ちちははが今の俺より若い頃 何に喜び何に哀しむ
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バカにした態度が嫌い私だけお前なんかは消えてなくなれ
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素戔嗚のすさのおの八岐の大蛇を退治して櫛名田比売と出雲に暮らす
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晴れ時々無敵な私は気まぐれに 大嵐になるご注意ください
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「据え膳を食わぬは恥」の前世代 今日日きょうび食らえば 致死の毒薬
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記憶の層たまねぎのよう重なりて 木犀の香は古層を貫く
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薄暗い部屋で右手を強打して生きていること感じる痛み
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白猫しらたまはニャアと鳴いては頭突きする しなる体の温かいこと
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古都社 目眩めくるめく日に 手を合わせ レンズ撫でるは 秋の泡沫
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週明けは仕事片付け皆さんのウタカタを読む二、三日分
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朝軽く からだシャキッとテキパキと 午後はヨレヨレ アリナミン切れ
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短歌本読み作者の才能に感心するわれ歌詠み続く
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目の中で黒いスライム飼つている歩けば跳ねて術後良好
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明後日あさってが健康診断受診日で今日も明日もビールは飲まない
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風船は小さくなってゆきました。いつかぱちんとはじけたら空
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父が母に「生まれてからずっと付き合っていた気分」と手帳に遺すのこ
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いそいそと僕のおうちにやってきた 三年前の新型スマホ
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ばあちゃんが新米炊き方議論中 場所がパン屋で笑ってしまう
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私有地でフォークリフトを手繰らへばいつもと同じ風が頬なで
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趣味がない というか生きてる意味がない 寂しい 虚しい 何も意義がない
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脚弱り山の拝殿辿れない ふもと拝礼申し訳なし
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神秘とはかくも悲惨で痛ましい泥のうちよりいでる不思議ね
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千年のなまくらを研ぎて来し槿むくげが わが髄脳にらん匕首ひしゅさす
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サイコロが 転がるように 回る世界 今年も君と 流しそうめん
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「あっいいな」思って場所を見てみると遠く前橋、福岡、東京
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三人で恋話する大学生まだ恋愛の苦しさ知らず
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溢れ出す ゴミ箱の外 大名は 渋谷と共に 始発を待つ
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会うだけでちぎれんばかりに風を切るしっぽがあればバレちゃえるのに
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強情の業を降ろして軽やかに飛び交う蜻蛉の美しさかな
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ゼリエースのゼリーにだけある圧倒な食品サンプル感
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