三日月の裏側を知る人だって私の心の内を知らない
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隅々のあまねく鳥の翼にも何処に行くかは分からぬもので
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避暑地ひしょちかな 北海道も 最近は 三十度さんじゅうどなら めずらしくない
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ベルリンの金メダリストも泳いだと誇られし川我らが故郷
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新盆に「亡夫はいつでも家にいる」と言う姉の豊かな菜園
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カーテンを開け放ちたればきらきらと光る水面に泳ぐ水鳥
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「三日月」と子供のように単純に キミが指さす「そうね」と頷く
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今日も生き延びたと一息つく 首筋をなでるアラーム音
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気軽には「いいね」しづらい本音こそ「いいね」されたい「知り合いかも?」ね
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子ならぬ義父ちちかすがいわが夫婦失って気づくその大きさに
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宵空に傾く月の儚さよ を追うがごとあかく沈みぬ
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父息子母の悪口言いながら絆深めし夏のお風呂場
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君いつかデートで来るのか想像す 家族でプールよみうりランド
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「がんばれ」はもっとも優しい「見捨てる」の言い換えだけど、ぼくはがんばる
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「陰謀論」の「ろ」の字に母の姿 思い出の腐食
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涼やかな 大三角の 空の元 彩り変わりし 小さき花火
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ガンタンク コマツかタダノでも作れそう 集客力に疑問はあれど(ガンダムかるた)
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感情を殺し続けた血の海でぼくらは泳ぎ続けるだろう
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ボールをもモビルアーマーにカウントす 寛き心を持つべきかどうか(ガンダムかるた)
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金龍も情報量に迷い舞う 過多な街並みこそ暮らす価値
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向日葵が「あなただけ見つめる」君の墓場にだけの咲いている太陽よ向日葵の花私は君の言葉は確か…「憧れ」だから
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熱風とアスファルトから沸き上がる地球人作「破滅の刃」
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溶け出した氷の底に煌めきとその日暮らしの私の哲学
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ローリング酷い無様なクロールで500メートル泳いだあの子
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泥濘の河亙りみな殺められし。ひとつぶの石骨壺へ収め
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夏草へうづもれゐたる兵數多。骨晒れて芥子色の帽垂は
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知らぬ間に過度な期待をされる君 しかしそれすら一足飛びで
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娘等こらからの花とワインの誕生日 約束するよ 三十年生きること
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季を跨ぎそれでも尚まだ君思う 楽しかったね、全てのことが
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苔の生すへ、軍は果てて死ににけり。夏虫の絶ゑしかそけさ
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