松本直哉
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ものおもふ身を深草のつゆしげみさびしききはみ手折りてぞ来し
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サンジャック通りこゆればふかき闇みるべきほどのものはみたりき
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さめやらぬ夢のほとりにおく露のかわくまもなくものおもふころ
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ほのぐらきパリのメトロの通ひ路に玲瓏と鳴るヴィオロンの音  
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みすずかるしなののくにの死ぬまへにたづねてみばや野尻のうみを
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うれひつつ庭ながむればうたかたの夏のはてなる一輪の薔薇
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プールサイドみえないままの背泳ぎのただあをいそらだけをたよりに
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思ひ寝のゆめにもなみのおときこゆさがみのうみを恋ふるよなよな
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手をつなぎなみうちぎはにおりるよるうちあげられたいるかさがしに
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あらざらむこの世のほかの花野にも咲きやしぬらむ曼珠沙華のはな
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言ひさしてふと口つぐむまなざしのひとみのおくのまさをなる海
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まきもせずつむぎもせずに遊ばましガリラヤの野の百合ならませば
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をりとりて髪にかざせる花ばなのいのちみじかき恋もするかな
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したもえに恋ひやわたらむすがわらや伏見のさとの伏し目のひとに
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あす知らぬいのちといへどさもあらばあれあきのなすびの塩麹漬け
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ながあめにぬれそぼつらむぬばたまの夜をこめてなくみみづくのこゑ
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あまのはら星星のみなもだすときさやけくひびくイズラフェルの琴
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見たくなきもの見ずにすむあたら夜や無月の雨のふりみふらずみ
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しめやかにあきさめのふる音すなりむかしのひとの夢よりさめて
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秋の田の穂のいろいまだあをけれどいとど待たるるこがねのみのり
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見しゆめのうつつならなむぬばたまのやみにきえいるヴィオロンのおと
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夢の世のうつせみのこゑとだえしてこずゑをわたるあきのまつかぜ
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夕されば草葉のかげに鳴く虫の心づくしの秋は来にけり
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はかなしな葦の入り江はゆめなれやあべのはるかす灰色のまち
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ちぎりてしそのことのはもうつろへばわくらばにおく秋の朝露
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絶えにけりひとよの夢をかぎりとて交野がはらにあきかぜのたつ
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きらきらとかけらかがやくかたまりの氷のこにて挽ききりゆけば
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うつせみのこゑもやうやくおとろへてくりかへし弾くワルトシュタイン
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しやせましせずやあらましまよふ間にはや夕ぐれとなりにけるかな
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野分あとふりさけみればあまの原くものかたちのあきにちかづく
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