豪雨にて 庭先にいた 蟹を飼う 今日もぷくぷく 彷徨い続ける
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睾丸に メス入れ取り出す 精子達 妻に着床 喜びひとしお 
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自転車で横切る誰かの柔軟剤 わたしの「会いたい」上書き保存
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人間は考えるあしの意味知らず 調べつ歩く葦の水辺を
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漸くに 降りし秋雨明け方の 雨樋の音秋近づきぬ 
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10年間 寝る間を惜しんて 漫画描く あのバイタリティが 私の誇り
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検診を 後日に控え アルコール 薄めて呑む日々 今夜も眠れず
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午睡→夜勤→午睡→夜勤→午睡→夜勤→午睡→夜勤→永眠→夜勤
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歩みゆく 道に迷いて ふと気づく 遠回りこそ 景色は深し
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障害で 恐らく将来 働けぬ 息子の為に 日々倹約
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新しいアイデア浮かんで膨らませバルーンねじねじ仕様しょうがない奴
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くる夏を、煩わしとぞ思ふものを ゆく夏を惜しむ また逢ふ日まで
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あなたには わからないわと 言い放つ わかってほしいと 言えばいいのに
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閑麗な、あの子がバンドを 始めた、と。夢で会う時はいつも あの頃のままで。|霞
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アメリカは十三時間時差があり今は静かに寝ているだろう
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夕立を横目に氷菓アイス、咥えつつ かず夏期講習の教本テキスト
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あばずれも秋田おばこに見せようぞいずこの母もどこぞの母も
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髪を結い田舎手踊り装束の娘は偽装清純派女子
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ひとつだけ プチプラ贅沢 買いました ウエディングデイ、といふ名の香水(500円)
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幽霊もこの言霊も信じぬが 叶える霊があなただったなら
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葉の影が可憐な花より前出でて朝顔の花夕顔となり
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手をのべてぼくがあなたに触れたとき酸素不足だこの世は鼓動
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体育館 空調ない中 ボール追う ママさんバレー パワー溢れて
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大人しく 寂しく見える 豆柴に 哀愁感じ 心痛めて
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貧乏は 味わうものとの 名言に 節約生活 これまた楽し
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十六夜の月に照らされ我を招く秋の夜桜あなたを思う
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冷房を停めて窓を開けようかそう思わないうちはまだ夏
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長月の 街にとどろく 雨時雨 まつのむしとの 四重奏カルテット
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アスファルト 雨の匂いきざしを湧き立たせ 電信柱 家まで5本
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塩味の飴を好んで舐めながら散歩するならまだ夏なんだ
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