イチオシの洋菓子店に糖尿が行けるのは妻女子でまた留守
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五本指広げ続けた貴方の手 五ではなかった今日を忘れぬ
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別れ話の前に宇宙のはじまりから全部説明して
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雨に濡れ交わす吐息と体温と胸の高鳴りまで混ぜあって
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おやすみと 言えないことの 寂しさを 瞼の裏の 君には言えず
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光る窓ガタンゴトンと橋の上暗闇の中音も消えてく
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献血の葉書届いた水無月や いざゆけ涙になるその前に
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またねって 君が言うから 生きられる 明けないかもと 思う夜でも
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夢に行く前に言いたいことがある 今日のお昼はカレーだったよ
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「灯屋くん」と呼んでた人も いましたね…戻って来てね#俺たちの灯屋
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灯屋さんいつでも戻って来て下さい 見習いたいです向上心を
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目を閉じて まぶたの裏の 模様見る やるべきことは 他にあるのに
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変わりえぬ自らという器へとせめて色とりどりのドリンクを
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「頑張る」と壊れた膝に声かける 「頑張れ」よりも力が入る
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手のしび れ膝の痛みは高齢の誰にでもある君だけでない
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水無月もスペシャルブレンド買いもとめミルに掛ければ黒南風くろはえの吹く
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燕たち みな巣立ちして からとなり 夏の空へと 羽ばたいてゆけ
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文字の波寄せては散って繰り返し クロスワードの三十一みそひと文字は
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おとなひしドーム薄暮はくぼに影となり 人類ひとはなぜ学ばぬのかと問ふ /ヒロシマ
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里帰り おとないくれし級友ともたちと角の取れたる語らいやまず
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雪残るポロシリを背に広がりぬ時田農場哥の種芽吹く
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近所の子だんだん敬語を使い出し 成長見るも淋しさ覚える
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日が暮れて くしゃみ一つで思い知る まだ本当の夏は来てない
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好き嫌い嫌い嫌いと言ったとて どうせ明日には枯れているのに
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生け花をしないと出られぬ部屋ならば 私は迷わず向日葵を挿す
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夕闇の 𠮷野まちもとどろに 夢を見た あの日の少年 今も胸の中
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恋人と別れたのちの朝方の空にでっかく「HELLO WORLD!」
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靴を履くまで忘れていたけれど 鏡に映ったパジャマの私
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最終日 御破算で願いましては裸足で飛び込む春の先へと
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延長を 制せなかった青春を 深く染ませて 明日は笑顔に
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