昼の熱 冷ます夜風に揺るるもり あかき半月 帰路導けり
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点滴の針が刺さった腕を撫で優しくなれた四季の無い部屋
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夏の雨アスファルトの上叩きつけにぶい油の匂いただよう
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カッコいい ご批難覚悟で言うけれど ヒデキにショーヘイ重ねてしまう
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やってもた罪悪感や半端なし いえ系ラーメン汁まで完食
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うそぶいたしるべは四方嘘だけはつかず手を引く君だから追う
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まつげ伏せ幾度も撫でるやはらかな愛犬の眉間思ひ出す夜
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音を聴き 姿を見ては跳ねていく 鼓動ひとつもままならぬ日々
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誘蛾灯場末のハコで手招いている半年前の季節限定
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頭頂にペットボトルを載せた爺 ヘン を突き抜け 笑顔はじける
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一身にその執着を浴びたくて ささみにちょっと嫉妬している
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もしかしてもしかしなくて夕暮れの電車はきみの駅を通過する
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ジュンク堂3時間居て本買わず避暑長居してごめんなさいね
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雨催あまもいや 泣く子も黙る如 はたと止む蝉時雨 灰色の空
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お守りに買ったエメラルドのピアス きみだけがいない信仰あいしているのに
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お母さんここにいますよ黄昏る国の涯の愚蒙の端に
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虚しさを悟れることも相違なし大悟たらしむ歓喜も共に
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「何食べ」で見てから 一度はやってみたい レタスのしゃぶしゃぶ 夏でもいいかな
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本棚の裏から出るなと言ったのに出てきた蜘蛛を叩いた今朝
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紫陽花が隣同士で違っていてテンポみたいだテンポみたいだね
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栞を挟んで開かれるのを待つ それは他の誰かでもいいしあなたでもいい
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ホームから街行く人を見下ろせば私もいつも見られてる人
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野花なら摘めば枯れるか夏薊なつあざみ花あるうちに君の指先
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人間は 成長すれば 神となり 野獣になれる 選びの極意
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人として かわいい子らを 眺めれば にたにた笑う やばい爺さん
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一か八 やってやれるか 試しては 怒られるまで 続ける輩
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面白き ことを考え 真夜中に 起きて一人で にやっと笑う
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冷房を ガンガンつけて 容赦なく うだる暑さを シャットアウト
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夏休み だらりとしたい 子供らを 集めてしごく 学童地獄
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他人の裏 反対ばかり してるうち 核心触れる 扉を開ける
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