ともしきは気持ち良さげに飛ぶトンボ 残暑の空を気負わず進む
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頭では食べてはダメだわかりつつジャンクフードをむさぼる幸せ
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鉄筋製無名の墓標に出入りして 今日も市街/死骸の隙間を縫い取る
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足取りが重く進まぬその訳は味噌と人参のせいではあらず
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わたくしの気持ち次第で蝉の声 憂いにも悦びにも聞こえ
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もう一度 堕落きせきは起きるよふたりなら アダムとイブの末裔だからネ
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歌人うたびと担架たんかの空も絶え絶えに 黄泉よみへの一首を思い巡らせ
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AIが「風呂無理せず」と言うならば そうしてしまう自分がコワイ
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物体に宿る記憶に絆されて 季節を幾度見逃しただろう
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夏の夕 もはや長くて 空は澄み 人の長し なほも飽かざり
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さなぎでも愛してくれた君だから空へ行けるよわたしの羽で
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朝方に 風に紛れて 君の声 聞こえし夏の 空がまぶしい
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暮れかけて 行きつ戻りつ飛ぶ蜻蛉とんぼ 浅葱あさぎの空に弦月さがす
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唐揚げを揚げる妻の手さばきにほれぼれしながら飲む缶ビール
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縋りつく愛に未来があるのならルーブルのように綺麗に飾って
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ドア付近 手提げ片手に 揺るる車両 片手スマホに差す 晩夏の陽
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まだ知らぬ 新しき色 映るたび 時を重ねる 愉しみ深し
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庭園の 茶房の呈茶 ひと休み 物価高にて 回数が減り 
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人力車 発明したの日本ですと知った時の納得感よ
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真夜中に舐められるためのドロドロだったの苺ジャムの正体
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三菱商事 風力発電 安入札 再エネ政策︵ちゃぶ台がえし︶こわして つぎ核融合 \その功績でバークシャハザウェイから大投資
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あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの「おじぎやハイボール」
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夕風に首元ふわり髪なびき つかの間のりょう深く吸い込む
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秋色の風が吹く頃コンビニに並ぶスイーツ刺激が、ふふふ
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老三人すこし奢って冷パスタ尽きぬ会話に夕支度待つ
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もちろん服には雨粒の跡 必死で走ったメダルみたいに
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なだらかなこがねの毛並みをなでる風 秋はもうすぐ家ももうすぐ
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朝起きてトイレへ行くとポンと出る もちろん短歌のお話ですよ
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ねぇじゃなく 下の名前で 呼んでよと 叱られ続け 現在に至る
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君が袖 かすめし風に 香をぞ知る よそへし笑みに 心くだけぬ
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