曉にうたよみ果つるあだし野は無明長夜の隧道とんねるのさき 

いま君は波の下からぼくを射て天のひかりは全てたましひ 

なんらかのバッドエンドのような日もむなしく海はかがやいている 

持ち主のまどろむ隙に本をでて名のない猫も散歩する春 

ケロッグや シリアルキラー巣食う街 冷蔵庫には君しかいない 

現在進行形今まさに、していること現在完了形し終わったことの区別をせん都会方言きょうつうご 

あまさかるひな暮れ六つの水鏡ひとり農夫は雲にたゆたう 

とりあえず実績解除の意味だけでやるにはまだ重すぎる結婚 

そこでしか繋がりがない人がいるだけのSNSやめられない 

風のない春も春です制服を脱いで可塑性そのものの君 

てのひらに液晶のある未来ではさよならのたび舞い飛ぶほたる 

こわれてるオルゴールからあふれだす音色は母の耳だけで鳴る 

コンビニのスプーンたちは微睡んでたった一度のくちづけを乞う 

林檎飴に紅を灯したあの夜の縁日の終わり見つけられずに 

《お疲れ様です!》って添えられた付箋、そのままにしてファイルに綴じた 

メンタルが 豆腐じゃなくて 良かったと はじめておもった 金曜夜中 

明日の朝カリカリベーコン焼く予定 幸せな日にできますように 

君の吐く言の葉はうつくしすぎる進研ゼミの模範解答 

1+1は2なんかじゃないよ例えばさ君が隣の美術史概論 

思い出を白く漬けこむ深々しんしんと マンモスがぼくを踏み潰して 

いい年で着せ替えゲームにはまり出す 昔の私を慰めながら 

ぬいぐるみ 幾つも並べて何とする 川の字 真ん中 母陣地狭し 

深夜二時繋ぎっぱなしの電話越し電波で時々切れる寝息が 

若かりし頃と呼ぶなら呼べばいい空を飛びたいなら飛べばいい 

ひかり浴び色褪せてまた色褪せてもう触れられないとうめいな海 

すまないね、うちじゃお前は飼えんよと 猩々蝿を潰して詫びる 

二百字じゃあまりに長いと思うのに三十一文字じゃあまりに足りぬ 

そら詠まねば生き易かろう、歌なんぞ, though どうしても息が詰まって 

心から 噴水のごとく 吹き出る血 適切な距離を 取ってください 

親指に力を込めて土を踏み朝ゆく僕ら 朝顔の蔓