一秋
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初心者です。よろしくお願いいたします。

カルタ取り 取れずに泣く 弟に そっと指さす 幼き姉よ
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寝たきりに なる夢をみた 慄きおのの深々しんしんと積リ はや根雪となりぬ
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老妻の おせち獲り合う 孫達に ずっと健やかにと 祈る新年
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暮れなずむ 急ぎし町の 賑わいも 雪にはならず 冬の群雨むらさめ
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戦場に 泣く児の姿 映してをり 孫抱き寄せる 穏やかさも苦く
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陽だまりの シャッター通り 声はなく 冷たき風が語らう 暮れの町
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過ぎし日の ブーベの恋人よ 昭和のまま 死んでしまいたい そんな日もある
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来る冬の 凍てつく心 暖めたく 晩秋の日向 両手に溜める
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星屑の 流れ落ちゆく 年の瀬に 胸に数える われの残月
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冬ざれの 道の草叢に 麦わらが 落ちていて風に 少し動いてをり
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映画館 出ると通りは 雨の中 時雨の町で こころは震え
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顔寄せて あれは夢だと 囁けり 冷たき頬に 外は雪の朝
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陽弱まり 暮れていく町 息白く かじかむ指に 雪虫ふわり
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晩秋の 昼間のひかり 薄まりつ 風にまざりて はや粉雪の舞ふ
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通学路 日和雨降る ひなた道 学童の声 秋日あきひに落ちて
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霧の朝 落ち葉も濡れる 山道の 上より「聲」が 降り来る不思議
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父が逝き 暑き夏過ぐ 小さき庭 今年も咲きし 石蕗つわぶきの花
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晩秋の 夕暮れ暗き 病棟の 夜間外来 灯りに人のをり
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山を行く アルバムの父 鉈持ちて 山窩さんかのごとく 紅葉の沢に
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寒冷が 空を冷やして 雲高く あお澄むほどに 秋は深まり
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一陣の 旋風つむじ舞いく 駅伝の 野菊揺らして 秋走るひと
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越えていく 雲も見えざる 万葉の 風に雪崩なだれる 紅葉もみぢの峠
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銀杏舞い 舗道の子らは 落ち葉蹴る 襟立つ冬の背 追風のなかに
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足早な 思い思いの 夕暮れの 人の列にかかる 秋雨の寂しき
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この朝に 降るほそき雨 濡れながら 冷気胸に吸い 生き直せしあした
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やがてまた 曇り空暗く 降りかけて 秋雨の舌に 今朝も冷たく
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雲ひとつ 無き青空に 迷い道 すすき野にみちなく 陽光ひかり薙いで風走る
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抜けるほど 青極まる天 玲瓏の はや寒空に 秋くさめひとつ
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濡れていた 私鉄の街角 別れし日 あの夏の小雨に 声もなくわれは
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流れ去る 終電のひと 見送りて 置き去りにされし こころ畳む夜
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