限られた日々をカウントダウンとして儀式なるかなパンを喰(は)む朝
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もう君は髪をなくしてしまったからカメラに風がうつらない。
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聴き終えたやさしい話に作り手もきっとと思う「ゆず、香る」 /深夜便ラジオ文芸館にて
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朝からの雨もあがりてしめやかに空暮れなずみサンマが焼ける
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日々のこと「気合で乗り切る」と言う君の小さきその身にどれほどの気合い
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振袖の見知らぬ人の卒業をそっと祝える他人ひとでありたい
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タニマチの思い切なき横断幕「平常心なら 一番つよい」
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このチョコが美味しいのよという音で「中山美穂が死んだの」という君
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トボトボと朝ゆく娘の足跡を拾って今日のファイルに綴じる
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曲がり角片目の猫と鉢合わせ 強く生きなよ春は来たから
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コンクリに スマホ落として 打撲傷 大丈夫そうだが様子みる
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波がしら 引いては寄せて 泡となる 朝霧湧きて 磯小島映え
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今を生き 目の前のこと ラベリング 彼岸の入りは 春を知らせる
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梅園の 寂しあでやか 薄れ日に ねた小鳥や 春はほのかに
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(多分だけど)インスピレーションなき我の歌の五、六分語呂合わせなり
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列島開花 桜のはな扉が開かれてピンクのニンフが駆けめぐる 見落とさないで私も待ってる
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フライング やっちゃったねと 冴え返る 医大の庭の 桜花(はな)を慰む
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巡りゆく 血潮の音の 心地よき 春の夕べの 手枕の夢
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にこにこと 微笑み絶えぬ あのひとの 悲しみ深き 顔もわが知る
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如何さまに 見そなわすらむ 釣り針の 如く痩せたる 月に思いぬ
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雨の日は 晴れを祈って 晴れの日は 雨を祈った 三月の自室へや
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牧水の愛用してた酒器なのと言われて見ても百均にしか
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冴ゆる空 吹雪く狭間に 冬陽射し 一歩ひとりの 影法師
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主君しゅの苦悩忠義の新選組どうしを守れずにいのちを散らせ着せし汚名
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日々眺む開花の時を急かすよに ソメイヨシノは我関せずと
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我が足に 頭のせぐっすり眠る君 痺れがきても 動けず我慢
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羽々斬はばきりを 構えて大蛇おろち 幻影の 我のクロユリ 断ち切れぬなり
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生命は地球固有の現象で 指紋と等しく他にあるまじ
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我々は 他国の民に 依存する わが研究者 わが大リーグ/ ○○調
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君去りて 落ちし蕾の あかきこと 子の呼ぶ声に 我は老いゆく
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