一秋
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初心者です。よろしくお願いいたします。

友の庭 一輪の桔梗立ち 深紫 冷気混じりの 細雨に濡れて
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赫々あかあかと ニュータウンの空 入り日映え  家並み暮れかけ 行く秋静か
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軒の下 銀糸切れそな 虫ひとつ  秋風に負けるな おれの蜘蛛の糸
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風揺かざゆらの 季節忘れし 青い花  今頃やっと 秋の朝顔
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秋障子 畳のへりに 日は落ちて 凜冷の風 素足をなでる
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残光の 黄昏に下る 坂道に すすき揺らす風 はや秋を知る
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今何て? 耳寄せて聞く 老妻の 暗き耳の奥 跳ねゆく木霊こだま
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終の夏 濡れそぼる羊歯 かき分ける 雨音だけの森 水の惑星ほしゆく
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カーブミラーに 陽炎ゆらぐ 草の道 蝉の亡骸なきがらひとつ 静寂しじまに落ちて
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揺れさやぐ 垣根の風に 朝顔の 夏空うつす 青のひとひら
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ひぐらしが ただひとしきり 夕暮れて 山の忘れられし 草の墓しずか
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老母逝き 置いてゆかれたと 泣く妻の 背づる孫よ 焼場の空は澄み
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濡れ燕 狂おしく翔ぶ 雨上がり あかねに染まる 夕暮の森しずか
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落日の 寺にあかね差し 桔梗染む 行き交う人々 逆光ににじみおり
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孫去りて 玩具ひとつが 転がりぬ 誰も居ぬ庭 短き蝉の夏
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軒の端に 夏の夕雨ゆふさめ 降りかかり  待つこころだけ 雨音に冷え  
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水生園 雨煙に紫の 菖蒲群  池面叩く驟雨、 濡れるよ形而下なにもかも
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空は滝 降水帯の午後 側溝に 凄まじき水流みず ふっと呑まれおり
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塀際へいぎわに 咲きし紫陽花 梅雨空の がく濡らす雨 細く降り続き
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夕陽差す 遺棺に君は 一礼す  羽を畳んで 深き鶴のごと
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初夏が来て 病院の坂 登りゆく  浮雲の下に 片隅の暮らし
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花曇り ベランダ花壇に ヒアシンス おそ春日はるひの 青星揺れて
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白黒の にわか雨町 傘の無き さな孤独が 路傍にちおり
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玄関の ぬくき朝の陽に 狼狽うろたえる 老いの肩先 残りし冬ゆえ
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煙る雨 春雷光った 緑野に つかの間浮き立つ 淡き菜の花
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庭面にわもにも 晩霜おそじも降りし 春の朝 土踏む音に 耳立てる猫
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曇り空 人影ふたつ 耕して 静謐の野に やがて春の雨
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年々に 力抜け落ち 箸落とす 老境の つくづくと眺めおり
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側溝の 流るる水を はねるに 魚影揺らいで 春の天つ風
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冬に春 風じりあって 桜月 曖昧ぼんやり わが身しどけなく
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