Utakata
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しじみ
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石鹸の継ぎ目を均す親指で私の胸ぐらを掴んだ母
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葬式に誰が来てくれるんだろう。夜中に歩く足には小蠅
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干からびたワカメがお湯で戻る時みたい お風呂でのびゆくわたし
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綿
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の下着へ帰る 「かわいい」と言われることの安心を履く
3
新品のスーツが湿気を吸っている 志望動機の声は潰れて
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ストロボを長めに焚いた 指先で夜の街を破壊する花火
4
風下に立つ臭いに悶えるわたし 風上に申し訳無さげな犬
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最後だと決めたあなたのベランダでくゆらす煙の動線を追う
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成功の途中だと言う君が焼く崩れたタコ焼きは背筋伸ばす
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長袖のシャツの皺を伸ばす昼 雨の切れ間に燕羽ばたく
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いつだって誰かのために編み物をする誰かへ買う毛糸ひと玉
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「この家の律速段階」という父の言葉を枕にして眠る
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地下鉄の蛍光灯が線状に走る 誰かを串刺しにして
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除湿機がサンバのリズムを刻む時、服は地球の裏側にいる。
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カーテンにウランガラスのボタン縫う 光る時はまだやってこない
6
しましまの横断歩道を渡る時現れるマグマ 子供に戻る
7
ここにすると決めた。君の腕からは「どうぞ」の代わりの力がこもる。
4
大雨が洗った空に足跡をつけていく久々の逆上がり
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見返りはいらないって言い聞かせてる サブリミナル善意が安い
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右手から葉っぱが弾ける音がして静けさを知る雨のベランダ
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忘れてていい。忘れないでほしい。と、遠く微かに瞬く恒星。
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東から「こっちこっち」と吹く風が、春の場所を教えてるらしい。
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街路樹の枝葉をトレースする影で、無地なわたしも華やかな昼
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喫煙所 無の顔で煙を吸い込む人にも煌めく時間はあって
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死滅したキラー
T
細胞たちを弔う力いっぱいの鼻息
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洗濯がはかどる天気だ お隣のベランダから微かな鼻歌
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もうやめて!私の
H
P
はゼロよ! 遊びの手を緩めない犬
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もう多分会わない人達の安否が並んでる 何も起こらない春
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なんでだよ 今言わないでよって顔に 過去分詞 今も睨まれている
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週明けの私に託す 週明けの私が恨めしそうに見ている
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