大島の つらつら椿 つら椿 命懸けしは 今はうたかた
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夕暮れの 海一点を 観続けて あゝ小笠原 此処から1000km
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雪吹雪 こだまは返らず  独り影 雪のり影 足跡を  振り返り  よるがあければ 雲の海 山嶺に 友現れて 笑顔綻び 茜空 
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「どちらから」「大阪からです」軍手はめマスクをつけて線量はかる
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海岸に近づくにつれ増してくる とりのこされたものたちの声
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築百年お別れですと張り紙は解体予定の家の柱に
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リレーしてはこびだしてる ここに生きもうここに居ぬひとのおもかげ
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ごっそりとえぐりとられた室内のがれきのなかの婚礼写真
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茶を飲めば 鐘が鳴るなり 古寺の 家族と行きし 旅は思い出
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のびをする間抜けな声が聞こえてきて ゆっくり起きるいつもの朝
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朝食に古いのは嫌開けたてを早く盛れよと鳴き止まぬ猫
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唯過ごす 自分を赦す 貴さよ 我が故郷に 秋雨は降る
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栗育つ 自身を守るイガイガの あおき千本 夜露に濡れる
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今日という日付の重さ知りながらただ過ごしゆく自分恥じいる
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親捨てて 圏外逃亡 姉二人 我存ぜぬと 電波届かず
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料金所優しい声の「お疲れさま」今日の私を見ていた如く
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丁寧な暮らしの彼方わすれさる 死んだリップを使いつづける
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空欄はちいさな秋の花壇へと変わる答えに秋桜と書き
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満ちる月すぐに欠けゆく長月が夜長月ならどうかこのまま
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約束を果たす代わりに奄々と垂れ流される白濁の吐息(いき)
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オレにはお前しかいないと抱きしめる腕の中でぼくもと返す嘘は約束に似て
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約束の果たされぬまま肉体(にく)繋げ昂り合えばつかのまの恋
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消印が 消える日が来る 清張の トリック消すよ 点と線をも
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約束の重み潰(つい)える昼下がり代わりになにを差し上げましょう
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わたしは貝になりたい螺子になりたい胡瓜になりたいできればあなたの知らぬわたしに
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ぬかづいた土の冷たさひいやりと今も疼きぬあの日の決別
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信号を待つ車内の屋根を叩く 小人の足音のやうな雨声(うせい)
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「おいしい」が 一番の推し 言葉なり 気づけば明日は 何つくろうかと
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白露に入り「さむい!」と羽織るセーターに妻つくろひしパッチワークも
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茜なす秋の夕暮に佇めば「我が人生はや厳冬ならむ」
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