蜜色
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渦のあと(五)もうきっとここには居ない 灰だけが残った灰皿 鈍色落とす
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渦のあと(四)酢酸が泡に満たされ溶けていく 痩せた指輪に時が暴れる
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渦のあと(三)ベルモット 赤白混ざた 夢語り 今と昔に沈むバーチェア
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渦のあと(二)久方のカウンター越し 時をはむ 溶ける氷と 一人患い
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渦のあと(一)惜し気なく記憶吸い取る盃は 匂い立つ白 垂れる暁
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針槐(五)水槽が 割れた主を 映し出す 付いた紫 微笑んで見る
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針槐(六)撫でる手が 少し震えて また握る 印をつけて 舌で撫で合う
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針槐(四)出来た筈 綺麗な破壊 躊躇わず 夢の中など 突然終わる
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針槐(三)大切の 形は甘い だけじゃなく 君が望めば 何処へ迄でも
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針槐(二)首に手を ゆっくりかけて 歪む君 脈と合わせて 打ち付ける愛
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針槐(一)約束ね 蓋した言葉秘めといて 出したら僕等戻れないから  
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透明になっていけたら楽なのに色が付いたら近いさよなら
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その仕草 心が痛む 哀しいね 優しい支配 気付かない振り
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噛み締める仕事の苦悩目に出さず二人三脚してくれる様
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繋いだ手 絡める指の 愛らしさ もう少しだけ そのままでいて
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砂糖菓子みたいな世界夢でもし見れているなら新陳代謝
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逆さ月 明けから触れて 満たし合う 立てば芍薬 漏らすは無粋
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押し込んで 落ちるビー玉 夏の泡 透けから覗く いつかの笑顔
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確約は無くてもいいの予定だけある事それが今の灯火
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さらついた 気持ちは全て 任せてね この手は愛でに ぎゅっと固める
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この朝は きっとわたしを 産みなおす 哀しい事も 光に溶けて
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誰にでも 開く訳なし 本音など 私自身も 知る由もなく
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こんなもの何の波にもならないと燻る夜は君に逃げたい
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写真立て 夏の記憶は 綴じられて 上書きの無い 褪せてゆく空
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翳りゆく 灯りは部屋に 霧散して 泡沫なるは 想い綻び 
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君を見て 笑顔が戻る 朝ぐらし 明日もきっと 幸せであれ
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辛くない どうしてなのか 野菜味噌 蓋の上には 忘れ物あり
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ウォンバット 陽気に負けて タレている 明日もきっと タレているまま
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