春思い  三寒四温さんかんしおんの  よんを待つ  来れど来れども  七寒零温ななかんれいおん
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頼らない僕らは孤独でストイックひとり遊びに長けてしまって
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花びら追い はしゃぎ跳ねてた樹の下に  袴姿の君 凛と立ち /卒業の日の孫へ
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何ぞ故 我の人生 ままならず とりあえず寝て 明日の我なり
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届かない 痒い背中のもどかしさ アマゾンプライム孫の手届く
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見初め合ふ二人は小さき庭のなか幾多ある庭知る由もなし
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好き嫌い「憎悪」は枯らす木の幹を「慈美じみ」は梢に小鳥を呼んで
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真ん中の姉は似ている亡き母かあさんにだから読まない僕の歌など
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雨けぶる土色景色あぜの肩肩身狭そにへばりつく雪
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花粉なのか黄砂なのかは知らねども 今日も車にザラリ張り付く
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目覚めれば 何処から歌声 東風こちに乗り 聞こえ来るよな春の朝
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これからの十年おもひ大きめの洗濯機買ふ春分のそら
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多様性だからといってなにもかも受け入れるほどタフではなくて
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太陽の  まぶしき光  に受けて  わがほしと  しずかに燃ゆる
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女童(めわらべ)の ように小さき 母の肩 揉み参らせて 淋しかりけり /母を恋ふる記
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連休の最終日には孫きたる 初日進めよ二日目疾けよ
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一緒に居たあの頃よりも あなたのこと考えてる自分 戻らない時間とき
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残る日を数えて暮らすかの人もその人もまた 生きてきたひと
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春秋(はるあき)の 彼岸に会いし 大叔母を 偲ぶよすがの おはぎ食みつつ
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あの頃はヒロシマだった広島の戦後八十年も戦前
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苔むした義父の墓石 労るようにそっと撫で合掌す 在りし日の夫
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笑わせてやろう恩着せ語れども妻の笑顔に実は癒さる
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枝先に 萌黄色のちさき若葉 心細げに 春風に震え
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青空に眩く白く ユキヤナギ 公園の一角 雪降り積もる
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青い薔薇  存在しない  儚げな  風に揺れるは  亡霊のごとく
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親兄弟ありがたいけど最初からいなかったらなと罰当たりな夜
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牙は抜け 今は疲れて 横たわる 犬を見る目に 言葉少なく
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気まずくも実家の居間で父親とテレビ見るのも親孝行かな
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昔日せきじつの夜 冷気入らぬよう布団の端 トントン叩く母の手の記憶
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廃業の 塗装屋の壁に残されし アンパンマンとミッキーのあか
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