「くるま!」だと指差し叫ぶ子の側の物物に名前がある。不思議
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ひんやりな壁に背を当てへたりこみ夜泣きする子を眺めせしをり
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秋雨の高架の下を飛ぶ鳩のくらくつめたくほそくするどく
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笑う子の在りさえすればの想いさへ十も過ぎれば我忘れなむ
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語り得ぬ愛とはつまり行為なら模範の解を例示してくれ
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短腕をいっぱい伸ばして鳩を追う世界の奇跡は君にあるのだ
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ピットインのチームワークのようであれ我が子のウンチを始末する朝
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今世よ願ひ至も道は無き死なましものと思ひけるもする
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面積の8割君に捧ぐべく寝返りせずに君を見つめる
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冴えてると言われてみたい日々だった柑橘系の酸味のように
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気まぐれなあなたの返信へんじ待つ夜は 楽しくもあり辛くもあるの
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八色の夢を怖がって震えている母の額にてのひらを触れてもいいかな
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もういない 出会ったことは ないけれど 思い思いに 寂しさ溢れ
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朝起きて伸ばした手に染まった気味悪く咲く 朱の薔薇一輪
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抑圧と 規律を与え 従えば ここは監獄 軍隊ですか
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立ち上がり 語らうだけで 叱られて そんな自由は 与えてないと
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命令や 規則を作り 支配する そんな人間 なるんじゃないぞ
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目標は 心溢れる 愛により 喜びに満ち 仕える人に
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親切で 優しくすれば それでよし 人には愛が 必要なんだ
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母子家庭 アル中の父 暴力と 怒号の記憶 なんとかせえよ
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愛情に 飢えてる子供 集めては 規則で縛り 横にもなれず
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共稼ぎ 子供を預け 働けば 不安に耐える 子供らの顔
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学校と 家庭の間 浮かぶ船 学童保育 得体も知れず
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児童から 名前を呼ばれ ハッとする 見らぬ他人じゃ なくなったわけ
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「こっち来て」 呼べばよいしょと 駆けつける どちらが親か ねぇ、猫娘
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車窓ゆく 見知らぬ街に灯がともる 出会うことない 命の煌めき
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いつか来る私も君も骨になるオパールのころ会えたらいいね
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誕生日 君にはただの平日と 重なる針にため息ひとつ
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試験前ペンを持たねばならぬのに 吸い込まれゆくルイージマンション
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草の原 青葉香りし 夏風の 少女の思いは 夢のまた夢
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