Utakata
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松本直哉
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なにもない単色の浜に立ちつくす 大波引いてみな消えうせて
5
手つないで雷の夜眠ったね あのぬくもりにまた遇いたいな
5
形見分けと渡されている衣装箱 帰ってきたら何を着せるの
7
神さまの気まぐれですか 地を揺すり海波立たせもてあそぶなど
5
どのような
科
(
とが
)
があったというのだろう 一瞬にして押し流されて
7
寸毫の疑いもなし いつの日かまた会える日がかならず来ると
4
すぐそばに立つ気配して目をあける 短い午睡のなかのまぼろし
5
スイッチを押せばあの日のままの部屋 いつもつけてた香水の匂い
3
成人式出たくないから初詣ふたりで行った オブラディオブラダ
4
五千分の一縮尺の地図もって最後に踏んだ砂浜に立つ
4
いかほどの恐怖だったか 黒い波押し寄せてきてすべてのみこむ
5
野崎孝訳が好きだと言ってたね 青い表紙のライ麦畑
5
頑固だねってよく言われます 生きてると信じつづけて哀悼もせず
6
巨大なる波にさらわれいまいずこ ひしゃげた列車日にさらされて
3
適当に相づち打って通話切る それが最後とわかっていれば
9
身にまとふ香りのゆゑに知られけり名を秘すれども仮装舞踏会
7
金色に銀杏色づくキャンパスの社会学科に空席ひとつ
7
びっくりした?夜叉の恰好してみたよ 踊り明かそうハロウィンパーティ
3
難波江のみじかき葦の節の間もねむらぬままに聞く虫の声
8
あのときのシュシュ借りたまま返せない 戻らぬひとを待てど暮らせど
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フォロー解除するにしのびず読みかえす十月末の最後のブログ
4
同心円ひきしぼりつつ鳶舞へば相模の海に秋は来ぬめり
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湯豆腐やいのちのはてのうすあかり利尻昆布は湯にをどりつつ
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試着室カーテンあけてにっこりと今夜のコーデこれでいきます
4
行き暮れてあやめもわかぬ闇のなか金木犀の香のふいに立つ
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復唱のこゑくきやかに交換手オはオランダのオでございますね
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霧深き比叡の寺のともしびのたえざるごとくわがこころもゆ
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雨女(自称)のひとと経めぐれば廃園にふる雨音しづか
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「あたたかくしておやすみください」告ぐる声猫のもどらぬ夜のしじまに
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ただありあけの月ののこれる独り寝を誰がためとてやまんじりとせぬ
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