時間切れ
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投稿数
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うすぐもり 南風吹き 水面の明かりが揺れて また一つ消え
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夕焼けの 写真を見せてくれるのを ラブレターと呼んでもいいかな
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すりガラス 青い教室に一人 ペットボトルの 水面ピクニック
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〆切に泡立つ心にも慣れて 眠気を焦がす 温度も忘れ
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黒い窓 底の知れない暗闇に 静けさを見る 週末メトロ
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まっすぐに歩けているかと振り返り 足あと丸く 堂々巡り
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待ちぼうけ からの重りを 外せずに 靴に水染み 沈没間近
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擦り切れた あの日をたぐる白昼夢 記憶も今も 褪せて立ち消え
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発泡スチロールのふたにしっとりと 寝ころぶ背中 バナナ一房
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ため息を吐き出すこともままならず シャツを引っぱり作った余白
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八切りのスイカビニール袋入り 腕を伸ばして 二人して秤
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風吹くとざわざわ蠢く古傷は ついたかどうかも忘れてしまった
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躓いて踏んばることもしなかった 暗やみ坂を転がり落ちて
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歯ぶらしを噛み押し殺すあくび眼をつぶるとまぶた熱い弧を描き
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冷え切ったベッドに沈む体温に 錨を下ろし 今日のはじまり
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白い日が行き交う車に反射して 影分身が消えて現れ
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願いが叶ったことはあったろうか そもそも何かを願ったことは
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さよならを音にできないままずっと 冷凍庫にいる 次会う日まで
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うたた寝で時間を渡り歩く朝 まぶたがスイッチ タイムマシーン
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レシートの裏に書くメモ 初めから二度と見ないと知っていてなお
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地図に触れ ひんやりとしたあの夜に 橙色の灯りを浮かべ
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キッチンの明かりを目指し 着衣泳 雨音止まぬグレーの昼間
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長雨でぶよぶよにふやけた空気 蹴散らし歩け 黄色いブーツ
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指先で消してしまえる仲ならば 消しておくよ早く寝たいし
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いかづちのようにガラスに走るひび 脆い足場にただ立ち尽くし
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蓮の花のぱきりとした白い角 アメンボ追うあなたの横顔
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空腹と同じ重さのカバンには 空の水筒 ペーパーバック
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朝がたのミルクティの温もりに まぶたを閉じてすべり落ちてく
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いっそ極悪人であればと思いもしないことを呟いてみる
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亀よりもおそく歩いているらしく スタートラインも見えない未だ
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