若き日は無垢なる心で友を得し老いて求むは言少なき人
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最後まで自分の足で歩くのだ今日も明日も歩みを止めず
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はや師走なぜかく速く過ぎゆくや老いと時間の駆け巡る日々
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あくがれは海のぞむ町昼あそび夜は星ふる浜に手まくら
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駅前の木かげに座り眺むイチョウ あなたの横顔思い出さるる / 元彼に彼女が出来た辛いなぁ 新しい恋に行くしかねぇな!
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液晶をのぞき込む世界指の波紋スワイプゆらぎ知らぬ国へと お題・液晶
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五十五年前の合唱脈動す 円盤レコード録音 高三の春
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無条件に愛を与えられない人間に与える愛はない
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チビ猫や そこはおトイレちがいます! タオルケットを2枚洗濯(んも〜)
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カーテンを開けて光を入れましょう いちばんはじめに 光があった
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ちま猫ちゃん おかあちゃんのおいす きにいった まったりしてる ざいす座椅子もすきよ
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ガラス窓目白が一羽ぶち当たり今朝は死体なし何かのかて
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頬撫でる風が冷たく息ひとつ 可視化されてく呼吸の形跡
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コーヒーが 添えられとる 朝食に 心踊らせ 食欲アップ
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菜をつまみ 独り晩酌 テレビ消す 話し相手は 黒縁写真
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マフラーが去年と違う君はもう僕のことなど忘れたでしょう
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改札の外は 突然の秋雨 お守りとなる 折畳み傘
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昨晩は咳で目覚めることもなく どうやら抜けたか風邪のトンネル
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積雪は 十九センチ きのうまでの 浮かれ気分は 静かに埋まる
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マフラーにウールの帽子と手袋で 暖のがすまじ霜月の朝
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現在地 フロアガイドで 見るたびに 行きたい店が いちばん遠い
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歌をよむよめばよむだけ膨らむでいびつな螺旋の器になりぬ
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風に舞うミズキの紅葉もみじ見つめおり 白き山茶花揺れる夕暮れ
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「ダイジョウブ コレハハツユキ スグトケル」窓の外見て唱える念仏
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東雲の 明け三日月を見上げれば 暁の雲ゆるり流れり 
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もう馬の名前は全部ひらがなです ひらがなにしたら怒れないから
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ちゅーる食べしているときは いきいきと 不安と希望の狭間で揺れる
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砂時計さらさら流れる心地して まだいかないで 連れてかないで
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めざむれば予報どほりの初雪にさかりの黄菊もみな綿ぼうし
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星を見て歩く砂漠の地平線 ふちピリリ容赦なき風
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