葉に残る春の名残りを洗い去り五月の雨は緑を濃くす
24
初孫の 我をもっこに ひょいと載せ 野良の仕事に 連れゆきし祖父 
18
もういない人の好みの味付けで 私のために作る肉じゃが
46
ぽつとぽつ 草木が「降るぞ」と噂して 私は散歩の きびすをかえす
22
父さんの言いたいことが分かるのは私だけよと母さんの声
14
ひたむきに生きた証が散らばった服や文具の配置に宿る
13
苗代に雪消の水を流し入れて高嶺に遅き春はぬらし
16
別れ際に彼はどうかと尋ねれば 施設にいると寂しき報せ
12
暗幕を閉じてはじまる理科室は星のスライド尾を曳いてゆく
19
すくむ足背中を前に押したのは健気につよく咲いた一輪
11
水音の透ける煌めき細やかな窓辺の鳥の歌うさえずり
12
早朝の植田に映る山影を踏みしめていくからすが一羽
16
にょきにょきと立派なアスパラ顔を出す 昨秋の施肥のお陰なら嬉し
15
似たなりのまったく別の雑草として人混みにまじる夕暮れ
15
我ひとり温めるための紅茶淹れ ため息ついて孤独を嘆く
11
勤め終え 今日の夕餉は 冷し麺 まだ風涼し 明日から皐月
9
かお皐月さつきの空に遅桜人目もあらでひとり散り失す
9
サワガニが横に進んだ道なりを 前に進んで追いかけて行く
20
雨だから君が頭痛にならないか心配をした 変わる信号
20
連休の何処何処どこどこ行きます報道もスーパ行けば変わらぬ人影
21
火事花カジバナと忌まれ手折れぬタニウツギ 謂れ知らずもには飾れぬ
14
そこどいて一般図書の915 立ち読みしてる背にかける圧
8
涙ぐむ AIの組む推しからの 正しく重い正論受けて
8
ブックオフ買いたき本を見つけるもセールは明後日(から)嗚呼節約家
8
気がつけばもうすぐ五月 慌てつつ予定立てるもまた一人旅
8
君の居ぬ間に食べる辛ラーメン ひとり暮らしの風が吹く夜
17
いろいろな憂さを抱えて貼り付けた笑顔の裏の重たい身体
14
気だるさとめまいで自由を奪われて 自由に動ける奇跡に気付く
15
「ゴミ・タバコ・拭き紙・等を・捨てないで」トイレに書かれたリズムをまもって
10
シャッターを開ければ燕風に乗りふわり飛び来るまた翻る
23