おひざとか ナデナデだとか おそとみる ねこのひそかな しあわせじかん
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目が覚めて 溶けかけの夜 部屋にいて ぬくい布団と 朝を見過ごす
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苗を植え長生きしようと言った時百二十までよと言ったあなたが
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ケイタイの既読が付かず返信もくれぬあなたのいのちを想う
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ファシリティドッグ大好きベッドの娘手術の怖さもう忘れてる
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上っ面ばかりで決まる人の世をときどき片目つぶって眺め
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権力を持てば弱味は切り捨てて仕事に逃げる男たちの絵/〇木・斎10
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あったかいコーヒー全部売り切れの自販機の前たたずめる人
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素晴らしい クリスマスデコ真似しても どこかチグハグ 我家の装飾
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冬の夜に イルミネーションキラキラと 眩い光が 街路樹灯す 
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野山いる 早足うさぎ追ふように おさなご走る イチョウの葉は舞ふ
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背中越し寝返り打つふりして見えた 見知らぬ女性の名前三文字 〈追憶/瘡蓋かさぶた
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家中に多くのリースを飾りつけ妻の気分は早やクリスマス
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散残る日陰の錦木赤に燃え篠つく雨を忍び映え居る
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洗濯を楽しみたくて二槽式?きっと秀美な方なのだろう
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444数字が並ぶこの時刻歌を詠む人歌を見る人
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右向いて左向いたらもういない二歳の速さ予想裏切る
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哀しみを飼い慣らすなど乱暴な小箱に入れて毎夜ながめて
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ラブレターを投げ入れたい君の窓 また家の前を通り過ぎる
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人件費コストではなく投資だとテレビの解説社長は観たかな
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いっぱいのレースとリボン武装して立ち向かう原宿 夢の街
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「愛してる」ハモッて笑いあった二人 キミだけ一人つぶやく「さよなら」 〈創作/アオハル〉
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玄関の靴バラバラにして抗議 尖ったマシュマロみたいな2歳児 〈追憶/タカラモノ〉
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ミニマムの最小限の生活はスペア持たない君と似ている
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柔らかな 花びらそっと くちづけて 濡れる吐息に 想い溢れて
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「牛乳の白は本当の白じゃない」普通に無視して全部飲み干す
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じゃがいもに にんじんネギと ぶたにくで フライパンいため きょうはにくじゃが
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うれしすぎるときとかなしすぎるとき詩のことばたちはぼくを離れる
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バァバさり にわのていれも だれもせで くさはぼーぼー たちき枝のび
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寒空に 冬支度終え たまにわと 酒酌み交わす 無口な兄と
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