生ぬるく塩からくてもこれは雨、感情線を埋めるのは雨
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美術館の 学芸員のように 澱みなく キャベツを語る 君の熱量
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吹き荒るる連休初日はとりあへず朝飯済ませ寝床へもどる
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花曇り雑草取りの果てに立ち汗ひきゆけば初夏の風かな
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新緑の清しき風を吸い込みて五臓六腑が青に染まりし
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亡き父を 想い感じて 受く風に たてがみ揺れる 空の大帝
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喪っただけの衝撃ではなくて葬儀を終えて駆け走る街
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谷川にずらり吊るせし青と赤 鯉の目刺を干したるがごと
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マスクから出てる部分を武装してマスクの中で本音を叫ぶ
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イメージが希望を形作るよに五月の風になる鯉のぼり
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店員がうるさい服屋嫌だけど聞かれないのも寂しいんだな
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月明けて 皐月初めの 勤めの日 書類に記す 卯月の日付
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白雲をまばらに隠す鳥たちは天国なんて目指していない。
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大阪にすぢぞ多かる御堂筋牛筋煮込みその筋の人
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七十四歳ななじゅうし 未だ試験の悪夢見ゆ 紅蓮の炎 埋み火なりと
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五月ならそんな季節と水菜買い小さなおまけの虫二匹居て
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晩春の小雨に烟る藤の花夜の灯りで見れば異世界
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友として 黒柴我を認めたり 耳を倒して匍匐前進ほふくぜんしん
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「そんなに仕事仕事って言うなら仕事になっちゃえばいい」と犬が
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二週間買い忘れたる紅茶オレ バターロールとほっと一息
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ホームにて人身事故のアナウンス聞こえてくるよ「次はお前だ」
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見上げれば肉球のついた四肢を投げ 好きに振る舞う毛玉と目が合う
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もやい解き子ら旅立てば食卓に影のひとつが縛られてゐる
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割り箸を折らずに捨てた弁当が指定ゴミ袋でする蜂起
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その商品 節約詐欺だと教えても 聞く耳持たない 確証バイアス
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カーテンを開けて今日へと切り替える 連休初日 時計見ぬ朝
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遠くまで行こうよ ぼくがいなくても回る世界をたのしむために
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もう見ない屋根より高い鯉のぼり今は河原で遊んでるらし
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夢見は風船の形 頂点で破裂してから地に落ちるまで
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創刊号だけに終わった同人誌 きみの小説「つづく」とあれど
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