松本直哉
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かれはてしなみだのもとをたづぬればかなたに消ゆるなつの逃げみづ
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われもまたひとりのトマスきずぐちにゆびさし入れてなほもうたがふ
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きつねには穴あり鳥にねぐらありガリラヤの丘葡萄熟れつつ
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‪うつすらとひたひにあせのにじむ子の髪かきやれば夏野のにほひ‬
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たましひのわびしげなればたましひをかいてんもくばにのせて見てゐし
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レクイエム果ててもどりしうつせみのかぜはみどりに雨をはらみぬ
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おのおのがしろく小さき十字架を負ひつつ咲けりどくだみの花
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ここではないどこかへとんでゆくためのしろいつばさがあればいいのに
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ひたすらに花におぼれてみつを吸ふ蝶となりゐし思ひ寝のゆめ
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にくしみがにくしみを生む世をさけて肉じやがをにるなつのゆふぐれ
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手にはなほぬくもりのこる別れぎは袖をふりつつとほざかりゆく
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ソロモンの栄華にまさる野のゆりのよそほひをせよ我がたましひよ
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カーテンをしめてだきあふまひるまのあやめもわかぬわたつみの底
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北溟の鯤てふ大魚わが家に飼はんとしたるゆめみてめざむ
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こんなにもみどりまぶしい五月の日ネクタイえらぶ弔問のため
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ほほのなみだぬぐつてかるくキスをしてしやくりあげる子ねむらせる夜
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よりたかくよりたかくこぐぶらんこよしきゐをこえてこの世の外へ
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いのる手の花をひらいてときはなつ蝶のゆくへを知るよしもがな
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こころなきやまの風かな吹くからに薔薇の花々雪と散りぬる
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難波江の蘆のかりねの夢のあと天を摩す墓碑ひしめき立つも
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ことばなどおぼえなければよかつたな薔薇咲きほこる庭にたたずむ
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遠景の少年の曳くくるまより白線いづる夏のグラウンド
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きみを抱くよるのしじまにカーテンのふはりとうごく風はらみつつ
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わがこころ千千にみだれてくすのきのなみきをゆけばあはき樟の香
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かずしれぬつぼみほころぶあぢさゐのつゆわすれずよひとのおもかげ
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鈴ならば玲瓏と鳴りいださまし風にゆらるるヂギタリスのはな
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なじみなき香りまとへるをとめごの日々とほざかるはつなつの距離
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咲きみちてさつきの庭の昼しづかゆめよりかろき蝶のかげさす
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はなびらのかずかぎりなく咲き重りあえかにたわむばらのひと枝
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朝な朝な来ては世界のねぢをまく鳥のすがたはみえないままに
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