荒川の冷たい風が吹く中を 彼は一人で何を思った
19
年初から 小さき者らを 恐がらせ 大きな指に マリッジリング
3
縊死遺体 電車の窓から目撃す 荒川土手の橋の下陰(110番しました)
17
夕刻の暗闇迫る郊外に無灯火のままスマホ見る君
5
九時半に床に入りたる幸せを 二時に目覚めて 二時ふたときまどろむ
6
年賀状 返信用の 葉書には 自作の馬の イラスト挿絵
4
朝早く 職場近くの 駐車場 ポールを下げる 凍てつく作業
3
何気なく 弁当袋 動かせば さっと戻した 七色の虹
3
たくさんの言葉を並べて伝えても伝わったのは言葉だけ
4
君の言う「なんかばっかり」 ナイフです 短歌ばっかり あいすみません
11
ねこたちは おやつもらって まんぞくよ それぞれのばしょ ねんねするのよ
14
元日の相棒見ながら ぐったりと 布団かぶって 体力温存>明日病院ふたつ
16
公園の敷地半分削られて なんとか残った遊具のパンダ
21
一回生暗い茶色が臆病な君の一歩をあらわすようで
4
お菓子でね家を作るなら大工さんパティシエさんの共同作業
5
冬服は地味な色ほど暖かい今日もぬくぬく根拠はないけど
4
誕生を今か今かと待たれる児生まれる前に既に幸有り
13
錯乱母、異稚児、パパ嫌に聞こえる  ふざけてないことが怖くない?
4
夢を見てばかりいられるわけでなく夢を叶える力も持たず
6
友だちを 大事にするとか しないとか 表に出すって 友だちなのか?
4
幸せが くる年までは 難ければ 晦日限りの 命ともがな
5
温もりぬ冬の日差しに包まれつ 咲きぬアロエの細くあかき花
21
その傷の凶器が言葉によるならば 治し方はまだ見つかっていない
9
公園の子供の声を騒音といわぬがほんとは思ってしまう
8
降る雪が全部積もらぬタイプなら求めていないメルティーキッス
5
昼休みいびつな四角のコートの中で上着脱ぎ捨てボール投げつけ
4
選抜隊いよいよ遠征 門出の門 険しき山の魔獣へ挑み
10
今日バスは雪で止まったそれなのに凍えるバス停無表情
5
降る雪のうたは結晶 手のひらで溶ける煌めき想ひ滲ませ
15
日が上る 午前六時に 目をつぶり 母出勤の 音を聴く
4