渦のあと(五)もうきっとここには居ない 灰だけが残った灰皿 鈍色落とす
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静寂の夏を歩みし夜の道 町の灯りを花火とぞ見つ
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忘れ得ぬ 花火の色に照らされた横顔も その浴衣の金魚も
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エネルギーアイスクリームで摂取する整う日々の夢に届かず
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夏なんてアイスクリームで事足りる私ヘップバーンじゃなかった
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刈ってから大分たつが雑草もおがりはしないひでりの夏に/おがる=成長する
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駅からの商店街のお祭りは店も閉じててだんだん寂れて
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夏祭り よりによっての 嵐中あらしなか 早き空晴れ 我願いたり
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楼閣タワマンが できて久しの 盆踊り 嵐の神の 諌めなりしか
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高台に登りて見るのは花火なり 夢の洲大阪・関西万博にも同時に上がった
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人混みの中で文庫をすこし広げつつ 出勤途中の快速急行
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雨降りの花火大会場所取りはてるてる坊主鎮座していた
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空を飛ぶ羽があるのに君はまだ僕の隣を歩いてくれる
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ただ明日を 全力全開 楽しむの いまはそれしか考えられず>盆踊り
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デジタルの 波に溺れる 人間を 月の灯りが 優しく照らす
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蝉たちはすぐに鳴き出す雨上がるこだましていく生命いのちの音色
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自転車に2人乗りして怖いもの知らずだったねあの日の僕ら
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君想う異星人いるやも知れぬ宇宙一好きよりさらに好き
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僕が部屋で何をしてるか知ってるの 壁と家具とスマートフォンだけ
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19時に 厚めのカーテン サッと引く 昼と夜との はざまの神秘
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ねえごめん少し嬉しいだめな君私がいるとましだって云う
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鮮やかな民族衣装の踊り娘に一番多しアンコールの声
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耳馴れぬ単語が次々飛び出してスマホショップの店員の笑み
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いつの間にどこかで祭りの音がする我は今年も置いてけぼりに
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アレルギー持ちたる友は月の女性ひと日差しを避けて夜のみ動く
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羽化をすませた子たちから順番に背中の羽をむしり取られる
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動かないスマホを三日やすませて読書決め込むアナログ日和
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仕事でも息抜きでもない鉛筆を握って短歌を書くということ
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久々に開いたインスタ楽しげに笑う人々真顔で眺める
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空気より隣にあれと願うのは君よ寄り添って息苦しくても
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