鞄から くしゃくしゃ原稿取り出して 夢追い人が また旅に出る
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一年の終わりとそしてこの恋の、終わりが重なる十二月の夜
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繋ぎ来し皺深き手を離しをり 貴女の冷えた頬に菊添ふ
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二十年 輝き終える パーパット カップインの音 清しくも消え
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旧友とメールやり取り そつなくも AI作のコピペが映える
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非正規の吾子が投じる月一万 子ども食堂どうぞサバイヴ
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千年の クスノキのもと 子守唄 星の降る夜に 永久に眠りたし
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幸せのなくなることは確実で「生きたい」の「死にたい」ではなくて
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歩みがね どんなに小さい歩幅でも 進んでいるよ 頑張ってるよ
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コイン精米の明かりを恃みつつ消えたいくらいただ帰り途
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自分しか食べることないスパゲッティ綺麗に盛っても誰も見てない
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本を買う 私がわたしで あることを 諦めていない そんな気がする。
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聖夜前 小雨そぼ降り 煌めくイルミネーション 濡れる路面と 神コラボ
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夢やぶれ 都落ちせし あのころは なにも持たぬゆえ 自由でありき
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宇治行きの 特急二台 見送って 洗濯を干す 「2月にはきっと」
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秋とばし 酷暑すぎれば 年の暮れ あれよというまに 湯船には柚子
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今晩の玉子のおかずは何とでも店で迷うはやはり明日あすのイブ
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風邪に臥し身動きとれぬ日を過ごし師走の晴れに布団干し、さあ!
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遠い町見知らぬ街に吾を置き 地下鉄はただ走り去りゆく
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腰骨のあたりにホカロン心地よし タオル差し込み じわりと伝導
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街なかのオルガンの音に足を止めふと溢れだすパンドラの箱
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けさは ゴハン かんしょく完食したよ ちま猫ちゃん おかあちゃんは うれしなみだよ
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あいにくの 曇り空なる イブだけど なるべく楽しく 過ごせたらよき
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何ひとつ決断できぬ殿ならばやむを得まいとつばに手をかけ
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朝焼けの雲が輝く大空にひとり散歩で背筋を伸ばす
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わからない息子だったろわからない母さん見てて思ったりする
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プレゼント贈るも所詮自己満か 喜ばなけりゃ逆ギレするし
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編み物に 気は急くけれど しばし仮眠 ねこたちみんな ねんねしている
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道端に が落としたのか 推しヌイ 泣いているのか 羽撃はばたいたのか
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雨の日の黄シグナルは寂しかろう心の岐路にひっそりと立つ
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