暑い時毛糸さわるの嫌だから束子たわし編むのは春の手仕事
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心地き湯加減に包まれし宵 一日ひとひの疲労 心労かす
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春風の二十度に耐え雪塊ゆきくれの汚れ汚れて名残りの冬の
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譲り合ふ人同士 初対面なれど 会話生まるる 車両の座席
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白鷺は 羽だけ持ちて 生き抜きぬ 軽やかなるや 空を優雅に
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店先に早も飛び交ふつばくらめ 去年こぞのお宿の手入れせわしや
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左右からライトの当たるキッチンに晒す吾の抱く影のさまざま
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フランスの街の音も打つデ・ヴィルを貴女の右の手首へ捧ぐ
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見栄はってコートを着ずに出歩いて 取り憑かれたかよこしまな風
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のど痛しこれから始まる展開に 暗澹とする来週多忙
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春物の 薄手ズボンに 穿きかえて 足取り軽し 桜散る路地
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過信せず 予断許さず 生きるすべ 守り破りて いとし人間
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逢えぬ日に抱く微熱の囁きを星ひとつ詠む夜の短さや
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一戸建て 庭付き無しが 趨勢すうせいも 庭の有る家 少し豊かに
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暖をとる猫の重みの懐かしく 膝は空いてる 桜散る頃
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ブレザーの凛とした背を見送ってどうかあなたはあなたのままで
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曇天に残余の桜くすみおり おぼろのあわひの 風にゆらぎて
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上半期ノルマを早くも達成し 何食わぬ顔これぞダンディ
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岸壁の釣り人たちに 在りし日の夫重ねる  潮風うけつつ
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道挟み 日陰と日影の 匙加減 満開の花 散る花もあり
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春風に 舞い立つ心 人々は 浮かれ飛び交う わたげの如く / 新学期
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原チャリの女性ひと 白きヘルメットの絵 おちゃらけた顔したスヌーピー
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やや強き風に誘われダンスするTシャツ・ジーンズ春だ春だと
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薄桃の桜の大樹と髪そよぐ日傘の君はモネの貴婦人
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欲しいもの挙げ連ねたら切りがなし 人の欲とはおそろしきかな
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無言人ぬっと現れぬっと去る持ち去るようじゃ猿かも知れず
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先を行く きみの腰に揺れる水筒 共に歩きし あの日の野辺に花
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蕎麦すする音にオーイと呼ぶナナも食べてワーイと笑うインコや
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空覆う 雨雲に似て 気分まで もやる 溺れる 水たまりの奥
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仰がれて 風に煽がれ 雨を受け 少し遠見の 桜の宴
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