モコモコの クッションみたいに 丸まって  眠る猫の背中 そっと顔うずめ
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『抱っこして』 十年経てば 言わぬのに  してやらぬわれ 今日はしようか  
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玄関の明かりはつけて家を出た ただいまだけが響いてしまうので
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あかつきの たなびく雲を 目で追って  たばこくゆらす あなたの色香 
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頼りなく我のコートに着地する結晶愛でて睦月の終わり
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惚れたのは ゲリラ豪雨と いう状況 線状降水帯じゃ 惚れてねーな
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立ち尽くすスターハウスの真ん中に星がすうっと吸い込まれた夜
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チャリ2台ランチに向かいひた走る 振り向き振り向き息子キミは優しい
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如月きさらぎに 重ねる君の 外套に 常より顔の 小さく見ゆる
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はじまりの 光を浴びて 励まされ 言葉の海を 渡る舟編む
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雑談に 心を乗せる ことできず もっと言いたいことはあるのに
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冷ゆる我が手を握るつまのポケットに 人肌ぬくむ 厳冬の街
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仕事終え 空見上げれば まるい月 残業だけど 月が明るい
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ムチャぶりの手品みたいなお見事は一年たってやっと初恋
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ウヰスキーの酔いのほのかにまわりきてしみじみと聴く前川清
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冷笑と言えば簡単な時代は起きぬけの鼻息で飛ばされた
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スタックし 困っていたら パッと気付き 助けてもらい 次は自分も
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甥が言う「昼の空にクラゲいるの?ひとりぼっちでさみしくないの?」
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君とならシャツのボタンの付けづらさも 知らずのまんまで居れたのに、なんて
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くだらない? 大いに結構 ありがたい 下り無き道 登り詰めよう
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言うとおり動いていたらなじられず 自分のことだけ削り落とされ
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ようやっと自分の道を取り戻す 舵取りしようと奮い立たせる
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お生憎 おいらは天下の ひねくれだ 罵るものとも 笑み突き合わす
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はらわたに焼けたハラミをブチ込んで心身満たし己を冷やす
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「いい子ねぇ」 言われ続けて 癒着した 仮面気づけば 剥がせなくなり/115首達成にちなんで
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まどろみて 名のあらばこそ よびとめむ せめて一夜の 夢で逢はばや
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またひとつひとつと刻む秒針をききながらまだ眠れない午前
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着ぶくれて 靴紐遠き 冬の朝
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雪国の厳しさ少しは知った今春の気配に浮かれもできず
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冬の暮れ 帰り道の香 街ビュッフェ
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