もう帰れ ホームの我を 見下ろして への字の口を 食いしばる坊
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旅人の 歩を癒し 朝の陽へ 心清める クレマチスかな 
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子どもには驚きだったタクシーの祖父の一言「釣りは要らない」
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雨上がり波音耳に心地好し踊り上手に鳥はさえずる
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額縁を外した名画此処に有り水辺の道で眺める筑波
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乙女葉の 生々の香こう 瑞々しく  むせび漂い  群青埋み 風光る
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春の雨若葉の青さ洗い出す君と帰りし遠き日の道
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放課後の図書館通り並びゆく青葉の下に口数少なく
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図書館に問題を解く君の気配近くにありて単語帳見る
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目覚めれば打ちのめされたような雨 珈琲淹れて フォークルを聴く
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おしゃべりをやめないひとの右上に『✕』がないかと探してしまう
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いいねを求める心理がわからぬ己はわからぬままがいい
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ズンズンと食べ下したるラーメンの 出るを憚り 輪廻に届かず
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禅問答こたえてくれぬメンフクロウ仕方ないからブルマン淹れる
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動いても節制しても痩せないし推しは負けるし物価高のせい
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ちかごろじゃ廻し忘れた洗濯機ぐらいしかわたしを呼んでくれない
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真っ黒から 白へとかわる 途中だと 信じてほしい 薄汚れても
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隔てなき空にふと手をかざしみる誰にともなく限りある身で
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口にして雨が降るなら岩手にも降るよと言ってよ予報士の人
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桜色の蕎麦啜りおり 季節とき過ぎにしも花びら含むよな香り満つ
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​朔日の逢魔が時にとめどなく黒鮪ゆくうねる東京
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赤と赤数秒だけの均衡にしましまを踏むひとはけろりと
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駅そばのホスピタリティに雨の日はスタンプ二倍押されたきもち
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今日ですか?甲羅を干しに出社です。はい、亀の血を引いているので
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たんぽぽの綿毛が少し削れてる僕の心と同じ形に
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物捨てて取り返しつかぬ後悔を振り切り前向く強さを拾う
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サビ残の後ブチ切れて中目黒いづこも同じヒラの酔いどれ(百人一首・七十)
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祟りつくピグモンさんの盛り塩はかつてのカバの儀式なりけり(百人一首・六十九)
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途方にもあらず浮き輪でマラッカへ海図借るべきサメは憂きクマ(百人一首・六十八)
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サルどもと鵺ばかりいるキャバクラで甲斐なく立ちぬアソコ惜しげに(百人一首・六十七)
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