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菜種づゆさくらは
紅雨
(
こうう
)
春雨に花ひらきゆく皐月来るころ
9
下敷きに逆立つ髪を笑い合い 教室じゅうに満ちる静電気
15
ぽっかりと中央白き寄せ書きの端へ端へと人の寄りゆく
12
午後六時 一年前の 午後六時 生きてるだけで いいのだろうよ
6
自分が歩いてる今を踏む今今今 パスワード忘れてしまうカラ
5
置けば泣き 抱けば我が腕握りたり ときの重さを決して忘れじ
8
葛
(
くず
)
の香は
悪
(
あ
)
しと
厭
(
いと
)
うも見返せばなほその色ぞ美しきかな
7
春が来て雪が溶けても人生はそれぞれにあり、ゆっくり歩け
8
あなたとの
(
)
距離は零から こどもぶん 心は一から 零へと変わる
5
可愛さを金の力に変えられて 異国ではんだ竹は美味いか
7
夏帽子風のいたずら押さえても光陰飛ぶを留むものなし
8
テレビ消し、静かな部屋に雪が降る見ない優しさ認めてほしい
17
くしゃみして春こじ開ける君とぼく その断面を分けあうルタオ
16
アメリカにロシアのような制裁は加えんのかと誰に言おうか
14
一日が長くて苦痛の日が続く 短かすぎるのは
アルパカ
(
きみ
)
との時間
5
あったのか!いちごスプーンひっそりと白に溶かそう果実の赤を
16
下駄箱の奥から出てきたチケットは 最後に
アルパカ
(
きみ
)
を見つめた日付
6
「俺なんて所詮だめだとわかったよ」普段は自分を『私』という君。
6
目の前の待ってたバスを見送った 変な快楽が離れていかない
5
知らぬ間に書きなぐられた告白に消しゴムかける試験日の朝
8
手のひらに収まる薄い端末で億光年の果てまで行こう
5
雪国の春は幾分控えめに土の匂いの這い回る道
12
死にたいと言ってみるだけ本当はなにもしないで眠りたいだけ
6
朝を待つ眠れないまま目を閉じるまた夜を待つ眠れないまま
5
春陽の庭の片隅しみじみと想い咲きかな菊の一輪
13
山裾に 雲はたなびき 動かざり 買い物帰り バスから眺む
11
拙者も
凡百
(
ふつう
)
であるから堪えられぬとは知りつつも夢見る
流浪人
(
むしょく
)
5
自殺者の 枕になりし 北の枕木
2
雲雀鳴く田舎電車の高校生 いっちょうまえに彼女連れをり
12
取り出した脳はあなたに見えないし私の言葉もただの吐瀉物
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