松本直哉    フォロー 9 フォロワー 9 投稿数 299

ぬぎすてて裸にちかくなる樹樹の凛として佇つ霜月の空 

散りぬれど色こそまされ朝露にさくらもみぢはしとどぬれつつ 

たまきはる命はかなく「死と乙女」聴く小夜ふけてあはき菊の香 

しぐれ降る生駒の山の峰かくれ見ねど恋しき君がまなざし 

しらじらと月かげさゆる道行きをかへりみすればすべては枯野 

初しぐれ過ぎにしのちのしづもりにもみぢ葉の散るおとのかそけく 

もみぢ葉のいかだにのつて竜田姫去りゆく秋の川風さむき 

にほへども散りそめにけり初冬のいろはもみじは風のまにまに 

しろたえの雪かとぞ見る霜さゆるあしたの庭ににほふ白薔薇 

あこがれは蝶のごとしも垣根こえみづうみこえて雲のはてまで 

後ろ手に留め金はづすおもかげの白きせなかを恋ひつつぞ寝る 

亡きひとのまなざししのぶさざなみの志賀のみやこにかりん熟れつつ 

のりつぎの駅にわかるるゆふまぐれ領布ひれ振るひとのとほざかりゆく 

散り敷いてこがねのいろに染まる道きんもくせいも恋もをはりぬ 

もうすこしいつしよにゐたいな ささやいてうつむくひとのまつげのながき 

かれはてて花たちばなのかげもなし行方しらせよ秋のやまかぜ 

逢はぬまま朽ちやはてなん夕陽さす口縄坂に紅葉かがよふ 

朝寝髪くしけづる子のまなざしのまなくひまなくわが恋ひわたる 

いそのかみふる雨ごとに秋ふかみからくれなゐに染まるうつし世 

金色のちひさき星のかたちして秋雨に散る木犀の花 

しるべなきくらぶのやまに行き暮れぬ道だにてらせ秋の夜の月 

すみかはる世こそはかなく思はるれかたぶきそめし秋の夜の月 

刈りいれもをはりにけりなひえびえと田の面をてらす秋の夜の月 

うつむいてくちべにえらぶをとめごのうなじのしろき秋の夜の月 

むらさめのすぎにしのちの雲間よりさえざえひかる秋の夜の月 

みたされて添ひふす閨のくらがりをほのかにてらす秋の夜の月 

言ひよどむくちびるあかき去りぎはのあきのゆふべのあざみ野のえき 

ゆるやかにマズルカは鳴り甘やかにリラの花咲くいざ唇を君 

ははそはの母のふふますちちふさのあまきにほひのはるかにとほく 

すききらひすききらひすき乙女子のかざしの花をちらすあきかぜ