鼻で辛みを味わひぬ 生姜山椒に山葵に茗荷
20
フルーツがミルクに恋するケミストリー化学反応時の経過で苦くなったり
20
俯瞰せし己は如何に戦ふや突き動かしたる想ひの先に
20
給食をおかわりしたと一年生 何処か安堵のジジ馬鹿ひとり
20
夫婦げんか 極まる頃を 心得て 姿を消しぬ 猫あくびして
20
母さんは高カロリーをちょっとだけ低カロリーをガッツリと俺/満腹
20