Utakata
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鈴猫
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夜に心地よい言葉を重ねても 明日の私は泣くのでしょうが
9
抱きしめるだけではきっと満たされず私が欠けてゆくだけなので
1
君の紡ぐ言葉は今折って捨てようとしているカッターの
刃
(
ごみ
)
0
雨がまた君の心を沈ませる でも傘はもう差してあげない
1
君のこと、いい子いい子と甘やかす
時間
(
とき
)
だけ私、大人になれる
1
猫になどなれぬのだから もう一度コーヒーを飲み文字と向き合う
2
今日もまたこらえきれずに雨が降る 歩くばかりの私を責める
2
矯正をしてもしなくても僕の目に こんな世界はぼやけて見える
2
大きくはない部屋の大きくはないベッドの上で明日を占う
2
来週の私もあの交差点で私が轢かれる夢を見るか
3
人混みに紛れて捨てられている ぐにゃりと曲がった傘は私だ
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この街は飛行機雲がよく見える 私は空を見て飴を噛む
3
私には届かぬ空のその先がピンクレモネードの色になる
1
朝起きると暖かく目が腫れていて 昨夜泣いたのは誰なんだろう
1
歌を詠む、って何でしたっけ そういえば今日の帰りは小雨でしたね
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恋をしたように思われる歌を詠むこともできます、というだけ
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その指の感触も知らないままに分かった気になる怖さがあって
1
あの人への気持ち全て消したくて 手にした薬は甘ったるい
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春の日の急な雨にも折りたたみ傘を黙って差せる貴方が
1
指の先でゴミになったコンタクトレンズに少し愛着がわく
0
見切り品のいちごを買ったあの夜はきっと誰より幸せだった
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穏やかに目が合う街中のキリン きっと明日も目が合うでしょう
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「大好き」の色や香りを知ってるか 知らないままにまた口にする
1
私にも君にも同じ春が来る ほら柔らかい風が吹いてる
1
「あのライン、意味はあるの?」と聞く君の甘くない声にきっと勝てない
2
桜にも気づかないほど 顔を上げて歩くということも忘れて
1
爪先が冷えていくのと君は言う 街には春の日が届かない
1
思い出も押し込んでみた段ボール 泣かないで すぐゴミにするから
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「春ですね」「大好きです」が失った行き場としての迷子の子猫
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君のこと抱きしめたくて夢に見る 夢では髪の匂いもわかる
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