ラムを食う隠すことなくラムを食う 草原の味鼻に広がる
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効くよって一匙くれたマヌカハニーときめきだけがさらりと溶ける
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今日はよくバックで走る音がするこの道の先何かあるのか
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現在は過去と未来に挟まれた 一瞬だけでまさかあるまい
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家中のワックスがけをしたんだが垂らした汗も一緒に伸ばした
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義姉あねの宅猛暑の中を片付けに姉弟きょうだい集合過ぎた頑張り
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厚き日に 草取りをする 職員を 空調服が 涼を繋ぐ
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開けられぬ 窓のむこうに いるだけで ぬくもりみたいな 猫をみている
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猛暑日に子に叱られてエアコンを入れて我が部屋楽園となり
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ファミレスのセットメニューが複雑で何頼んだか分からなくなり
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道端に打ち捨てられた空缶に 何思ふてか蜂の寄り来る
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告白を十年ぶりに受け帰る次はどうすりゃいいんだっけな
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何回も茅の輪をくぐりお祓いす半年の罪多く積もりて
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ポイを避けポイを破って私達どこへ行こうとしているのだろう/金魚すくい
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朝八時 既に日射しは厳しくて 「頑張ろうね」と 畑に水撒き
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気休めに効かぬと知りて虫除けを噴霧する妻ムヒを持つ我
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蒸し暑さに 身体と気力が溶けていく 救いの神かな こおりあずき
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ぬか床に実山椒まぜて半夏生 ひりりと香り湿気払ひぬ
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夕焼けの 雲を分け入る鳥の群 見据えた先は 宵の明星
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夕立の涼が残ればねむれたか文月二日母誕生日
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嬰児みどりごのやうなる無垢をひとかけらブローチにしてそつと胸へと
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「時々はLINEくらい見てほしい」 妻への願い 喉までとする
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月初め 数字に追われ 夜も更けて 届いたメール 蛍の画像
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かわ向こう学童跳ねて走ってる水面きらきらしばし佇む
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お互いに次の言葉を探せずに青梅みたいな沈黙が来た
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さらさらとトンボえんぴつ走らせたやりかけのままの祖父の数独
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歳時記は共有するにこだわらず 各々が編み詠むが愉しき
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人と目をずつと合わすの苦手にて眼鏡をずらし風景画にす
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毎日の朝迎えてのルーティンはまずはルーティン思い出すとか
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歌詠みも歌詠まぬ人も 武蔵野に虹の掛かりて 驟雨は過ぎぬ
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