図書館の駐車場にてつまのまの歌よみねむり歌よみ暮れる
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友だちのつどふ我が家に菓子届けゐない見ないがちちおやのえき
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政策の詳しいことは分からんが とにもかくにも物価高市
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ぐらついた 自意識灯す 街灯に 寄る羽虫 音も残らず
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君にしか 見えない角度 あと少し 集めたひかり 弾けるもみじ
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ことわざに 医者の不養生と あるように カップラーメンに お湯注いどる
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どうせまたAIでしょと思うたびこぼれ落ちてくときめき感動
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髪抜けてしわが増えたな お互いに若づくりはやめとこ 劣化夫婦だもんな
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夫婦でも長い年月を連れ添えば水や空気と同じに あっお前いたんか
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うちの犬夫婦喧嘩が大好きで間に入り嬉しそうに吠える お題・夫婦
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高校の昇降口がどんなだか思い出せない闇だったかな
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薬箱に一週間分ふりわけた薬はあっと言う間にカラに
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引くだけじゃだめだ一回押してから猫に言うけど聞く耳持たず/爪と衣服
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首かしげスマホを睨む母さんはやっぱり紙のチケットがいい
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金曜日十一時半ワインが不味くなる頃横に空いた席
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ねこたちは びびりまくりの 消防点検 ちま猫ちゃんは 炊飯器横へ
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ふかふかに干されたお布団 取り込んで 人心地つき ココアなど飲む
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次兄住む養子先にて仮寓して戦火のなかに消えた伯父あり
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夜の様に銀杏が爆ぜる背の高い 冬の速度がその葉を揺らし
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月明かり目と目が合って無感情窓はぴしゃりと閉めますからね
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何ゆえか父が私にくれたのはヘミングウェイの老人と海
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世に処せぬ負傷兵みなここに来て心楽にし安心なさい
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何事か寒風だけが囁いて私の住居誰も知らない
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慌てずも じっとひたすら 手薬煉を  引いて待たるる その宝船
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あほなのだ なになにだから なになのだ これこれだから これこれなのだ お題・なの
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堅豆腐こんぶを敷いた湯に浮かべ 沸かぬ手前で弱火にゆらし
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ぬか床に七日漬けたる小かぶらを 薄く刻んで焼き飯に添え
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人生の 苦楽を共に 支へ合ひ 寄り添ふ夫婦 理想の老後
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道の端の 凍みた草木に朝陽照り 黄金に光る 冬の祝祭
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クリスマスデコの草木の金色に 首を傾げた雪国育ち
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