何ものも虚しく思うこの夜は 仏教辞典を抱きしめて寝る
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ユニクロで試着室から眉毛無い顔だけ出して店員を呼ぶ
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閉め忘れた窓に気がつく室内に雨の匂いのこもり始めて
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虹みたく空に想いを描きたい 遠くにいてもつながる気持ち
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疲れた〜と 湯船に潜り 笑みこぼす 呟く元気 まだあるじゃん!
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愛などを傷つけるために使うのは『愛』と間違い並べる武器だ
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メッセージ打っては消して消しては打って 伝えた言葉は「お疲れ様」
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泥の中 見事に咲くは 蓮の花 ままならぬ世に 光差す日も
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頬に触れる 風のように やわらかく 笑うあなたは もう居ないから
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主人あるじ待つ薔薇の赤みの増すほどに空き家の庭に秋深まりぬ
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つぎつぎときみは幻影の鳥たちに色を塗っては彼方へ放つ
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ナマケモノ スローロリスもスローなり スローの奥義を極めし勇者
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十四年震災後 小さな骨箱 抱く母を 我に置き換へ ゆるむ涙腺 /今日のニュースより
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涼しさとともに意欲の戻り来て秋の夜長を満喫しをり /趣味三昧
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10年後 きみはいるかと 思い馳せ 頬を撫で去る 冷たき吐息
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よろめいて霞のかった門の先 傷つかぬよう密かに生きる
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健康が不良なくせにおおかたの知らないものに怯えてしまう
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しょうが焼きには お約束のオールフリー レタスサラダには マヨで決まりぬ
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気付いたかな会話の隙間がとってもながいの 認めたくなかったけど
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全て終え最後に残る問ひとつ己をどうする残る断捨離
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トラックはかぼちゃ工場へ町中はハロウィンかぼちゃの飾りがあふれ
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時をまぜてのばしたらどんなゼリーができるだろう苦い味かな
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幾度かの氷点下の朝も厭わずにマリーゴールド色も冴え冴え
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明日の晴れ 夏物洗う 淡々と 夏の疲れも 洗い流して
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虫すだく夜を歩けば昨日よりかぼそい声に秋は深まり
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雨間あまあいの日差し 窓をば開け放ち 深呼吸 秋雨の残り香
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白湯を飲み震えるだけで陽が暮れて 今日の私はいないも同じ
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吹けば知る通り過ぎてく風暦巡る季節のはじまり告げて
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散り落ちて 藤むらさきの葛の花 成り代わりたいわけもなけれど
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ひからびた言葉をぞそぞそこすっては何か生まれろ呪いと祈りと
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