ぱっちりの おめめで ねこがみつめてる きたいのまなざし なにが ごきぼう?
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起きぬけのザァと通る天気雨今日はベンチに座れるかしら
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雨カゼは天のふか愛定期便来なけりゃ皆んな忘れたままだ
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きみおも 幾度ゐくたひゑし かなよる またまで まくるめはや
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この胸の小さなトゲがひとつ取れ ほんのひと時気が楽になり
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梅雨前の僅かなチャンス逃すまじ 布団洗濯物ほしもの晴れ空のもと
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何度目か 出して使つてまた干してはためひてをり羽毛の布団
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鏡見てこれが自分だと思えずに 三十余年生きてきました
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銀色に光り輝く森タワー 早起きの朝は気持ちがいい
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これからも僕らのラッキーナンバーは永久不滅の『3』であれかし
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うぐいすの 声に癒やされ 写経する 墨の香りが 朝に溶けゆく
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庭隅の日当たり悪い紫陽花もやっとピンクに染まる水無月
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「ミスター」と呼ばれしひとの享年が偶然にせよ八十九歳はちじふくとは
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目覚めては窓を開放陽を拝むこれでいいのだ自力本願
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さよならのスイッチ押すね だいじょうぶ消えるのはわたしだけだもん、ほら
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時折りに 家族の記憶 目に触れて 揺れる心の なきこともなし
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どこまでも 平行線の かの人と 生活分ける 先見えぬ道
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秒針の音に囚われ 振り向けば 君の面影 朧になり逝く
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真っ白な 曇った空は 嫌だけど 真っ青な空も あまり好きじゃない
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澄み渡る夕空に 上弦の月 梅雨入り前に眺む ベランダ
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あの人に 気持ちを 短歌で伝えたい 熱い想いに 我サポートを
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野辺に咲く薊あざとしいつの間に 指で触れなばチクリとぞ刺す
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ぬか床をかきまぜた手に残りたる 何の匂いか祖母の匂いだ
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おや今日は芒種一粒万倍日 買い物メモに書き足したクジ
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スシローの番号札が嬉しくも33番テーブルになり
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寺町の通学路にて何事か言ひ掛けむとするの吃音待つ
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父と子と鮎釣る川に夕日映え銀鱗跳ねる流れはるかに
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平日の朝に聞こゆる生活音一日ひとひの始まる合図となりて
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いつの日か来ると覚悟の別れなむ いま沈みゆく『ひかり』の時代
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人なかで孤独を感じるのはむしろ周りに人がいる安心感からか
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