Utakata
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カシオペイア
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九個目の誰にも見せたくない顔を八岐大蛇はひそかに隠す
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予報士は傘のマークを指しながら明日の雨の雨音を聴く
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木がくれたチップとおもい持ち帰るギターケースに落ちたモミジ葉
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星ひとつ引掛けたまま畳まれて屋台のテントが運ばれてゆく
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対岸で影絵になって枝を振る子が口笛で呼んでいる星
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ポーズするショーウィンドウのマネキンは秋を知らずに秋を装う
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どこまでも追えればきっと終わらない夏の国までゆく銀ヤンマ
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朝顔にしらない夜をささやいているようカラスアゲハはとまる
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女王のようにアゲハが巡ってる花壇で花は気をつけしてる
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買ったとき以来開いてない本で忠犬みたいに待っている文字
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一回転してる寝相の悪い子が夢のなかではする星めぐり
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渋谷から田無に帰る人たちが山手線で描く三日月
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背表紙がならぶ海馬の図書室に風いれるため散髪に行く
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灯台のひかりは遠くまで伸びて時折船を光でつつく
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外灯のしたでは戻ってくる影が木登りしたりしてる暗がり
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読書灯つけたまま寝る虫の字が飛ばないようにページは閉じて
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雨蛙座席のしたの鳴き声を森で降りると訳してあげる
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暗がりでホッとするのはこの星の影にやさしく抱かれてるから
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弾くことのない人たちも楽器置く空間がある休日のバス
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乗客を待つ駅員が改札で鋏を入れるから欠ける月
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来る夏に最初に気づいているきみのアンテナみたいに立ってる寝癖
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タンポポにだけ話してた恋なのに綿毛がそらに拡散してる
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白魚のように細くて華奢な手のきみが言葉で掴む胸倉
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麦わら帽お地蔵さまがかぶってて窃盗犯の風を見逃す
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