初期化する 工場出荷時に戻す なんてできない 生きてゆくしか
6
電車満ち あふれる群れは 鳥となり 行きつく先で 自由な青へ
8
今の世に未練はないが今はまだ苦しみ甘く地獄に行けぬ
8
春は好き暑くもなくて寒くなくガス電気代かからないから
11
産休で職場を離れる同僚に ろくな言葉もかけてやれずに
18
勝たぬよう「パ・イ・ナ・ツ・プ・ル」を繰り返し上る石段かげ踏まぬよう
14
青天が爽やかよりも汗を呼び 春の終わりを夏が追い越す
11
同人誌くる前に着く依頼文いつものことと斜めに読まん
17
風が無く 波紋一つを求めるは ただ行く先を 欲するが故
9
普段ではすることがない激怒して喚き散らして侮辱する夢
14
柔らかな柳の緑つづく先こんもり辛夷の白の際立つ
32
知ってるかい悪魔が編んだ歳時記じゃ夏の季語だよ腐乱屍体が
14
ISO 認証取って人殺す機械を作れと母は言ったか。
9
世の中は川の流るることながら水にくだくるいわも在りけり
11
痛む歯を抜き去るべきか思案するチャーハン噛まず飲み込む昼餉
15
幸せに季語はないよねストーブと桜とアイス、君の「おいしい」
26
木漏れ日をバケツツールで塗りつぶす 二度とこんな日が来ませんように
8
「そこにいて」バスの座席の直角に 母の背丸くゆるやかなK
8
隣では別れ話をする男女。泣くなよ男、がんばれ男
22
陽光や真夏日告ぐるアナウンサー 氷アリマス 書き文字躍る
10
エンジンの 音を響かせ テラテラと 光耀き 空を横切る
10
「いかないで」玉置浩二が叫んでる。吾がパフェを食む純喫茶にて
21
幸せと感じたことは遥か昔 肩で寛ぐ野生のミミズク
9
左手と右手の違い ペンを持つ方と子猫の背を撫でる方
12
ひよどりの鳴くも変はる山裾は誰を惜しむか藤衣着る
12
幸せを頬張る口にそそられて膨らむ頬を指先でつく
9
平和とはなにか 昼間の新宿を行く人々の影は色濃く
10
昼間でも鬱蒼とした溜め池に映る己は生きる屍
6
独り占めしたいと願ったあの日から清廉な恋は息を止めたよ
7
あ、昨日死のうと思って忘れてた  アラームの音を死ぬほど『上げて!』
5