鈴猫  フォロー 0 フォロワー 10 投稿数 430

もうきっと詠めない歌が過去そこにあり 触れられぬのにぼんやり光る 

「だ」メなんだ 「い」つもこうだと 「じょ」う識に 「う」ま乗りされる 「ぶ」器用な君 

「好き」という意味の言葉が増えていく こんな夜には「おやすみなさい」 

紫陽花の写真を撮った君のこと好きだと思う僕 も好きなんだ 

君が飲むコーヒーにだけ入れたくて ガムシロップと「好き」とかいうの 

蒸し暑いほどの空気と体温を持て余してる もう金曜日 

土曜日の昼から開ける発泡酒みたいな君を愛せるのなら 

「好き」の温度調節さえ困難で 笑って誤魔化す君も私も 

抱えて眠るのはぬいぐるみでなく 私の中の幼い私 

藍色と灰色に溶け込んでゆく街の焦りを見逃すばかり 

夜に心地よい言葉を重ねても 明日の私は泣くのでしょうが 

抱きしめるだけではきっと満たされず私が欠けてゆくだけなので 

君の紡ぐ言葉は今折って捨てようとしているカッターのごみ 

雨がまた君の心を沈ませる でも傘はもう差してあげない 

君のこと、いい子いい子と甘やかす時間ときだけ私、大人になれる 

猫になどなれぬのだから もう一度コーヒーを飲み文字と向き合う 

今日もまたこらえきれずに雨が降る 歩くばかりの私を責める 

矯正をしてもしなくても僕の目に こんな世界はぼやけて見える 

大きくはない部屋の大きくはないベッドの上で明日を占う 

来週の私もあの交差点で私が轢かれる夢を見るか 

人混みに紛れて捨てられている ぐにゃりと曲がった傘は私だ 

この街は飛行機雲がよく見える 私は空を見て飴を噛む 

私には届かぬ空のその先がピンクレモネードの色になる 

朝起きると暖かく目が腫れていて 昨夜泣いたのは誰なんだろう 

歌を詠む、って何でしたっけ そういえば今日の帰りは小雨でしたね 

恋をしたように思われる歌を詠むこともできます、というだけ 

その指の感触も知らないままに分かった気になる怖さがあって 

あの人への気持ち全て消したくて 手にした薬は甘ったるい 

春の日の急な雨にも折りたたみ傘を黙って差せる貴方が 

指の先でゴミになったコンタクトレンズに少し愛着がわく