寂寞の瞳を伏せて群衆に溶けて消えゆく友無き少女
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風ひとすじ 芽を撫でてゆく夕まぐれ 明日を知らぬやさしさのあり
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庭の隅 見つけたきみ花鋏はなばさみ 泥の深さに歳月想う
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峰々の色づく秋はくれなゐに水くくるらむ天の川浪
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立ちわたる霧より昇る朝日山麓の闇に牡鹿鳴くなり
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黒板を消すかの如し 雲を退疾風しっぷうも止み 束の間の星
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長いこと生きてる気がする 僕だけど。ばあちゃんと並び月を見ていた
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本邦初 それだけでまずええじゃない鉄のなでしこサッチャン首相 (そしてお手並み拝見)
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雪便りついに来たかと聞きながら凹凸に触れ取り出す筋子はららご
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戦時下で 赤毛のアンを 翻訳す アンのゆりかご 余韻に浸り/村岡花子の生涯
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秋風よ それほど強く 吹くのなら 届けてくれよ この想いまで
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物憂げな季節の変わり目明るさが取り柄の人の哀愁を見る
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私のね本当に行きたい所は ビルが囲ったあの青の果て
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ウィンドウズのロゴのようなる窓並ぶアパートが好き この街が好き
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泣かないでほしい 優しさとかじゃなく慰め方が分からないから
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D cup Natural make Anime 声 寂しい夜は OVAだろう
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月極つきぎめに蜻蛉飛び交う黄昏よ ゆれる秋桜コスモス「おかえり」を言う
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結局は カレー改め(しょうゆ)コンソメ煮 厚揚げ入りだよ 梨も食べよう
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お盆過ぎ 出番無くした一升釜 大晦日までしばしお休み
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下足場のむしを拾えばうごめいて掌のこす生のざわつき
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思い切りボールを投げて止められてのぼりとくだり丁度合う頃
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見せたくて寝間着のままで連れ出したやっと芽が出たきみの花壇に
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カサカサとしてる時よりぴちゃぴちゃと冷たい猫の鼻が好きだな
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勝ち負けのない帰宅部も上り坂止まらずに漕ぎささやかに勝つ
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色なき風 金木犀キンモクセイの を乗せて  鼻腔びくうから 秋が始まる
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二ヶ月で吐いた想いが五百粒 砂丘の風にサラサラ消えて
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虫食いの白菜の上のカエル等よ もっといっぱい食べておくれな
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ドリップに迷い迷宮たまに飲むインスタントの潔よいこと
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朝飯を食って寝落ちて午後起きて朝ルーティンを済ますすぐ夜
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川霧のたつみの方にいほりして世をうぢ山としかもなくなり
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