松本直哉
フォロー
10
フォロワー
25
投稿数
548
くちびるに捺印をして契るとき恋は荒れ野と思はざらめや
2
水かへて水がすむまであらひませう汚れちまつたかなしみのため
1
ひさかたのはるのひかりのふるさとにほころびにけり花のつぼみは
3
こぞのなつ金魚を埋めし土の上に一輪のはな咲きいづる春
1
いまだ風つめたく吹けど道のべの沈丁の香にしばしたたずむ
2
やせたいといふをとめごに白菜のサラダつくれば風は春いろ
2
なぜなやむものに光をあたへしかヨブ記読みつぐ夜半のしづもり
1
ぬばたまの夜道をゆけば梅のはな重くぬらして春雨のふる
0
郵便夫てわたす朝のきさらぎの合格通知のあかるき厚み
4
地におちて見るまに消ゆるあはゆきのはかなき恋もわれはするかも
2
梅のはな散るかとみれば冴えかへる空よりふれるこな雪の白
0
ほのかなる香にさそはれてみちすがら足とどめけり梅が枝のもと
0
春ちかくなりにけらしなぬばたまの闇夜にかをるあはき梅が香
1
さざんかの小径をゆけば冬うららちるちるみちる啼きかはす鳥
0
亡きひとのゆめばかりみるこの幾日うめのつぼみのほのかにあかき
2
「だつこして」むづかる吾子をたかだかとかかげてみれば冬空の青
3
たまきはるいのちなりけり弓なりにからだたわめて雲梯の子よ
1
見し夢はうつつならなむしんしんと肺碧きまでヘレスポントス
0
うつすらと霜のおりたる冬園にほのかにあかきシクラメンの花
0
いまだ土をふむこと知らぬみどりごの足に触るればこころやはらぐ
2
イブの日のデートは野宿ひさかたの星星の降るベツレヘムの丘
0
有り明けの空にかかれる月かげの消えかへりつつもの思ふころ
0
さくさくと小口にきざむ青ねぎのかをりすがしく冬さりにけり
0
朝寝髪くしけづりつつ子の話す夢のつづきはわたあめのやうに
0
すみれほど小さき人に生まれなばすみれの色の靴を履かまし
1
夢はいつもかへつて行つた白壁に干し柿熟れる遠いふるさと
1
なにものももたずに生まれなにものももたず死ぬこそいのちなりけれ
4
火事あとをみるためにするまはりみち月かげしろく廃墟を照らす
0
住むひともなくて荒れたる庭なれどいま盛りなりさざんかの花
3
知られじな夜もすがら吹く木枯らしに散るもみぢ葉のつもる思ひを
3