一秋
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初心者です。よろしくお願いいたします。

冬ざれの 棚田にひとつ 背中あり 人世ひとよなど知るかと 晴れ渡る空
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山裾の 弱き夕陽に 冬の鳥 ねぐら探すよに 舞い上がる二羽
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霜月の 音なき夜に 目覚めれば 夢に冷え冷えひえびえ 冬が寄り添う
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秋深い 病院坂の 空青く 揺れくだるわれは ただ影法師
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降り掛かる 淡き紅葉もみじに 秋時雨 山麓しずかに 色深まり
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秋雨に もやる棚田に 立つ孤影 きみの風雪を 誰も知らない
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さる夜道 じっと月見る 秋蛙 繁殖済んで また行き暮れて
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徒競走 転ぶ孫見て 立て立ってと 叫びつつああ もろき涙腺
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水路沿い 曼殊沙華 群生す 夕焼けのなか 燃えるがごとく
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稲倒れ 畦にかがんだ 田の男 台風過ぎし日 空だけ青く
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山寺の 風にざわざわ 萩の庭 赤紫に 靡く初秋はつあき
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台風が 過ぎ去りし朝 よみがえる 肌に冷たき 初秋はつあきの水
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風はらむ 晩夏の夕日 杉木立 次第に消えゆく ひぐらしの声
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朝風に 揺れる鬼灯ほおずき 眺めてた 蝉鳴く庭に 逝きし人の夏
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耳許に 風鈴の音 チリリンと 熱帯夜ねったいや倦みて 空は朝焼け
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暗がりの 盆提灯の 淡きに 旅立つ人の 優しき面影
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向こう岸 川花火の輪 揚がる夜 轟音遠く 過ぎていく夏
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熱帯の 立秋の空 黄昏れて 変わる夏色 ひぐらし恋し
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雨の夜 雷光のネオン またたく間 夜の紫陽花 庭に浮かびて
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水を張り 棚田に植えし 蓮の花 薄桃揺れて 山の夏空
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草を刈る 面影の父と 山の墓地 夏の背に汗と ただ蝉時雨
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土砂降りに 燕のごとく ひさしから 雨の世界へ 消えていく人
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もう一度 夏空の夢 叶うなら 走れ麦わら 幼き夏の日
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梅雨空の 垣に一叢ひとむら 真っ白に 狂うがごとく 夾竹桃咲き
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初夏はつなつの 子らの嬌声 空にぐ プール開かれし 夏至の青空
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風青し 朝日の沼に そよぐ花 しづかにしづかに 紫陽花アジサイ揺れて
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ベランダの 未明の闇に ひとつ花 くきりとさく 朝顔白く
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夜も更け 音無しの雨に 町は濡れ 窓は人恋しく ぼうっとともりをり
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流れ星 落ちゆく夜を 寂しげに 眠りながらも なぜか涙ぐみ
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巣作りの 燕帰りて 花曇り いつの日かわれ らぬ家想い
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