Utakata
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ツバメ画報
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透明なピアノのように指先でアストリッドが弾いているパリ
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ページ繰る音を葉擦れの音として聴いてる初夏の図書館は森
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すこしずつ鳥の居場所を増やすようにニュータウンへと延びる電線
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振り向いた名前で呼んで餌をやる昨日はヒロシだった野良猫
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電線の補修工事をする人の乗るゴンドラが掬う春風
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人生は重き荷を負う旅と言う人にはキャリーバッグを勧める
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絵が好きなあなたなら絵を乗り越えることのできない壁にも飾る
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健やかに一日を過ごしたかどにより安眠という牢屋に入る
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食卓に朝を届けてくれるからクロワッサンはさん付けされる
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撒いたあと歳のかずだけ食み豆をわたしのなかの鬼にも投げる
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後ずさる子犬のようで自販機のしたの硬貨に手が届かない
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すこしだけサドルをあげて来年のぼくの視線で走る自転車
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ご主人が乗ってる銀河鉄道を待ってるように空を見るハチ
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眠りつく象が瞼を閉じるようにバスがライトを消す営業所
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当てのない旅をしたくて乗るバスが循環バスでまた駅に着く
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九個目の誰にも見せたくない顔を八岐大蛇はひそかに隠す
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木がくれたチップとおもい持ち帰るギターケースに落ちたモミジ葉
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星ひとつ引掛けたまま畳まれて屋台のテントが運ばれてゆく
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ポーズするショーウィンドウのマネキンは秋を知らずに秋を装う
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朝顔にしらない夜をささやいているようカラスアゲハはとまる
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女王のようにアゲハが巡ってる花壇で花は気をつけしてる
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買ったとき以来開いてない本で忠犬みたいに待っている文字
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渋谷から田無に帰る人たちが山手線で描く三日月
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灯台のひかりは遠くまで伸びて時折船を光でつつく
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読書灯つけたまま寝る虫の字が飛ばないようにページは閉じて
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