示される選択肢から最善を問い有限を思い知る日々
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親友にバレたたぬき寝入り 恋人にも気付いてほしかったな
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湯に浸かり 冷ゆる指先 しみる宵 山茶花さざんか盛り 深まりぬ冬
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誰か手を貸してください 絡まったチェーンを解いて私に着けて
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寒き朝 鍋に残りし煮凝りの 飯に染み込むゼラチンの汁 
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憎むなら 俺を憎めと 奴に言う 俺を選んだ 君は正しい
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くうふくか ジュウデンぎれか わからない くうふくなのか ジュウデンぎれか
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俺が昔 名詞だった頃 父親は 動詞で お袋は 形容詞だった
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俺の手を 湿ったジジイの 手が掴む ガタンと揺れた 満員
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年六度 季節の行事を飾る棚 心ほんわり温き場所なり
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冬の夜救急に立つ半袖の温きナースのみ手にゆだねる
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医師募集に「年齢不問」を目にすればありがたけれど侘びしくもあり
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まだ暗き公園の中見渡せば枯れた木々には鳥たちの群れ
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「大丈夫?」やさしい顔のこの言葉 どんなときでもイエス一択
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真っ白なまが玉のような形して茶の花咲けり初霜の朝
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同じ地平線を見る 前へ前へ車 午後の熱帯  記憶の網目を解き合って
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ふたご座の流星群に 願うのは 今はただひとつ 叶えて星よ
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冬将軍が、暖冬で雨将軍で、明日朝は⛸️リンクのごとしかな
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天敵の鎌首もたぐ掃除機に必殺パンチ一撃離脱/猫逃げる
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雪の上 しっかり転び 尻もちを 見られてないが 慌てて起きる
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死にたいと口から吐いた白い息 季節は巡ると答えた息
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人の世に ひそみて住まふ 仮の世と われは鬼の子 山に帰らむ
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年忘れ 院長みずから コスプレで 若人たちに 媚を売るのさ
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若き日は 帰りたくても 帰れぬが いつのまにやら 帰る家もなし
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師走はね まことにまことに 師走なんだ 押し寄せる コロナとインフル
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またいつか またまたいつかと 重なりて おそらく二度と 逢うことはなし
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おちこぼれ ちかづきがたし 同窓会 むかしのともは みなえらいひと
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目で見合い 心を伝う 愛言葉 滲む思いを 互い抱きつつ
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炉に思い 焚べて願いを 掛けたなら じしんで叶え た個に感謝を
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褒めちぎる ネガティブなんざ引きちぎる 生きて息して 偉いぞ私
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