割切れぬ無象を残し末期の眼虚空の底に何をか映す
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あと五分眠っていたいと思ってた 今は眠れず朝を待ってる
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題∶「朝のエレベーター」 朝の刻 箱に居並ぶ 上下(かみしも)の 礼ぞ済みたる 後(のち)の静けさ
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来客にすました高い声を出す米寿の母の現役感よ
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誕生を今か今かと待たれる児生まれる前に既に幸有り
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「無事です!」とふ我がの夫のふるへ声に受話器を扼し幾度もお辞儀す
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青空に白く浮かんだ半月を撃ち落としたい仕事始めに
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最大の 肯定なのだ まなざしは 目合うと笑う 吾子見て思う
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神様は80億を比べつつ念波を数値化スカウターかけ
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悪魔でもあくまでも人間だから勝てるはず「側近ならね」と映画みたいに (世界の独裁者め!)
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実家にて 調整役を 降りてみる 波ありつつも 終わり良しかな
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岐路に立つ 僕らの背を押す 春一番 往復切符 胸に仕舞って
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それぞれに軌跡があってきもがある泡沫諸兄我が道をゆけ
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想い出に入れずにおこうカギかけて思い出したくないことはもう
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寒けれど 寒さの中に 風情あり  ため息一つ 気霜きじもに変わる
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稼動する他人の生をあまた観る老い始めても止まぬ業あり
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もういいと人生はそう返せない神が返せとおっしゃるまでは
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「東京ドーム〇〇個分の広さ!」凄いことは分かるけど一個分を知らない
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風が吹くバケツごみ箱けとばして私はこたつ一日炬燵
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燦々さんさんとひばりの歌に包まれしエンゼルメイクの母は昼寝か
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湯上がりに腰に手を当て瓶牛乳飲み干す昭和まだここにあり
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孫送り届けてうつろ帰宅せば 忘れピクミン 輝きて在り/アイコン変えました
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固まらないプリンみたいな幸せにゼラチンなんていらないもんね
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この寒さあらわす言葉知らなくてめっちゃをつけて寒い寒いと
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「おなかちゅいた」の ねこに ひとくちおやつやり そのまま二度寝 月曜の朝
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電磁波の海を漂う魂に冬がWi-Fiのように刺さる
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ゆく人もこち来る人にも隔てなく うつむき微笑む水仙一輪
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竹林の木洩れ日きらめく道ゆきつ 彼らの前途みちもかくあれかしと /成人の日
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ン十年巡って過ぎたあれこれを宿して開く今生の花
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母子登校トンネルの中を歩くよう自立を信じそっと手握る
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