松本直哉    フォロー 10 フォロワー 11 投稿数 404

たれもかれも討ち死にしたりはつなつの六時間目の古典文法 

かぜふけばななめになびくけむりみゆはかなきものはいのちなりけり 

手をつなぎかちにてわたる思ひ河しのぶ逢瀬のみづのつめたき 

バー越ゆるせつなのせなかしなやかに反りつつとぶや陸上の夏 

ひとり活きひとり死ぬこそいのちなれほのかに苦き独活うどのきんぴら 

空のはて恒星ひとつほろぶときかすかにゆるるつるばらの茎  

脚と脚手と手からませねむりけりほととぎすなくよるはやさしく 

きみの手にみちびかれ入る深き森くらくしめりてほのあたたかく 

をさなごに小さな靴を履かす朝きみにとつてはすべてが未踏 

第四コーナーすぎればみえるしろいおび両手ひろげてまちうけるひと 

木の間よりもりくる月のかげ白くいまさかりなり茉莉花のはな 

なにもかも絵空ごとぞとおもふとき天にははなび地にはくちなし 

海のいろあをかりしかばびんづめの手紙ながしぬあてさきもなく 

オーボエダモーレふいにかなしき夕なぎの松帆の浦にうしほ満ちくる 

求愛の姿態そのまま凍らせて永久とはにもだせりギリシヤの壺は 

ひそやかにリュート鳴りいづものなべて薄明となるいのちのはてに 

密会の公園昏き春にして風のまにまにきこゆるチャイム 

ただ光のみ糧として生きてみたい青い葉をもつ草木のやうに 

声のなき歌きこゆなり白き花黄の花咲いてしづもれる庭 

降るとしもなくふるはるのあめのおとききつつうたへミゼレレノビス 

かなしみとうれひのちがひ説く君のうつむきがちの白き横顔 

白き蝶とびかふゆふべ摘みゆかむ金のりんごと銀のりんごと 

こころをばなににたとへむひぐらしの声ふるさとの夕暮れの空 

われてもすゑにあふこともなきへだたりの波間をこゆる一羽のかもめ  

足のつかなくなるところまでおよいだらみえるでせうか白い夏の帆 

はかなくもなきいでにけりひとすぢのせみの声する梅雨のあとさき 

あぢさゐの花にこころをたとへまし憂しと見し世のうすむらさきの 

顔のしたなべてどくろとおもふときほのかに白きどくだみの花 

第四コーナーからだかしげて曲がる子のひかがみ白く夏さりにけり 

ほととぎすなくやさつきのしののめの降るとしもなくふる雨の音