皆を責め 皆を咎めて 皆を見る 鏡は知れど 見るに及ばず
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一年の終わりとそしてこの恋の、終わりが重なる十二月の夜
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一億の「寒い」の言葉をよせ集め渡り鳥にして南へ放つ
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虎の皮 似合うと信じ 風吹けば 間に間に透ける 痩せた誇りよ
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吐く息の むほど 夏が 恋しくて 雪より白い 彼夏かなつの雲が
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諦めて待つことにした信号は他人ひとには駆けて渡るものだった
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ノリノリで ジャミロクワイを 聴きながら 料理は無理だ 床が動いて
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肢体から涙が噴き出る そのような泣き方をして君を忘れる
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たまたまさ でもたまたまが かさなると たまたまじゃない なにかになるよね
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たまたまさ でもたまたまが かさなると たまたまじゃない なにかにならない?
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たまたまさ でもたまたまが かさなると たまたまじゃない なにかになるよな
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くだらない くだらなすぎて おもしろい くだらなすぎて おもしれえなぁ
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善の名で 刃を磨いて 撫でてやる 血の出ぬことを 誇りに思うな
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もう一度 会うかもですが 念のため 二回言っても 良い良いお年
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人の輪に 声より先に 息があり 流れに触れて 名を置かず立つ
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風の刺し霜光る朝到来がおもしろいほどわかりやすくて
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都合よく 私を物と 扱うね 私は彼を ゴミと扱う
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殺伐とした砂漠の中で君は雨水のようにたまって頬を濡らす
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静かなる雪夜にひとり『夜と霧』読みて世界の平和を祈る
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八朔はっさくがおっきな箱で届く朝 フライング気味サンタ姉さん
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夫にもQRコードつけたもれ トリセツ不明で五十年過ぎ
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人狼はいないが皆が「予言者!」と言い張るみたいな弊社へようこそ
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小学生 遊んで帰って 宿題を する姿まさに 平安貴族
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何度目のザ・マンザイをこの席で見たかと数えようにも冬
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鞄から くしゃくしゃ原稿取り出して 夢追い人が また旅に出る
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棚の奥 もち米みつけ 蒸す赤飯 湯気と香りに 気持ちほぐれる
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薔薇色と すみれ混ぜたる 揚羽蝶あげはちょうの 形崩して 逝く夕雲よ
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ヒヨドリの尾がスプーンに見え箸を虚しく握る給食はカレー
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夕立に バッタバッタと 子供たち 縁側囲む バラバラの靴
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取り上げから看取りまでせし医者人生。緩和医療で掉尾を飾らむ
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