Utakata
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松本直哉
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燃えつきて灰になるまで見まもりぬわかれし人の文を焼きつつ
9
うながされ子らは帰りぬ夕暮れの砂場にのこるトンネルひとつ
9
足おそき人にうまれて雨乞ひのダンスを踊る大会前夜
4
二階より伝つておりる縄梯子この世の外のいづこなりとも
7
いつまでも来ぬバスを待つをさなごを背負へば重し睡魔に負けて
5
暗闇に慣るるまでの間ながかりき涼をもとめて
葦簀
(
よしず
)
の
庇
(
ひさし
)
2
ここが足ここが頭と助産師の触診の手のあたたかく撫づ
10
反省の色は何色 全体に霞みがかつた夕空の青
14
サンダルを素足に履いて子どもらのシャボン玉吹く夏は来にけり
4
庭先に干す衣にもジャスミンのにほひうつれば夏の範疇
9
水仙のかをりただよふリビングに離婚届の紙薄かりし
14
伺へど休診の札かかりをり熱のある子の手を引きかへる
5
近寄れば塀の上より飛び降りて悠々として歩み去る猫
4
聖堂に「憐れみたまへ」の声満てり愚かの神に祈るべけんや
2
軽やかな筏に乗りて漕ぎいでな夏の一大紺円盤へ
3
マルクスのヘーゲル批判読みあきて空見上ぐればひとすぢのくも
2
かきくらし地軸は揺れて幕裂けつなにゆゑわれを見捨てたまひし
2
爽やかな風吹きわたる緑蔭に弔問の列とぎれざりけり
4
たらちねの母の裳裾に隠れしが片目覗かせ笑ふをさなご
3
なすの紺ししたうの青かぼちやの黄いろとりどりの夏揚げにけり
9
さかさまに吊るして春を惜しみけり花のにほひはうつろひやすく
5
邂逅はいかなる火花散りにけむ老いたるゲーテと若きベトヴェン
2
うしろから目隠しされてふりむけば春の日暮れの荻窪駅前
5
削除また削除のすゑにあらはるるりんごの芯のごときたましひ
10
おととしの柱の傷ものこりけり姉と妹と測りあひし日
3
一羽鳴き二羽が倣ひて三羽和す 夜明けを告ぐる鳥たちのうた
6
ひらかたのさくらひとひらひらひらと春たけなはとなりにけるかも
1
トンネルを抜ければ流竄 われこそは新島守とつぶやいてみる
1
貿易商グラバー邸よりながむれば波しづかなる長崎の海
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身まかりし数日前に途絶えたるインスタグラム見つつ偲びぬ
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