樹懶 じゅらい
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すぐにジャングルになろうとする庭と格闘しています。なので、花・樹木・月などの歌が殆どです。Amazonで
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小春日の 花屋のあるじ上機嫌 嵯峨菊談義 愛おしそうに
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得意気に ぎんなん煎ってくれたっけ もう何年も口にしてない
24
青空と 公孫樹いちょうの黄色見るにつけ 戦禍の国が思い起こされ
25
西日浴び 金に輝くぶどうの葉 触れる寸前 風にられた
28
黄櫨はぜの葉が 窓をオレンジ色に染め 見るたび錯覚 もう夕焼け?と
26
たいていは 一人ひとりはい人で 人に揉まれてギザギザになる
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風もない 小春日和の嬉しさに 矢車草の種をまく午後
29
水木の葉 ヘッドライトに照らされて 揺らめき燃える篝火かがりびのよう
22
晩秋の 頼りなさげな日差しでも 燃える赤い葉 心にくれる
28
木枯らしに 大きすぎる葉はためかせ 針桐はりぎり果敢 初めての冬
21
雨音に 慌てて布団取り込めば もう晴れている 遊ばれている
35
文化祭 喫茶室での甘いお茶 忘れてたのに ふいに切ない
24
香ばしい枯葉のにおい 交じり合う 小雨の後の緑のにおい
29
縁側に さぼした籠を見逃さず 灰色猫がちゃっかり昼寝
24
時知らず 月に朝顔あでやかに 濃紫こむらさきやら臙脂えんじ しぼ
30
かぐや姫 宝珠の樹ならここにある 十五夜の寺 柘榴ざくろかぶ
24
鈴なりの すずかけ黄色 その下に園児すずなり 黄色の帽子
28
月の道 横切る船は かげろいて 漁に出るのか 時空の旅か ③
22
海駆けて 渡れたならば月の道 金木犀の都に着かむ ②
20
海の上 低く明るい月があり 光の道が浜へと至る ①
21
霧雨に 墨の薫りがしたような 樹齢三百 常緑のしい
26
暖かく湿った大気 こんな日は 後悔の棘 切っ先鈍る
23
赤い蔦 緑の杉の幹を這い 遠く伽藍がらんに後光が射して
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中天に上弦の月 寒い夜 半欠けの身であなたを想う
24
先駆けて 水木やまゆみ赤くなり 栗は黄色に 北風の午後
30
軽快な小啄木鳥こげらのリズム 雉鳩きじばとはテノールで鳴く 「よい一日を」 ⑬完
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かしぎ 東の空はすみれ色 一夜話も そろそろしまい ⑫
26
木漏れ月 暗い地表に色を差し 一夜茸ひとよたけにも灯りが点る ⑪
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樫の木は 草地の際に その後背むこう 森に差し込む銀の月光 ⑩
27
どっしりとそびえ立つかし うろがある ふくろうんで目を光らせる ⑨
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