Utakata
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一秋
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初心者です。よろしくお願いいたします。
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中秋の 満月ひとつ 浮かぶ夜
地球
(
テラ
)
の月明かり 我が苦きを薄めて
4
風揺れの 垣根の空も 澄みわたり 木蓮の実
生
(
な
)
る 秋の入り口
12
診察後 平癒の
兆
(
きざし
)
認めたく 医者の言読む 思いは
逸
(
はや
)
りて
8
若き頃 老人の病棟と 揶揄せしも 病老の待合 今その真ん中に在り
8
かき氷 やけに口冷たき 九月末 残暑戻りて 扇風機帰る日
5
月影の 夜の庭に クコの花 薄紫の孤 ちいさく震えおり
3
水涸れの 草の川原に 降りていく 陽炎の道の下 ふと消えゆく人
4
弱気
塞
(
せ
)
き 遠慮の肩支え 暖かき ひかりへ委ねる 介護の君に
6
夏去りて 風色変わる 夕の路 宵待の吾に 寂し色の風吹く
2
ボケ防止、と クロスワード 始めし妻
兆候
(
きざし
)
埋めるごとく 無言で解く夜
8
旅に出る 切なきイントロ 若き唄 二気筒のバイク 風に乗せし夏
2
アレ、ソレと 指示代名詞 電波にす 仲良き符丁も 老いほろ苦く
9
七回忌 日盛りの夏庭 降りかけて 草むしりの亡父 背の面影
燻
(
くゆ
)
る
6
夜の駅 終電のこころ 行き場なく 破月ゆらゆら 線路の夜空
6
娘
(
こ
)
が
諭
(
さと
)
す なにをとむかつき いや待てよ 暫時待てよと そっと
我
(
われ
)
を脱ぐ
4
書物をば 積ん読にして 砦にす 五畳の書斎 わが祖国なり
6
柔らかき
木目菓子
(
バウムクーヘン
)
の輪 そは重なり
残生
(
ざんせい
)
の
嵩
(
かさ
)
ごとく 惜しみて食む
4
手をつなぐ 幼き
姉弟
(
きょうだい
)
レンズにて ふいに涙滲むは 老いの緩みか
6
横降りの 驟雨を走る 土手堤 心ざぶざぶ 向かふ土砂降り
4
路傍に
陽
(
ひ
)
ゆうべの
糠雨
(
ぬかあめ
)
水溜まり
急
(
せ
)
く足踏めば 青空の波紋
6
子が育つこと 奇蹟に近し 出来事と 小さな手ひらけば なぜか哀しき
3
よろしくねと
提
(
さ
)
げたる名札 朝陽受け
含羞
(
はにかみ
)
眩し 若き介護の人
8
かげろふ立つ 芥の広場 草いきれ 廃
工場
(
こうば
)
の真昼 誰も居ない夏
4
雨夜
(
うや
)
にだけ 痛む古傷 丸まりて うつらうつらと 夜の雨音
11
漂う夏 残暑の
怠
(
だる
)
い風に きみとの記憶 いまは残らず 蝉の
聲
(
こえ
)
しきり
2
茜空 夕陽も届かぬ 奥の間で 頬に冷え畳 秋を見つける
5
薄曇り 水の冷たさ
憶
(
おも
)
う朝 残暑こぼれる 夏の終わりに
5
昼下がり
社
(
やしろ
)
の蔭と 森に蝉 宿題
倦
(
う
)
みし子は 夏草に消え
9
桔梗咲く 細き青の花 床の間へ 一輪に挿す
静寂
(
しじま
)
のかたち
6
幾年
(
いくとせ
)
も
番
(
つがい
)
の鳥ごとく 暮らす日々 向き合う湯呑み いつの日か消えるまで
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