サラダ記念 二十五歳が呟いた「アレって短歌だったんですね」
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ごごごごと音する見上ぐ柿の木を群で飛び立ち空に散る鳥
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蝉だってこの温度には驚いて鳴いているのか泣いているのか
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ラインして 電話をしても 繋がらぬ 不機嫌なのか 当たってました
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ペタペタと行く先猫がついてきてくっついてくる乗っかってくる/暑い
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なぜ人は死ぬのかふいに知りたれり地球がずっと青くあるため
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そんな気もないのに君に恋をしてきみどり色のシャツがおにあひ
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この夏も仕舞いの市民プールからふわり飛び立つシオカラトンボ
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ただひとつ父想う時カラオケで『山河』歌う時友に知られず
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二時に咲き 五時にはつぼむハゼランの 置き惑わせる桃色の花
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太陽のおかげで生まれた僕だから ずっと君だけ見つめて回るね
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寝ころんで時計ながめる 11 時…2時…3時… あれ?、何してるんだろ
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11羽の鳩が日陰でへたりたる 炎暑に負けぬ花々の強さ
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2回目のレボリューションポッチョン終えて ねこたちは いちじかんだけ べつべつのおへや
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そよぐ稲 青くかがやき蜻蛉つく 思い起こすは母の歌声
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愛犬の右後ろ足を撫でましょう不自由なりに動いてくれて
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この恋は 儚いだとか 数奇とか 形容し難い ただの恋 片思い
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狭い階段を 有って無い日から 目を背けて 3階まで運ぶ スーツケース
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恋は指 愛は爪だから触れていたい 傷つけないけど傷をつけたい
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めぐらせば ああしてこうして くいばかり してやりたいは できるあいだに
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きみいった じゅうねんかんと ははいった いちねんが おなじにかんじ たてつづけの死のよう
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見えねども 秋津あきつゆららにかろやかに 風の季節のおとなひを告ぐ
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一年忌 こんなようきの 日だったか 細部忘れた いちねんのはやさ
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知天命 人生初の四十度 同居の蜘蛛にぼやく午後二時
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街中でただすれ違うあなたにも 愛されたいと思ってしまう
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夏はもう終われどあなたの人生は続いていくよどうか生き抜いて
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ジリジリと焼かれるサンマの気が知れる 路上の我の処暑は名ばかり
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満たされて満たされていく反面で失うものの大きさ未だ知らぬ
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陽に灼けた鏡に映る顔を見て ミャンマー人かと思うときあり
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温帯に生まれたはずの我々は 亜熱帯に住む民族となり
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