踊れずも由無し事がクルクルとダンス始めるコーヒータイム
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リビングも冷房になり冷えちゃって 四月にオレンジ生姜の紅茶
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午後八時最後の患者ひとを見送って今年も長い夏が始まる
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たくさんのまだ見ぬ花があるでしょう あなたが次の春を歩く日
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居酒屋の看板朝に灯が消えておとなは今が黄昏れなのか
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お互いに 励まし合ひて 歌を詠む そのことだけで 心温もり
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心の穴を好きなひとに開けられた 埋められるのは好きなひとだけ
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桜の木 雨風凌ぐも 散り始め 富士が遠くに かすむ散歩路
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春うらら 窓辺に映る大木の 力強さを芽吹きに感じ
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指先の冷たい女でございますたこ焼き焼けば熱くなります
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雲一つ ない青空の 向こうには スカイツリーと 亡き弟かなあ
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キミらしくありのままって言うけれどわりと大変キミに囚われ
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こんにちは わたしは光線 よろしくね あなたをつらぬく こともできます
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ねえ、聞いた? 世界は明日でサ終だって だからじゃないけど 君に逢いたい
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五体満足? わたし猫には目がないの 手も足も出なくなっちゃうし
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義母と来た 桜見たさに 妻と来る 千鳥が淵を まぶたに刻む
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柔らかな日差しを浴びてすれ違うあの子のまぶた春のきらめき
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本を売るための梱包 重すぎる君の思い出きれいに詰める
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結婚が「墓場」であれば今は何処? 君さえいたら どこでも幸せ
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何もかも 上手く行かない ひとりでは 乗り越えれない あの日の殻なか
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自転車を漕ぐ春雨が顔を打つ恋に笑ってただ浴びる雨
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見合いして一目惚れした出会いからいい夫婦だと気づく日が来た
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今日こそは早く帰ろうそうしよう そう決めたのに 帰れずにいる
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ママいないプレ幼稚園爺とぼくだれもママいてぼくあちこち歩く
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滝の上に咲ける桜の散り来れば落つる白波色増さりけり
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偶数が好きなんだけど、最近は、五、七も悪くないなと思う
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「学校前」小学生はバス停を早押しクイズで駆け降りてゆく
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柔らかな陽射し薄紅春の風 今日もきっと大丈夫だ、と
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散る後は誰にも見向きもされぬけど 来春咲ける桜は幸せ
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愛なんて 永遠とわに続く物語 信じた夢は 現実を知る
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