まだ要ると買った灯油に高い値と言えば油屋苦虫の笑み
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花のを振り散らすよな北風に コート無しの身固く縮まり
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遠くから愛でるだけもう散っちゃった桜にきみに触れたかったな
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ゆっくりを瞬きをして慰めてくれるか照明店の黒猫
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春物の 薄手ズボンに 穿きかえて 足取り軽し 桜散る路地
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宴終えて器を清め茶箪笥へ並べては抱く兄と会える日 「詠み直しました」
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暖房がそっと準備をされている選挙会場散り桜舞い
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「暑い」とふ久方ぶりの形容詞 いつもの電車に駆け込んでみて
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夜半よわにふと 伸ばした手の先君が居る そっと背を撫で また夢の中
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静寂の産科病棟 響く心音 生命を刻む その力強さよ
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深夜2時、突然バーバーマイセルフ髪切り虫が疼く季節で
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この曲を最期のときに流してね 祖母の愛するポール・モーリア
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移ろいの旬の素材に触れて湧く綴りし文の果て無き旅へ
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冬枯れの いばらも蒼く芽を吹きて 待ちにし季節ときよ桜咲くなり 
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宵闇の月下の花は色褪せぬ 影も見ぬままただ散るを待つ
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深層の 心の傷を さぐるよに 鈴の余韻は 永くふるえて
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怨みごと言えば切りなくあるけれど幸せな今それも引っ込む
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今月に入って「すき」と告白を数えきれぬはエイプリルフール
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吾の焼いたシフォンの脇にホイップと苺で君はまばゆい笑顔
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望んでる 答えを聞くまで 繰り返し わかっていても 尋ねてしまう
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笑い声 透過してゆく春の陽に 苦めの珈琲が未来予想
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一泊の兄の寝床に酔い覚めの温冷保つボトルを2本
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震えたる 指の鼓動が 風になり 国境超えて 無慈悲な戦
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乱心を湯浴みに清め明日君の幸よ届けと一途な吐息
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団塊の端にも春はひかり満つ 妻とおとなうたまゆらのはな
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読んでいる二つの本に退職の警官がいてシンクロニシティ
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無言人ぬっと現れぬっと去る持ち去るようじゃ猿かも知れず
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左右からライトの当たるキッチンに晒す吾の抱く影のさまざま
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フランスの街の音も打つデ・ヴィルを貴女の右の手首へ捧ぐ
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無人にて 朝採れ野菜に 手を伸ばす 本日きょうの健康 手に入れたり
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