夢でだけ会える貴方は誰ですか 名前も知らない親しげな笑み
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うたた寝から目覚め ねこ母 汗ばんで 穀雨とぞ知る 春から初夏へ
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蹲る時だけ私の足元できれいな星はゆっくり、回る
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きみという生きもの以外の心臓が止まっていると思い込む春
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あなたを花に例えたとき世界から失われていく希少言語
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少し寝よう入眠途中で見る夢が忙し過ぎてやっぱり寝れない
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スーパーでヒーローな僕でも時にやられかけたり転んだりする
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ウォーリーの 心の声は きっとこう「僕を探さず放っておいて」
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通勤路うつ向きながら歩く癖見上げ驚く新タワービル
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犬じゃないプレーリードッグ猫じゃないミーアキャットとごっちゃになった
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ダイエーのフードコートで母コーヒー ご年配(に人気の)ソファが満杯と云ふ
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「京都から博多まで」藤圭子好きCD聴いているずっとファン
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あなたの体はとってももろくて 誰も気にはかけてくれないね
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こじつけて広がつてゆけ君の未来さきヤグルマギクは放射に咲きて
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花の名は知らねど歌に遺したき「紫」「春」で検索をかけ
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通学路途中で分かつ吾と子の間に咲ける名の知らぬ花
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さわられたとこから腐敗していってわたしが消費されていくこと
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やっぱりさ母のご飯がいいでしょう? レトルト三昧ざんまいニヤリと息子
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デイジーの群れに紛れて一輪の クリサンセマム美しく咲く
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リビングの机に海ができていた 二歳が作った麦茶の海が
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熱中し 昼時過ぎて 腹がなる 気付かぬほどに 手仕事楽し
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点鼻薬 慣れない味に顔しかめ これも一応 春の味覚か
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葉桜とよろこばしきことつづく日がなんともうれしいうららかな午後
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欠けてなお第一線のマグカップ あと十年は持ってくれよな
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大切に取っておいたのこのマフラー 使わぬままに死ぬのは嫌ね
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散歩地で そよぎし風に 導かれ 行くあてもなく 足の向くままに
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いつの間にか街はみどり初夏の風 妻推し活へお洒落などして
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わかれ道 右か左か その他か 今の悩みは 未来さきの思い出
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夏の日の 記憶が不意に蘇り 懐かしいのと 待ち遠しさと
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そうやって 君が心をくれるから 僕の心はステップを踏む
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