松本直哉
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よもぎつみゆがけば青みあざやかに春の団子にいろどり添ふる
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選挙車の連呼に目覚め泣き叫ぶかはいさうな子選挙滅びよ
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靴ひもを解く値うちさへなき我といへども春のあはれ身にしむ
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魂を陰干しにして春ふかく昔のひとをしのぶもぢずり
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思ひ川わたればくらき通ひ路に沢の蛍のあくがれいづる
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たましひのくらがり峠今日も雨妥協といふことつゆしらぬまに
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恩寵はすべてのものに紫木蓮白木蓮の花の上にも
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「詠歌大概」ゆきなやみつつよむ日々の春のはじめのゆきやなぎ咲く
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買ひ物の不便な街に住みなれてひと駅ぶんの散歩楽しき
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ほのかにぞ寝覚めの床にかをりけるきみのたをりしフリージアの花
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手毬唄うたひてかへる子どもらの影ながくなる春の夕暮れ
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いつの日か時の終はりの来たりなば絞り芙蓉のままに朽ちなむ
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「しつかりと」ばかりいはれて生きてきた男といふ名の罰ゲームだつた
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すり鉢の底までたどるくらがりの巡礼の年ダンテを読んで
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幾歳月こえさりゆかば原子炉の消えなむ国ぞ今日もなゐふる
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ぬばたまの髪ふりほどく門のそと校則といふほだしをよそに
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関係文綾なす森をふみわけてプルースト読む学園の午後
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沈丁の香りほのかに小夜ふけて「義に飢ゑ渇くひとはさいはひ」
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ヴァロワ朝系図うつくし解きがたき糸幾重にも結ぼほれつつ
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しながとり猪名野をゆけばぬばたまの夜空をこがす大輪の花
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はるかなるひとを恋ふとてふすよるもへだたる世にも穗にいでめやも
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つぼみいまだかたしといへどこうほのかみつつかすむ桜の並木
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かろやかに歌ひだしたるセロのふしチャイコフスキーのロココスタイル
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‪ふり仰ぐ空に電線スパゲッティかくもはかなき命綱かな‬
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バイロイト「指輪」ラジオにながれつつ煮しめくろまめ炊く年の暮れ
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芋ひとつころがる納屋のくらがりの手負ひの鹿の風雅な眸
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材木座海岸の夏果てにけり空舞ふ鳶の声の切れぎれ
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冥府よりメールマガジンとどくゆめオルフェの琴にねむる番犬
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箸といふやさしき道具たべものをきずつけぬままふはりとすくふ
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よのなかはあそびをせんとや生まれけんかりがねわたる浮き雲の空
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