星霜は 黒毛の君を白く染め 惜別しらす 春のあけぼの
3
君は傷を癒えるものだというけどわたしの膿んだこれはなんだろ
5
ワンコインでお迎えしたボタニカル柄の時計はいつかの8時
3
突然の地震揺れると怖いから 貧乏揺すりしているのです
4
梅辛夷仲良く咲いて青空の高枝を見るその先に月
3
線香の煙ひとすじ上空で乱れ絡まる態が切ない
3
「すぐそこにバス停あるよ。アパートの一番そばから砂溜行きね。」
2
見えるので見えたまんまを呟けば枚数増えるクロッキー帳
2
自転車を隣り町まで漕いで行く膝の小僧が血を出したけど
4
線香のけむりくねる出世地蔵 吸い殻だらけの街の朝焼け
3
卵割る あなたに作る オムライス 皿ごと落下 意気消沈す
3
「また」と言い「逢いたいですね」の顔を見せ「遭いたくねえ」と腹で続ける
4
熱気球 君が命を燃やすから 僕は天国にまた近づいて
5
ぬえか鬼 降ってきそうな朧月 眺めつつ寝ん明日を待つまで
2
パープルがイメージカラーのロックスタ奉る飲み屋の五目ごはん
1
奇跡でさ打ち上げてよね宇宙そらのさき非業な死に方したわたしを
2
夢を見た ライオンが言う愛してる キミは誰なの 話すのやめた朝になりけり
3
落っこちた魂拾うすみれ色ヒビの広がりごめんね人間
2
わたくしのエンタルピーよ高くなれ熱きおもひよ伝はりたまへ
2
シンデレラの靴みたいな救いが欲しい 合わないヒールで踏みしめる帰途
5
「マフラー」と「テビチ」が同じ鍋に居ます、そういう店と分かってください
1
初めてのとびらを開けるのは苦手 生まれたついでに開けてみようか
7
クロールで息つぎ失敗したような顔がさいごの集合写真
6
傷つかないためには強くなるしかなく それができないために離れた
2
舞う花弁のように生きよう 最初からレールや成功無いと気付けた
5
𰻞𰻞麵の𰻞の字を手で記すには紙面も墨も到底足らず
2
息せききって周りは見ない 呼吸だけ 星が落ちたら弾けちゃうから
2
舌の上甘く転がる風邪薬 頭を撫でる子どもの私 
1
チルドレン、5才くらいでもあなどれん。3月ごろなら半ズボンOK
1
花筵敷ける山路に旅寝して霞の衣たちや重ねむ
2