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吾
(
あ
)
が慕ふ年長の友らおしなべて老ひの翳りを纏ひて寂し
17
まだわたし道を聞かるる人にあり冬海岸にふわり
南風
(
はえ
)
立つ
26
「井戸水の方が温かかったのよ」ごぼうを洗う祖母が呟く
14
もし僕が消えたとしても貴女ならきっと誰かと笑っているさ。
10
出かけたら行きも帰りもバス逃し次は逃さぬ金運だけは
7
ババ抜きを一度も負けず終えたけど 運は仕事にとっておきたい
16
ハンカチのしわにアイロンすーっと当て あすの予感をそっと畳みこみ
14
何もないのっぺりとした水面から素朴ですねと声が聞こえた
4
野球を見ると思い出すあのチーム 君が好きだった 想いだして雨
2
君たちは信じてくれというけども背中の影は隠れていない
6
シワリクのなかを歩く小さな人となり ヒマラヤ閉じ込めた風の透明を見る
5
リップル砂を横断する指先 世界となり プリオシン・コースト ただ二人 反射して
4
ミニスカに 学生風のトップスに あの店 よくぞ飲ませてくれる(笑)
14
本番を三日後に控えた風邪引きに 我取り乱し大根かじる
19
見切り米 半額処分に 飛び付くも 見切られてなお 高く感じて
16
阿弥陀様どうか愛馬を導かん馬群を割って勝利の道へ
12
八本の腕に見惚れるくすの木に「エイタム」などと名付けてみたり (ヘブライ語で「隠れ家」)
15
横文字の会社敷地に邸内社散歩の
途
(
みち
)
で僅か驚き
8
やわらかな 陽ざし差し込む 窓際で 予報外れて じんわり嬉し
18
チャリに乗り詩を紡いだ樹々小鳥だんだん友達増えてくようで
16
鼻も目も 声までやられ 無理やり歩く 健康のため
5
キンキンに 冷やしたビールの 横にある ジャスミン茶を 俺は飲みたい
7
短歌詠む机の上は白黒で出来ているんだ 目を光らせる
3
残月を捕まえんとし上昇す 白き巨人の手の形の雲
23
焼肉屋 ワンコインクーポンで もつ鍋よ 何飲もうかな ここはハイボール?
13
手術後の院内感染父コロナまさかの坂をひとはのぼれり
13
恐ろしい男が通りで騒いでる みんなの見る目が恐ろしくする
5
母伏して 徹夜付き添い 入院し 『帰りたい』との 母を説き伏せ
28
見るだけで満足だったあの影を 今は見るのがとても苦しい
6
そのひとがキーホルダーをつけるとこ想像したら愛まで行けるぜ
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