齧りつきドーナツの穴無くしたら冬眠明けの合図としたい
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すきだったリンゴジュースを飲んで はて 喉がかゆいね 悲しいね 冬
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ささくれというより剣山みたいだな わたしの心の状態はこれ
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おわらない深夜営業のファミレスのでかい窓から月と目が合う
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グリコでもパイナツプルでも届かない距離にあなたの心はあって
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運河沿いひとひらの雪ろうそくの灯りで照らし幻想夜曲
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うなだれたネイルサロンの帰り道知らないおじいさんと目が合った
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湿り帯び降り来る雪は春のもの小さきひいなはそろそろ出番
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がらがらの商店街の鯖ひとつ閑古鳥から目を背けてる
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来世では石になってもいいなあとおだやかにねむる君みて思う
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四季失せて色を持たない無季の句の ただ一瞬の春に微笑む 
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しゅわわわわ 溶けかけ入浴剤バブが浮いてくる あったまりな、と急かされている
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梅に来る鳥は本当はメジロだと知らず今まで生きてきたんだ
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キイキイと ブレーキ音は 遠のいて コツコツ残る 靴音だけだ
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あなたとは私ではないあなただと身にしみたなら満天の星
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早春の小春日和の心地よさ天気予報は明後日あさってまでだと
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雨ぽつり 今日も出せない 靴ぽつり 寝起き息子の 頬にもぽつり
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パパの声 もう居ないのに…音声のメッセージまた 聞き返してる
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早朝路地裏に咲く桜と梅同時に咲きて春近しかな
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水玉が消えないと笑っていたら僕の瞳に染み付いていた
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由緒ある竜の子孫の鳥と亀 方や喋りて方や黙して
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声帯を持たない亀も鳥のよに囀ることができれば何を
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きみは舞う崩れ始めたステージのさいごの幕が燃え落ちるまで
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本日の気分晴れのち交響曲シンフォニー、ときどきDJ大根おろし
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開幕戦 勝利の余韻と心地良い疲れに溶ける街の夜景 /帰りの電車にて
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逝きたいと 虚空を見つめ 願う目覚めあさ
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幸薄き 定めの中の 幸せな 数は少なき 思い出集め
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白鷺よ 優雅に川を 練り歩く 早春はるの川辺は ランウェイなり
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乗り換えで面影探す無意識がやになっちゃうねもうすぐ春だ
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明日思い 出るはため息 膿む傷の 流るる 血膿 たまりゆくのみ
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