青春てふ季節巡りて立つきみの頬に冷たき風のそよ吹く
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お仕事は僕にボールを上げてくる働き者は嗅覚が効き
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蕾たつ夜半の薄紅つまむ指 触れちゃいけないものと知りつつ
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電波時計 二人の波長に 狂わされ 誰も知らない 履歴が残る
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阿仏尼の 如く嘆きて 居ますらむ 彼岸の墓参 行かぬ不孝を /『十六夜日記』
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菜の花のこうに酔ひつつ螺旋なす蝶や現と夢のあはひに
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もう炬燵はずしたのかといや炬燵かけちゃいないよ転びそうだし
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血圧を下げる薬をのむやうにガソリン価格を下げる税金
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ため池の堤防で詠む春の歌「鳥はさえずりたんぽぽ笑う」
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グラスの中でずっと眠っていた星をいともたやすくきみが光らす
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潮風とかけっこをした散歩道 桜散りゆく 3月下旬
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大根を煮たけど少し硬かった明日の昼と夜も食うのに
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あのひとは 今頃何を する人ぞ ホーム画面に 赤丸探す
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したいことあふれぬようにしまう箱さがしておりぬ…はなはさかりに
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春休み サイゼに響く子らの声 耳に美味しきボンゴレ踊る
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手をはらいひとりで歩く甥孫や 動画に映る父の面影
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音もなく 月明かりのみ 照らす町 単車の音に 明かり灯る
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君に言う はずの言葉を 路地裏の ぬくぬく眠る 子猫に語る
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十五夜の下「もと」の桜と頬染める君待ち恋し上弦の月
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生活は 日々のタスクの 繰り返し 手をかけるもよし 抜いてもいいよ
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にくきもの止まらぬくしゃみ 日曜の朝のピンポン トランプの顔
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ひかり降る覚悟を決めて卯月へとヴァニラが溶けるように進まむ
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庭先で 土筆とふきのとうを摘む 後の手作業も  たんたん楽し
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渡されしロールサンドの誇らしく赤きリボンを春空に解く
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薄紅のグロスに虫が捕まりて こんなところで春を知るとは
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親からの愛を知らずに育つ子は一生愛に不自由するんだ
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さくらで 人は気付かず 踏みつける 同じ春咲く 小さき花を
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田舎道陽射しを浴びてひとり旅 蓮華の紫快晴の蒼
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柵に干さるる さき白き上履き 二足ふたそく並び 春光浴びぬ
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窓辺なる光にまぎれ名無き虫 命を震ふ春の訪れ
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