テレビ画面紅葉を見て心養老渓谷へ走る
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沢山の真顔をくれてありがとうそちらにいなきゃダメですからね
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野放しで己を律せぬ二十代 仕事のルールをじゃんじゃん破り
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過ちを他人ひとに背負わせ嗤う鬼 日輪刀を打ってもらおう!
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キャビネット空っぽだけど朝鍵を開けて帰りに閉めるお仕事
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朝毎に雀にとパン屑まけば痩せ狸来てそれを漁れり
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なんとまぁ多くのゴミを出す命フロアにかけたコロコロを見て
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購いし玉葱の苗絡んだ根世の人模様倣ってるよう
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朝起きてそのまま二度寝昼過ぎに起きてぼんやりしている土曜
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昭和の雰囲気漂うアーケード100円ショップだけ令和にて
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歳をとる事は嬉しくないけれど 君の祝福が欲しいだけかな
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異次元の時を超えてく地球号 ボカロ響かせ船は満員
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順番を並んで待つつきたての食感感ずもちつき大会
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肩触れる 微かな熱に 重ねきし ときの記憶 静かに沁むる
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無人駅 氷雨で濡れる単語帳 私は私を好きになれない
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アドヴェントカレンダーやっと開けられる! かじかむ指先今日は一日ついたち
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残り物お弁当に詰めて起こす愚弟 「起きれた?」のライン ママのいない日
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はや12月 共通テストの影せまり 静かな焦りに襲われる
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つんのめり下りる坂道ただ独り破棄したファミリースナップショット
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◯ソッ!君たちは◯ソばかりしくさって◯ソをとりつつ呟く心/猫と⋯
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優しさが軽んじられる世界なら花屋はどうして街にたたずむ
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ちょっとだけヨコシマなことしてみる?と肩にもたれる霜月晦/八年目はじまる
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穏やかさ 宣言直後に ご機嫌が 吹き飛びそうで スイーツ補充
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スーパーで米高ければパンを買う珈琲なければお茶を飲む
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十六の春聴く アンディ・ウィリアムス 『イェスタデイ』はビートルズなる
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我が重さ支えるほどの脚力を 妻にも求む日 来ずともよし
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小さめの罪悪感が巣を作る レシート捨てるための入れ物
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夕飯は何年ぶりかのバーモント体は憶えている作り方
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華のある時代もとうに過ぎ去って不思議な星に長居してます
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輝きに当てられ閉ざすひとたちは闇に呑まれて自我を失ひ
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