袋から胡桃を探し胸に当て浅い呼吸を想像してる
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誤って落とした卵は床となり監督不行き届きの両手
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人肌の温度の柱だったなら抱きついてしまいたい帰り道
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恋心 甘い部分が溶け焦げて 固まりできたハートのキャラメル
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開墾を自ずから成す亡父がいた その地を耕すすえはおらずや
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アイデアは降ってこないよ凡人の私の頭産みの苦しみ
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朝八時に起きられるかってのゴミ出しに家庭の予定が規定されてる
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この雨にあなたは濡れていませんか 寒い思いはしていませんか
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キミが「おはよう」と打つ四時二十分 早すぎ でもね ほんとありがと 
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明確にあわせた足裏の熱だけで涙が出そうな昼だったのに
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雨は降る 蛙も屋根も猫も私もおなじ世界にあるというだけ
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私にはできない、しない、そもそもが文化的とは言えない不倫
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夢を見た 花野を軍靴が踏み躙る正夢にしないための命だ
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返信を期待しないは嘘だけどその返信さえ消去する指
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不必要なラインメールは控えます。自制するため送った言葉
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また逢う日くると信じて眠りたい あの方この方 どうかお元気で
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生きている その足跡を残したく おもい紫煙と短歌にふける
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悲しさを堪えることは大の苦手 じわじわ押し寄せまだ眠れない
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うたかたのライトハウスの光なり 貴兄に感謝 さよならなんて
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留守番が苦手な猫の大袈裟な「おかえり」で また明日がんばれる
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梅雨入りも 僕の吐息は白いまま 冬のいつかは まだここにいる
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冬用の ズボンに灰を落としたら さいごの洗濯に連れていく
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Utakataのただそれだけの繋がりも さよならこんなに悲しいなんて
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ちょっと待て事態を上手く飲み込めず 5月最期の今日の日憎む
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やなことは折り紙にして折っちゃって 紙飛行機で飛ばしちゃおうよ
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灯屋様 最初にここで短歌うたを読み毎回楽しみで…さよならなんて
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生きてれば理不尽なことだらけだし いいよ飲んじゃお ほかほかココア
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切って捏ね包んで焼くが手間なのか 私は好きだ 餃子作り
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お湯呑みで過ぎ行く桜茶はるを飲みほして 祖母が縫うのは鬼灯ほおずきの浴衣
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海原に注ぐ珈琲 水よりも重いものだけ沈むさよなら/皆さんまた逢う日まで
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