両の手に紙の手触りその重み彼女の横で流れる静謐
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⋯リルと⋯ビア⋯ミン⋯ヂン⋯チンと名を言って卓に並べて飲む薬かな
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ほんのりと東を照らす朝の日は飛び立つさぎの透ける羽色
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猫柄の茶碗に 猫柄マグカップ 猫マドラーに キティのピーラー/うちのキッチン
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君が代も無くふつり閉ずさまを聴き今朝は閉じたと案内も聴く/ラジオR2終了に
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春休み息子家族のUターンにぎわいの跡残したままの
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山頂に捧げしカフェの湯気へ乞う友との無事の劔の下山
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鉄錆を研ぎ澄ませれば三日月の芯より清き真(まこと)極めり
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水仙は白と緑でできている「仕事やめて」と言われた昨日
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『エレジー』という名の記憶断片が七十年のよすがと知りぬ
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老猫を抱き上げ軽さ驚いてうまいものなど食わしてやろと
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積読を発掘中に重複をまた二つほど見つけ呆れる/持ってたのかよ!
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君だけに纏いて包むあたたかな春の微風よジェラシーも消せ
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愛でるには心を洗う美しさも手に収まらない桜(はな)のすごさよ
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渋滞も「止まれ」がきれいになるならと静かに待ちていつもの道で
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うしろ髪 しなやかに揺れ 残り香の 匂い爽やかに まぼろし消ゆる
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窓側で赤ベコのように揺れながら寝てる息子をインストール
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アボカドに 騙し討ちされ 激凹み 色艶質感 イイカンジやったのに
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予定表悔しけるかな白地欄嘘も赦せよ蜜入り逢瀬
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ルーティンの小言おぼろに消え入りて すぐれぬ君は はなのさかりに
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梅の園 メジロさえずり 梅の園 梅の香こぼれ 里艶めきて
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私にも家庭と離れる日が来るの朝霧夕霧たつ北の街
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見てくれし 人の歌見る 礼節は 板東真理子の 『女性の品格』
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正座して 痺れし脚を 引きて行く そろりとそろりと 狂言の如
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朝マックテリーマフィンを口にして ソースまみれの口元愉快
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虫食い歯 痛みが走り あら炊きの 鯛の目玉を 噛み当てにけり
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今のとこ、百パーセントの確率で、恋の終わりはあっけなかった。
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真実は人の数ほどありますが事実はひとつしかないのです
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思うよう 動かぬ子らに 怒号投げ ガキは己と 胸刺す理想
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ほっこりと 久方ぶりの 友の顔 春風戦ぎ 桜ほころび 又の日を
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