鈴猫
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615
物分りいい振りできぬ夜もある 溢れる涙見せつけながら
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あなたを愛した季節が終わりゆく 私だけが大人になれずに
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「さよなら」を伝える時の声色を練習したい雨音の中
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イヤホンを半分こして聴いていた曲の言葉が刺さる夜明けに
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悲しみが深い夜にしか紡げない 優しい言葉の青いきらめき
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思い出の足跡を消しゆく君の覚悟を一つ 飲み込めたなら
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悲しくて別れの歌を口ずさむ 空腹はある 野菜を刻む
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「別れはいつも突然とは言うけれど」 涙で滲む よめない未来
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ゆっくりと目覚めて丸く閉じこもる 明日には桜も散るというのに
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ため息でごまかしている 本当は駆ける電車に触れてみたいの
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指先の冷たさが寂しさに変わる 君に会えない夜を数える
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くだらない嘘なんかつけるわけないよ 君のえくぼが愛しいとかさ
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しごとだけ がんばってても つまらない ばにらあいすは かぜにきかない
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僕はもうあの日の柔い靴擦れと肩の力みを思い出せない
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寂しさを飲み込み僕は鮮やかな花束だけを渡すのだろう
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僕たちはもう二度とあの路地裏の店のマフィンを分け合わないね
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両手でも足りないほどの「さよなら」を数えて僕は春を迎える
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君はもう私の世界の外側で咲いた桜を見ている人だ
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あの人が「救ってあげる」と夢で言う もういいよ 君の今を生きなよ
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雨の中ぼんやり浮かぶ踏切の音が刺さって抜けないままで
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「桜でも見て帰ろう」と君が言う 右手にはぬるくなるカフェラテ
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傘を縦に持てぬ人とすれ違う 心の中で雨を降らせる
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さよならを紡ぐ時まで美しい君の筆跡を柔くなぞる
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あの人の声で聞きたくなかったな 「ご迷惑」とか「ご心配」とか
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明日からは何の肩書きも持たぬ私がいます 歩いています
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泣きそうな顔でコーラを買ってみる 溶かしてみせて この寂しさを
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「頑張れ」の歌詞に勝手に傷ついて挫けたままで明日を迎える
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幸せは強すぎなくていいからね 今日終えたいと思わぬように
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ねぇ 急に暖かくならないで 怖い 貴方に好きと言えそうになる
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「春なんて飛び越して夏に向かわない?」「……いきなり腕を引っ張らないで」
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