サックスの深い音色は時をかけ心に届け夢みるごとし
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残雪は 風を味方に へばりつき 春押し返し 子をまもりたる ※「子」 雪の下の草や種子や生物
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此処に吹く 日暮れ時の風 停滞し 灯もともらずに 主なき家 / 地方では当たり前 わが家も何れ
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重ねても重ねても目に見えないまま夜の途中でゆらぐ約束
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「動けない」 「お金もないよ」 有事とは 人の暮らしを 顕わにしたり
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一日も 忘れずにいる 君のこと 一年経ちても きっとずっと
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大阪の環状線は危険なり 円を離れて知らないとこへ(猫好き様へ忠告)
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「誇り高き下等動物」君のことそう呼ぶことで怒り鎮めん
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マップには溢れるほどのPの文字 ハンドル切ればポイ活通りへ
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葉桜に囲まれ匂ひしるく立つ突羽根つくばねの木へ蟻の一筋
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足悪き老人ひとの願い聞きいれず夕暮れのなか走りゆくバス
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スーパーで通信障害 手作業の レジ 賑々にぎにぎしく長蛇の列なり
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喜寿傘寿古稀米寿なる方たちのよほど元気な私などより
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リプトンを3分蒸らした色の海 夕陽のレモンを1枚搾って
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夕浜に紅く艶めく桜貝期待は気化し波が掻き消す
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抜歯済む 痺れの残る歯痒さがロイヤルミルクティーに ほつれる
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蜘蛛の巣が 成長してゆく 春先の 牛歩のような 綱渡りかな
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目鼻口、喉の奥から耳までも 痒みて腫れる花粉症哉 
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予定見て 今日行くところ あるだけで 心うきうき 朝が始まる
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方舟の秋津島にてゆるゆると ハルマゲドンを高みの見物
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君去りて 落ちし蕾の あかきこと 子の呼ぶ声に 我は老いゆく
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羽々斬はばきりを 構えて大蛇おろち 幻影の 我のクロユリ 断ち切れぬなり
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サウナにて整う恋を許すまじ浴場出でて君と待ち合う
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思い出は 巡る季節に 風化して この春消えた 君の面影
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流れ去る モーツァルトの 協奏曲 意固地な我を 解き放たれり
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東雲の明けの早さは加速して眩し陽光ひかりに力得る朝
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努力など誰も見てなどいないこと分かりつつある二十代なり
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海見つめ 君を奪ひし 訳問ふも 優しき波音 詫びに聞こゆる
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迎撃を 巧みにかわし 爆撃が 原発襲う 修羅の果てなり
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明るめの歌が書けなくなったとて今を読む事それしかできぬ
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