青井
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投稿数
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機を織るように縦横組み合わず、つぎはぎ生きる襤褸を着たまま
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怖かった夜が私の居場所になり、太陽が昇る朝を恐れる
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終電がなくても生きて行ける場所いっぱい知っているんだごめんね
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「ハイキング日和ですね」と言いながら山登りなんてしたことがない
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一人でも茄子を焼きます 大根も生姜もおろして端に添えます
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夜ふかしに小腹がすいて冷蔵庫漁り出てくる名残のアイス
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恵まれない子どもにご寄付を願います。10円玉で神になれます。
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ジャンポール・エヴァン、ピエール・エルメより、君からリンツを一粒欲しい
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河川敷をピンクに染めるコスモスの故郷思う東京の秋
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デパ地下でサダハル・アオキのマカロンを横目に見ながらもち吉に行く
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横顔が綺麗な男の正面を見れないままにカフェを退店
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空を見る余裕もないほど働いて帰り道に買う月見バーガー
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秋雨と手持ち花火の残骸で濁ったバケツに夏を置き去る
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甘くても甘くなくても食べるのは自分だけだから選ばず買う梨
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「本当に俺のこと好き?」と問えぬのは漫画のラストを読みたくないから
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若者が「推しがメロい」と言うたびに脳裏に浮かぶ「美徳のよろめき」
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母になるように子も子になりてバニラアイスにはしゃぎ喜ぶ
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明太子高菜納豆卵焼き白米に乗せる贅沢な朝
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ネコのように愛されたいしイヌのように愛したいのに悲しいヒト科
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「ルームシェア物件をお探しですか?」「いえ、男2人で住みたいんです」
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本日の手紙は東京都中野区の星の見えないアパートからです
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台風が過ぎ去るあとの静けさは電池の切れたスマホに似てる
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「一雨が降るたび涼しくなりますね」夏の終わりの時候の挨拶
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レコードの針がすり減るようにあの思いでさえも音飛びしている
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楽しさも辛さも焼かれて灰になり箒で掃かれる人生なれば
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なんで今コーヒーゼリーを頼むかな、別れ話の途中なんだよ
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夏はもう終われどあなたの人生は続いていくよどうか生き抜いて
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思いきりシロップをかけたかき氷皿ごと啜るていねいな暮らし
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「俺よりもいい男なんて居ねえから」それを聞いたのあなたで4人目
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9月から更新されないタイムツリーもう芽の吹かぬ木を眺めている
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