まっくろな大海原にただひとり ともしびだけでこぎだしてゆく 

こんな時 黙って隣にいてほしかった もう疲れたよパトラッシュ 

母の手の ひどく打ちたる我が頬に とてもよく似た真っ赤なりんご 

流星と友になるため旅に出る星降り坂のその向こうまで 

枯れ果てて砂舞う土地を今日もゆく星になれたか問いかけたくて 

いつまでも眠りのなかにゐるやうな椅子をしばらくひだまりに置く 

不貞腐れふてくされむくれた顔よ あなたにはリスみたいに 可愛くうつれ  

こうやって傷をひらくと海沿いにすこしのあいだ町がみえます 

やっべええ!あと十分でバスが来る!飛び起き歯みがき靴をはきGO 

戸棚から調理道具がなだれ出てシャララシャララとこれも幸福 

ぬくぬくと扉へだてて朝が来る死んでしまった夜を尻目に 

私にはやるべきことがひとつある ただ自らを「しあわせ」にせよ 

お前にもやるべきことがあるのかい 「しあわせ」などはみつかったかい 

恥じらいの唇紅し君の春今かがやけり旬の青春 

水平にポストに入れる恋文のきみへの思いこぼさないよう 

「帰ったらラインする(からあの子とは通話しないで待っていてよ)ね」 

悪魔との契約交わして気を利かす その思考がさ 中二病だね 

応用は苦手だけれど君へ取る距離は微妙な公式使う  

離れたら体内温度は下がりゆく私の肌は清く正しく 

眼の前の事を細かく俯瞰ふかんして今ある僕達壊さぬように 

新しい服を着てみたほら君に一番先に会いたくなった 

恋などは自分勝手に作動して気づかないうちに制御不可能 

今日言おう、今日言おう。って「好きです。」がリフレインする5時間目、理科 

「適温」をこえてはいけない僕達はそれ以上でもそれ以下でもなく 

二度寝してなんだかすごい夢を見たけれど忘れた前世のように 

指先で春を崩せば毒になる 蕾を摘めば雷が鳴る 

この町をふらりといなくなるきみのぼうけんのしょを破り捨てたい 

神様に懺悔をしたい人達が一人ずつ乗り込む観覧車 

太陽の日差しをいっぱい浴びたからあなたの好きな向日葵になる 

夏の恋シュールで少し儚くて放っておけば花火のように