松本直哉
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ほのぼのと明石の浦の怨みてもまだあまりあるわがなげきかな
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はしきやしめぐしと日ごろ撫でし子の花より団子の食べざかりかな
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世間体といふ縁なきことばあり花散る里の抒情組曲
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雲となり雨となりても逢ふことのかなはぬ恋と悟りぬるかな
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約束は藍色なりきさゆりばの知られぬ恋ぞ淵となりぬる
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子をやどすひとの象形と知りしより身といふ文字をつつしみてかく
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まつたくのまの字略して発音するやうな人にはなりたくもなく
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あさまだきまだあたたかき麺麭を買ふカルチエラタンのしきいしのうへ
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世のなべてうつろふものはかりそめの比喩にすぎぬとゲーテはいへり
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豊頰をほのかにそめてをとめらのいでたつ野辺にみどりもえいづ
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時じくの雪ぞふりけるこまとめて袖うちはらふはるのゆふぐれ
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重力にさからつて跳ぶ日々あつく陸上男子の夏のたけなは
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日に一度ひづめもかるくかけりくる郵便馬車を待ちがてにして
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湯あがりを寝入りしひとのぬばたまの髪かきやればかはききらずも
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あすの米あらふくりやの小夜ふけてさくらをちらす雨ふりやまず
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日一日日暮れのおそくなる庭の茉莉花の芽のあかくいろづく
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身の丈の五十センチのみどりごもいつしかわれに肩ならべける
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園児らの「如来大悲の恩徳は」こゑをさなくもうたひけるかな
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清明のやさしき雨につつまれてさくらさく村はるかにけぶる
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恋衣おもひおもひに染めなしてさくらの下の愉しきうたげ
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花便りとどきにけりなたれこめて春のゆくへも知らぬわが身に
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あんず咲くローマの春の謝肉祭やそのちまたにあへる子や誰
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狷介な雄のけもののにほひして走りすぎにし体育少年
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夕かげの名残りたゆたふくれなゐの山の端みればいでし月かも
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ひさかたのひかりの朝のふつか酔ひ所詮この世は一炊の夢
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むらさめにひぐらしのこゑ途絶えしてさりゆく夏の花園のゆめ
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ゆすらうめ薄くやさしきももいろのはなさく庭をしばしたたずむ
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すずやすず風鈴をだまきくりかへしアイスキュロスの韋編たえつつ
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吾妹子よいざ旅に出んめづらしき花々の咲く閑雅のくにへ
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ムルソーのもとには来ずや異邦人救ふといへる万軍の主は
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