横に立つおにいの持ち方を真似してはみがきをしてみる幼年期のある夜に
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昼寝する吾に寄り添う猫がいて 欠伸のあとに閉じた口 白し
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いつの日かウイルスみたいな言霊で人の悪意を浄化したいよ
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普段とは 違う弱気な 君と会う 目元に滲む マスカラの黒
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冷えすぎた 身体を癒す 豚骨の 匂い誘われ 太麺啜る
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作詞家になりたい人は手を上げて「ハーイ英明エレジーばかり」
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目の上に手を置き眠る猫のいて人の様子と重ねて見入る
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あの人の性欲すらも手に入れたい 恋人なんかになりたくはない
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耳たぶの冷たさをなで身をすくむ 君乗るバスを待つ停留所
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風止みて零下の夜はしんしんと白さ静けき雪灯りの街
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総選挙開票前に当選者出口調査は禁止すべきだ
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黒豆の 茶を飲み干して 立ち上がる 明日も家族を支えようじゃないの
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「お疲れさん」雪も嫉妬も溶けだして猫の眠りが夜を正すよ
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「ただいま」と猫耳に触れ水洗の僕の心に灯がともる五時
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雪文字で「スキ」を書いてく帰り道 僕は冬の子おかしな遊び
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誰もみな 裏表のかおがある人生なんてマスカレイド
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雪化粧、南の土地に薄く付き 北の貴方のお土産かしら
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上見れば 明き光に 急かされて 風に流れる 赤き葉の雨
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夏が一枚白飛びして軒下で醜く沈黙してると近所の黒川さん
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窓外そうがいの 風に舞ふ牡丹雪ぼたゆき眺む愛猫の 不思議そな眼差し
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人の非を突き抜く刃巡りきて おのが非さえも貫かんとす
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ふきだしの中にしたためた魂はえもじの子により幕を引かれた
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母という配役を降りた裕実ちゃんは109に行きたいのと言う
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庭先の五葉松にも花咲かせ音なく積もる束の間の雪
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ほろ苦い 砂糖の雪に 指を置く 穴の向こうで 今日が手を振る/
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ほろほろと 甘く蕩ける 優しさと 現実覗く ドーナツホール/
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投票所 通常業務 並行し 来客多し 息つく暇なし
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雪の朝 通勤途中 黒鷺が 川に降り立ち 元気をもらう
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夕間暮れ明日はなに色不登校の子を詠むだうた読む家にひとり
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日曜に子はべつべつの家へゆきサイズアウトの長靴すてる
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