鈴猫
0
13
投稿数
592
届かない 貴方の愛は軽やかに花の名前を教えてくれた
7
(柏餅、食べ損ねた)と気がついて 21時を過ぎても初夏の香りで
7
今夜はね 会えない人に会いたいと叫ぶ曲だけ飛ばしたいのよ
7
「悲しみ」はいつも知らない顔をして急に訪ねてくる奴なんだ
10
しばらくは泣かずに生きてゆく 明日も悲しい歌を寝る前に聴く
7
さよならの温度を測る まだ少し君の香りと面影がある
6
新しい悲しみをまた受け止めて 泣けるくらいが幸せかもね
8
物分りいい振りできぬ夜もある 溢れる涙見せつけながら
10
あなたを愛した季節が終わりゆく 私だけが大人になれずに
5
「さよなら」を伝える時の声色を練習したい雨音の中
7
イヤホンを半分こして聴いていた曲の言葉が刺さる夜明けに
6
悲しみが深い夜にしか紡げない 優しい言葉の青いきらめき
9
思い出の足跡を消しゆく君の覚悟を一つ 飲み込めたなら
7
悲しくて別れの歌を口ずさむ 空腹はある 野菜を刻む
6
「別れはいつも突然とは言うけれど」 涙で滲む よめない未来
7
ゆっくりと目覚めて丸く閉じこもる 明日には桜も散るというのに
12
ため息でごまかしている 本当は駆ける電車に触れてみたいの
4
指先の冷たさが寂しさに変わる 君に会えない夜を数える
7
くだらない嘘なんかつけるわけないよ 君のえくぼが愛しいとかさ
3
しごとだけ がんばってても つまらない ばにらあいすは かぜにきかない
5
僕はもうあの日の柔い靴擦れと肩の力みを思い出せない
5
寂しさを飲み込み僕は鮮やかな花束だけを渡すのだろう
9
僕たちはもう二度とあの路地裏の店のマフィンを分け合わないね
7
両手でも足りないほどの「さよなら」を数えて僕は春を迎える
11
君はもう私の世界の外側で咲いた桜を見ている人だ
8
あの人が「救ってあげる」と夢で言う もういいよ 君の今を生きなよ
4
雨の中ぼんやり浮かぶ踏切の音が刺さって抜けないままで
8
「桜でも見て帰ろう」と君が言う 右手にはぬるくなるカフェラテ
7
傘を縦に持てぬ人とすれ違う 心の中で雨を降らせる
8
さよならを紡ぐ時まで美しい君の筆跡を柔くなぞる
9