モノクロの 古き乙女の 写真から 初恋乗せた 荷馬車近づく
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不慣れにて処置オーダーの入力を女孫めまごのやうなナースに教はる
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心まで見詰め返して来るギリア愛する人に思い届けて
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稀なりや心に燃ゆる蜃気楼やおら夢世にわが身いざなひ
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今日くらい早めに眠れ、と愛犬の 気遣い受けて布団に入る /介助のために昨晩徹夜
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カスミソウ優しく包み彩りの華々映えし春の晴れの日
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初恋の寂しさ耐えて一日で萌えるカタクリ長き旅路へ
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九州の男が堕ちる地獄にはご飯の準備する人はいない
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キンセン花 命の捧ぎ萌えてなを慈愛果てなき道へいざなう
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底を裂く尖る相棒ポシェットを縫って改良バージョンアップ
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擦り傷の膝に手を当て塗る祖母のキランソウだよ遠き日消えず
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離れてもハイビスカスを二人して育ててゆけば一緒と同じ
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おはようの音を奏でるサックスの銀色褪せてセピアなる朝
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いつ会える金曜日なら平気ねの文に溜め込むランチの笑顔
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くしゃくしゃに笑ってみれば寂しさを吹き出し笑うあなたが好きだ
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朝の陽へ撒きし餌へ舞う群れ鳩と触れ合う爺の影は伸びやか
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枝の先 うっすら緑 ピンク色 木々も桜も もうあとちょっと
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ごめんねと ごめんねと思う夜は長い それでもやっぱり独りが良くて
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壊れてた無線イヤホンなおるようなリセットボタン人にも欲す
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愛のない単なるオスの事件には同時代者はついてゆけない
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常夜灯 辛くないすか?灯き過ぎで 言ってくれれば消しますけれど
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あなたには、届かぬままで 散る恋を 何と名付けて 春に捨てよう
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鉛のようにベットに沈む 目覚めたら時が戻っていますように
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花も散り暑さが寄せる今はいつ 春と夏とのあいだの虚無期
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ボイジャーが銀河の端に辿り着き「宇宙は広い」とようやく零す
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初めての孤独な夜に泣き叫び、かけがえのない君になっていく
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「少ししか会えないのなら会わない」と言いつつ抱き寄せてくれる君
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キッチンにキャベツを刻む音だけが響く一人暮らしの独り
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友達がいない僕でもトモコレを楽しめてます 明日はお休み
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駅前の 最後の信号 青ければ 僕は今頃 学校にいた
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