うまいこと言えても 生きるの上手くなく 歌で息つぎして また明日へ
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残業が 続く日多く 際立つは 苺の甘さ 人の温もり
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目まぐるし 気温に翻弄 咲く梅も 半ばで止まり 蕾は固く
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ピーと鳴り炊飯ジャーを空けた後卵一個で地上の奇跡
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血圧とレギュラー価格がだんだんと近づいてをりまだ夜明け前
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赤い花咲く頃そっと手を合わす心はあなたにありますからと
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体操で 見上げた空に 雲ひとつ 恐竜のかたち 楽しい朝だ
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世の中の時間の流れ速すぎて島村丈の装置が欲しい
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童謡を歌ってた頃流行ってた伊東ゆかりをモバイルで聴く
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トンネルの出口が見えて 急ぎ出す 春への準備 樹や花虫までも
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小夜更さよふけて しゃんしゃんと降る 細雪ささめゆき  君とはしゃいだ 明日あすをなぞって
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春がいい あの頃も今も過ぎてゆき すこし酔ったり 小椋佳聴く
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宵闇を兵おび緩め歩の進む 金魚片手に繋ぐ父の手
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明け方に川鵜の群が空覆ふ ヒッチコックの「鳥」を思ほゆ
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皆は言ふ人は一人で生きられぬ さふでもないと私は思ふ
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涙してポストに入れたあの手紙いまの私に送った切符
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最近は 自転車よりも 歩くのが 気が楽だなと 思う冬晴れ
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うたかたの どれだけ技法を 尽くしても 想いといふに かなはぬ道理
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つちの戸をたたき春告ぐきぬの雨 うんと伸びする草の子の朝
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猫と会話ひとりの日常 懐かしき 夫や母との口喧嘩さえ
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気付いてる?バレンタインが今日なこと。 二月が残り半分なこと。
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アイロンのスチームしわを伸ばしてく畳むハンカチ鶴を折ろうか
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ひまわりのような恋なら古希だって「あのね」「介護じゃないよ」「うふふよ」
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いつもなら 雪掻き追わるる我が里も ひと山越へれば天国地獄 
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仏壇の花 整えながら 今日の予定も整えている 穏やかな朝
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ひとり生えの花芽がまもなく芽吹く頃 夫草削るそれを遮る
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放たれた瑠璃色の矢は野晒しのあきらめた夢目醒ます光凛ひかり/折句
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まん中の子の名を忘れ懺悔してうちは子どもが二人と目覚め
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金利差のコンマ一位に幸求め一時間待つソファの固さ
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手離せば歌はふた世の始まりぬ 道標しるべなき野に骨晒すごと
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