冷まそうと 煮なます庭の雪の上 忘れ去られて朝を迎える
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ベランダの隅に残れる鳥の糞木の実混じりか紫にじむ
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百均のデザイン良すぎるバーコード見失いつつセルフレジする
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屋根の雪つららと一緒落ちてくるがらがらどしゃんしるしるばふん
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淡墨に青を浸したやうな空にエレベーター塔は孤独に立ちて
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母看取り 早七年目 最期の声 「そばに居て」胸に 今日も家守る
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Utakataに 寄せたる短歌 100数え 折々の想い 此処に残れリ 
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慣れてゆく忘れてゆくよ空蝉を生きてゐるから生きてゆくから
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朝の湯に身体を深く沈ませて深海魚へとなりゆく気分
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一日を一日をただ凌ひでく生業なりわいともに生きて参らん
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満月とともにやってくる 月のもの 呼んでないけど まだやってくる
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節分には 大豆と鰯 今もまだ 恵方巻きには のれずに過ごし
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春風と遊ぶわたあめつれもどす道中ぼくはきみに出会った
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「ポンコツね」なんて言ったら落ち込むわ「あんぽんたん」って言ってあげなきゃ
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バブル時の深夜タクシー取り合いを思い起こすや「東京アプリ」
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耳馴染まぬ「片持ち梁」てふ技術語の人間臭き力の入る
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永眠を致しましたと通知する者すらおらず風と化してる
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懐かしい詩を投稿待っていたこの一度のいいねドカ盛り
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遠出して昔の赴任地通りなば 思ひ出手繰たぐりて多弁となるつま
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傍らに 餅入り最中 桜色 貴女の笑顔 想い噛みしめ
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感覚も失せる程 凍へし両手かざす ストーブの匂ひ 昔日
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淡々と読み上げてゆくAIと声まで熱い候補者の声/ラジオ政見放送
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馬の骨いいねと父が言いました誰もが無理をしている家で
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北の湿原 タンチョウヅル 雪に映ゆ 雄々しき翼 広げつつ舞う
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足早に前を横切るキジ猫の耳にひとひら桜刻まれ
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はらわたに焼けたハラミをブチ込んで心身満たし己を冷やす
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子への愛 気恥ずかしいな 何故だろう  けたる愛が 足りなかったか
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外された眼鏡の奥に棲む嘘を飲み干す人が私でよかった
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「生きるとは誰かを想うこと」と言う君の心に棲む人に傘
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木製の臼に湯を張り、湯を捨てて、ふかしたてのもち米を待つ
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