青空を、早く見たいと鳴く鳥の、振り絞る願い、梅雨明けを待つ
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髪白く 歯は半分に 皺は増え 鏡に映る シルバーの顔
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仏蘭西の カフェのようだね カフェオレと めったに買えない 良いクロワッサン
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見おろせば いずみ湧くよに 亜麻の花群かぐん 果たされた ゼンセの約束
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散歩道出会うワン公目をそらすこの杖嫌いと言われてもなぁ
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始発はいつも満席、わたしも含めて、みんな何処へ何のために働きにいくのだろう。
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若造よ やらかしたわね 今言った 言葉後悔させてあげるわ
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しとしとと 降るから雨は素敵なの 梅雨前線 悪さしないで
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消防車 近づいてきて 遠去かり 外赤くないね 不安にしないで
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タヌ猫は みんな起きたと喜んで クルクル言ってる 朝じゃないのよー
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また深夜 母と時間差 ふと目覚め お互いっこに どうしたと訊く
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ダメ出しをされりゃ意地でもなんとかね期待に答え期待を超える
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降車ボタン次とまりますもうそろそろ私の居場所がそこにあるから
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嶌原の大門抜けて銭湯へ髪が冷えた君を待つ私
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君と私互いに写真を撮りあって今日の思い出形に残そう
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眠いなぁ君がつぶやく朝方に二度寝でもしてすっきり起きよう
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強烈な不安に襲われ歩き回る助けてください助けてください
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君が飲む風上から吹く抹茶ラテ顔をしかめる私は苦手
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いよいよ明日君は居場所に戻るのね私の横には誰もいないの
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真夜中にさみしい歌を呟けば君が見つめる私の目元
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昨日今日ロマンティックが終わる時残るは私1人だけなの
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欠伸をし目を潤ませて君を見るなんだか君が遠く見えるよ
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いつの日かわたしたちのことわかつのはあの日乗った特急列車
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たくさんの木に人間がしがみつく「それは猿だよ」で片付けられる
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「いま外に女の人が来ているね」急に夜中に母が言い出す
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服の色肌の色まで紫で「なんでそうなの」となぜか訊けない
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アパートのドアを開けると一斉に羊の群れが僕を見つめる
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あなたには善意は見抜けないんだね確信があると勇気が湧くね
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安らげる場所はどこにも無いらしいナイーブすぎる気付きではある
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囁いた おやすみなさいと 母の声 ぐっすり眠れる そんな気がした
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