「疲れた」と呟く気力すら無くて電子のゴミを眺めています
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「帰るよ?」と伝える君を思い出し「待って」と呟いたとて独り
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陽を浴びて 畑にトマトの苗二本 摘み取る孫の 笑顔待ちつつ
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木肌より ポッと出づる ふにゃふにゃの 小さき若葉 希望の緑
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現実を受け止められず左折した広がる原野に希望は見えず
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死滅したキラーT細胞たちを弔う力いっぱいの鼻息
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風の手も リンと鳴らせぬ 風鈴草 雨に打たれて ポツリと泣いた
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離れてもわたしの海を波立たす あなたはきっと月に似ている
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雨上がり屋上から見上げれば物干し台に晴れ間が見える
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湯気立ちて 眠気を払う ティーカップ ミルクの甘さ 心ほどける
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雨上がり キラリラキラリ ユラリユラ 房総の海 キラキラヒカル 
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もう帰れ ホームの我を 見下ろして への字の口を 食いしばる坊
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旅人の 歩を癒し 朝の陽へ 心清める クレマチスかな 
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子どもには驚きだったタクシーの祖父の一言「釣りは要らない」
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雨上がり波音耳に心地好し踊り上手に鳥はさえずる
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額縁を外した名画此処に有り水辺の道で眺める筑波
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乙女葉の 生々の香こう 瑞々しく  むせび漂い  群青埋み 風光る
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春の雨若葉の青さ洗い出す君と帰りし遠き日の道
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放課後の図書館通り並びゆく青葉の下に口数少なく
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図書館に問題を解く君の気配近くにありて単語帳見る
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目覚めれば打ちのめされたような雨 珈琲淹れて フォークルを聴く
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おしゃべりをやめないひとの右上に『✕』がないかと探してしまう
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いいねを求める心理がわからぬ己はわからぬままがいい
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ズンズンと食べ下したるラーメンの 出るを憚り 輪廻に届かず
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禅問答こたえてくれぬメンフクロウ仕方ないからブルマン淹れる
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動いても節制しても痩せないし推しは負けるし物価高のせい
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ちかごろじゃ廻し忘れた洗濯機ぐらいしかわたしを呼んでくれない
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真っ黒から 白へとかわる 途中だと 信じてほしい 薄汚れても
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隔てなき空にふと手をかざしみる誰にともなく限りある身で
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口にして雨が降るなら岩手にも降るよと言ってよ予報士の人
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