側面に夕陽の照っているビルの暮れた窓にはともる青い灯
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秋の花色とりどりに無人駅 農高生の手入れし花壇
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 再開に「どなたですか」と問う姉の海馬をそっとのぞいてみたい
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愛おしき猫は腎針じんしんチクタクと神のみぞ知る命の時計
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戦う君に追いつけはしなかったけど、まだ助けになってると思わせて欲しい
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こんなにも心が痛いのは、あなたを好きだという証明でよかった
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誰だってまぶたの裏に隠し持つ今よりもっと高かった空
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子供も背負った 借金も背負った 背中から降りないのは自分の期待
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つないだ手を きっと今度こそ 離さない またこの腕に 抱きしめるんだ
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外に出て 「寒いね」とは  「手繋ぎ」のフラグ 気が付かないふり スタスタ歩く
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染み渡る秋の夜長の晩酌に犬と仔猫が吾の膝眠る
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脱走を図る二歳児抱き上げて窓からブーブー自動車見るは楽しき /ママの診察中
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休日は爆睡バクバクふる充電 起きてムシャムシャ現実食べて
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頭咬む犬の焼きもち仔猫慣れ涎塗れはにゃ〜と甘えた
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秋風が思い出ばかり連れてきて私の心とばされそうだ
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美術館の喫茶室でカタログを眺め午後三時をまっすぐに生きる
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仔猫拾う手のひらにのる温もりは一週間で一丁前になり
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君を待ち小鳥のきもちなぞってるオリオン座ほど簡単じゃない
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奮発しピザを取ったがその味が塩分過多で吐きそうになり/味覚障害?
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雪遊び手足の凍る帰り道母待つ家のありしあのころ
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苦いコーヒーのつやは まだ温かいバナナケーキの湿度に溶けて体温となった
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読んでない本をわざわざ持ってくも旅の帰りは寝るか飲んでる
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死んだなら何が出来るか知りたくて試しに死んでも戻れませんよ
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気まぐれに膝の上へと身を伸ばすやわい獣のぬくい重さは
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尊敬し 感謝してよと  いざとなりゃ 小っ恥ずかしくて 言えたもんじゃない
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秋冷しゅうれいに負けじと 庭に咲き誇る 見頃の尽きぬ マリーゴールド
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明日こそは外出すると息巻いて 昨夜準備をしたはずだった
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10年と 1年の時 経た今も 迎えてくれて 感謝しきり
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寒いのね 吾が立ち上がり 温もりが 残る座椅子を きみが横取り
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押し込めた 悶々として 顔歪み 気持ち収まらぬ ジュブナイル小説
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