鈴猫
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かさかさと鳴りそうな手に塗り込めた ため息とかそういう類のあれ
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夏と冬の境目の名前です。「秋」と言います。テストに出ます。
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明日の朝も呼吸し それらしきことを言いたいだけの肉塊である
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ふっくらと両手で掬い上げたとて小指の爪ほどの価値もない
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秋だから 秋じゃないけど 秋っぽく アップルパイの話をしましょう
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道端で迷子になった名刺にもそこはかとない肩書きがある
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靴擦れの痛みに今日は囚われて ずるずる崩れていく14
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冷蔵庫 毎日覗くはずなのに 今日も使わぬ粒マスタード
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秋めいた風?勘違いだったかも 信じられない 貴方みたいよ
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「あぁそうか、今年もあと〇ヶ月だね」だけ繰り返し終わる人生
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りんご飴 もはや縁日では食べぬ ナイフとフォークで切り分けて、秋
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「秋」というものはいつからいつまでか 今日の日差しに問いかけている
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夢に出てきた君とデートをしてた 好きという事実だけが残り
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どこにでも転がっている感性で繰り返される情景を詠む
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この夏を忘れぬようにと咲いていた 九月の雨に濡れる朝顔
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この道を知ったつもりになっていて 君に聞かれる明日の予定
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ほんとうはそんなつもりじゃなかったの 「お疲れ様」も 貸した資料も
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僕は今どこに向かっているのか と問いたくもなる8時の電車
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ざくざくと前髪を切る 明日から新しくない長月が来る
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黄昏の積乱雲が問いかける 忘れたことを忘れてないか
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今もまだ831日の足音だけを記憶している
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ため息をつかないで その口の中 綿菓子詰めて寝かせてあげる
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溶けてゆく いちばん安いかき氷 僕なんかより綺麗だったね
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「君と二人 線香花火見つめてる妄想」ですら不要不急で
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夏の顔して膨らんでいる雲がスーツも似合わぬ僕を責める
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吸っている 吐いてもいるこの空気を読めない僕は 辞書を燃やした
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もういいや 生まれ変わって百均で売られてそうなサボテンになる
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道端で寝ているような蝉たちは何年分の夢を見ているか
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君の心を通りゆく風思う 絆創膏は重ねて貼れぬ
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汗ばんだジョッキを拭う指先に再会できた2年目の夏
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