残る日を数えて暮らすかの人もその人もまた 生きてきたひと
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春秋(はるあき)の 彼岸に会いし 大叔母を 偲ぶよすがの おはぎ食みつつ
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あの頃はヒロシマだった広島の戦後八十年も戦前
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笑わせてやろう恩着せ語れども妻の笑顔に実は癒さる
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公園の 桜見上げ「かわいいな」 つぶやく翁の  まなざしいとし
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青い薔薇  存在しない  儚げな  風に揺れるは  亡霊のごとく
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ちょっとした狂いで春は涙だけ流れ出胸で受ける術なし
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親兄弟ありがたいけど最初からいなかったらなと罰当たりな夜
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牙は抜け 今は疲れて 横たわる 犬を見る目に 言葉少なく
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気まずくも実家の居間で父親とテレビ見るのも親孝行かな
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傷が付き触れると落ちる背のうろこ一つ一つを拾いてあるく
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わくちんを すませてやれやれ つかれたね うでまくらさんで ねんねするニャ
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わが旅は葉ずれの音の合間より太平洋をはるかに望む
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階段を駆け上がる音タントンタン 孫の背に乗り 春は音連れ
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ドラえもんわさびになって久しいが 母の声マネ変わらずのぶ代
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ボイルイカ我の旨みが欲しければ海まで来いと白く横たえ
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在来線 「カタンコトン」と 過ぎてゆく 懐かしき日々 時に思い出し
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メンテせずチャリのブレーキ甲高く鳴くもんだからソフトにかける
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フロアーの春めいてひかり弾みおり エスカレーター降りてユニクロ
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うつむいた 心も顔は 上を向き モーツァルトの 確かな調べ
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「春雨じゃ濡れて行かむ」と見栄を切る それは無理でしょ氷雨そぼ降る
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妙な音してたサンダル買い替えて父の足音くっきりとする
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遠い遠いアラブの国の油田から 危なき海を越えし苦労よ
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良かったよえらい目に遭うとこだった災転じて何事も福
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できるだけゆっくり咲いてと願かける、つぼみふくらむ通勤路にて。
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窓叩く 雨音だけが響く小夜 微睡まどろみ辿る遠き日の記憶
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今朝もまた トップページは 戦争で 仏壇からも 抗議の声が
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一歩ずつ踏み出す足にいのち載せ幼な子笑むや 春のきざはし
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青池の底まで透けるかなしみも 芽吹く枝には勝てない春だ /美瑛
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桜咲き 浮かれ気分のそんな中 北国にまた雪予報あり
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