早朝の先頭車両で戦闘中 私の揺れが電車の揺れだ
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醜さと汚れ滅ぼす時迫る人間たちへくだす大鉄槌
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風に透く小鳥の群れのさえずりは水に煌めく細かなひかり
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オーディブル 行き合う単語に 気を取られ 歌の種を得、 話棒に振る
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戦争の足音がする日々増して 止められるのは私とあなたと?
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キッチンと言えぬ広さにグツグツと焦がさぬようにクリームシチュー
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風邪の夢。逝ったおまえの毛並み撫で一緒に歩いて起きて泣く朝
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虫がいて 草花があり 人がいる その端っこに 少し腰掛け
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黒猫は 遠くに去れど ほうき手に 少女は再び 空に向かいつ
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私には特権なのさ思うまま悩み苦しむすべてが自由
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一年をおいた再会それぞれがそれぞれの一年を思い笑いし
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「私たちのこと忘れないで」という人に忘れられるのが一番こわくて
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ラジオでの球場響く応援が沈んだ気持ちにじんわりと効く
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パイプもつキーパーソンは陸軍のやっぱり口髭蓄えし人
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 かん残る 卯月半ばに かき氷 夏は水無月 言う人何処いずこ
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右手チョン 左手もチョン ねこベッド とてもかわいい 眺めであるよ
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わが好む 写生の歌と 異なれど 幾たびも読む かの人の歌 
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しどけなき ヘソ天猫の 腹狙い 鼻糞飛ばし 一喝をする
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待ちわびて 薄着装う 乙女らの 姿まばゆく 春闌けてゆく
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けだるさを かこちてなまけ すぐすまに はなのさかりぞ すぎてはかなき
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まだ眠る 藤花とうか見下ろし ひこうき雲 初夏の翼を 置いて消えゆく
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手をたたき鬼さんこちら育てしがいつの間にやら鬼は先行き
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宣ひし貧しきものぞ幸はひの証を問へよ楼閣王に
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赤っ恥晒して生きる我が身には 新芽青々 心ひいら
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最低だ降りたばかりの陸橋をミニスカ追ってまた昇る俺
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花は天よりぼんぼりとして降りる地はゆうたりと微笑んでいる
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三十一みそひとに込めれぬ想い溢れすぎ山に向かって相談してる
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いつもより 幾分早く 家を出る 話せるかもと 期待を胸に
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水温み駆け足でゆく白き砂ちいさき手をひく鼓動の伝はる/妹との思い出
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霧雨の花はしとりと散りゆきて繋ぐ手解く「さよなら」もなく
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