抗わぬ生き方覚えし我なれど エアコンは点ける 許せよ、酷暑
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夏季プール 終わりの時が 近づいて 水面を通る 風は秋色
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国道の フェンスに咲きし 朝顔が 夏は続くと 語りかけてる
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愚痴一つこぼす夕暮れ茜空ひぐらしの声みちてくるなり
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耳悪し 二人の人が 電話して 通じているかは わからないまま
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秋ですよまだそんなこと給付金口座ひも付けて待っております
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迷わずに小さな一歩重ねゆき山越えしのち大海ひかりぬ
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諦めぬ小さな声が響き合い国を動かす炎となる
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さらば夏声尽きるまで鳴き続け空へ溶けゆくいのち儚く
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宿命は努力の果ても届かねど運命ならば変えて生き抜く
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「その服がいいね」と僕は言ったけど うっかり腕の 時計をチラリ
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記念日を覚えてくれて燗つける今宵は早めに久しぶりに
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朝月夜夢中夢むちゅうむ覚めし東よりかすかに薫る明日のけぶり
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良き豆がそれぞれの風薫らせて 淹れる悦び溢れる幸せ【後編・店主】
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タヌ猫が そこでおかおをあらってる あめふるのかい? いやいや晴天
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スクラッチ 5連勝中の わが母よ そんなに当たるもんでもないのよ!(本来)
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時刻表 るるぶを携え 小旅行 あのわくわくが  今はもう無い
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爪先もかかとも削る覚悟なくシンデレラの姉にもなれない
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トライアル 見切り時間を 教えます 朝6時から 4割引に
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言葉など無くても れるだけでいい 猫に伝わる 人の気持ちは
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鬼退治行くはずだった桃太郎 僕のお供は「居ぬ」「去る」「来じ」
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庭隅のチョコレートコスモス地味なりて秋の風情に合ふと慰む
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朝6時世間が動き出してない気でいる私早く起きろよ
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公園の木陰のベンチに赤き葉のふたつを伴に秋を思ひぬ
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炎天にミニひまわりは萎れ咲く輝き薄くも我が子と思う
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陽が落ちて 辺りが薄っすら暮れる頃 鈴虫の声涼しく聞こゆ 
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炎天下 アスファルトより 陽炎立ち 蝉の声さえ 重く響けり
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八月の 葬列に並ぶ 蝉達の なき声きこえ うるさいなあ
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「濾過できない思いはやがて結晶に」十代最後の自由研究
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珈琲の香りで巡る世界地図 玉飾りる高原の風【中編・客】
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