人間の黒の部分が嫌だから濁ることなく透明になれ
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お詫び状ラインしなくて良いけれど返信欲しさに丁寧に打つ
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吹雪く和歌師に褒められる有り様に心ときめき言葉うしなう
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まっしろの「っ」と「し」の間にしかいない呼吸未満型余白を愛せ
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一切の罪を犯さなかったという証としての青色免許
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また春が来たから会いに行ったけど君が遠くて一人で帰る
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夢の中 思い出よりも鮮やかに 寄り添う君を感じていたよ
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懐かしい 好きな曲入れ 文字もじ手書き 当時のベスト カセットテープ
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春の嵐 窓を揺らす 風に 湯船に浸かる 溢れる水音
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進みそうで進まないちょっと進むけどまた止まる私みたいだね仕事
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灰になり墓石の傷になるのなら 何をするのも意味などなくて
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楽しいとやりたいのだと思へども 意味はあるかと母が訊ねる
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お腹にもたれ あたためてくれるチビ猫や 亡き長女猫あのこもそこ定位置だった
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暗い部屋で 灯りを付ける 少しだけ この静寂がよるのしじまが ちょっと苦しい
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最初はじめから 君は僕の ずっと前を 走っているよ 君は素晴らしい灯屋くんよ
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君にしか 詠めない歌が 美しすぎて かなしすぎて 灯屋くんよきみのほうがすごい
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雪国の 出身と言ったって 寒さには めっぽう弱い 南国が好き
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あの壺に収まってもまだゆうれいできみが永遠にあたたかいのだ
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今さらと 思わずドアに 手を掛ける 未知の世界も カギは開いてる
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ほしづきの中にあなたを游がして夢さえ見ずあす、会うためのうた
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人、ものが 多すぎている 知りたいし 知りたくないし ただ寝てたいし
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桜餅 春の残り香 指先に かすかな塩気も 愛おしくなる
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卒業日ピースサインのまんなかに剃刀はさんだ笑顔でバイバイ
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数ミリの隙間だらけのひとなので揺れにはつよい だけど、それだけ
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にわか雨フードかぶせて小走りでかぶせては脱げかぶせては脱げ
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交差して 別れて進むキミの路 見えないけれど 振り向き思ふ
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友帰りポテトチップス食べようとパーティー開きしかけた両手
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小さくても 作り出すその 0→1ゼロイチが 邪魔な理想に 近づくようで
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何がイヤ わかんないけど なんかイヤ 満たされないその 感覚だけが
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瓶底に虹を見つけた銀色のシンクに溜まる休日の夜
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