不機嫌の極みでお鍋煮る日暮れ自分を戯画とまじないながら
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巷間も人間ひとの様子も変わり果てトロンボーンの音色聴かせて
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階段の登り下りのすれ違い死と淋しさは共有出来ず
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漂流の身には旅路の果てにあるあかい陽だけが見つめ得るもの
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蒲団敷き溜め息一つ思うのは 今夜は何回トイレに起きるか
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「かわいい」か「おいしそう」なのか 鳥を見つめる君の分岐点
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鍋〆の太いうどんで胃を温め 古ストーブの青い火を愛で
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冬用のおそろいスリッパ買いました 季節の支度のわれの楽しみ
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できれば助けてほしいけど どうせ無理だから別にいっか!
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へし方「社長」と呼ばれ せた方「先生」と呼ぶ 昔の夜街よまち
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涙ぐむ理由がこんなにあるなんてあなたがいなきゃ知らなかったわ
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いつの間に「お母さん」とはわたくしのこととなったの覚悟もせずに
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本棚の隅に追われた英和辞書 学生時代の手垢残りて(年末掃除)
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お正月帰れぬ吾子へせめてもと お菜並べて 居酒屋『おかん』 /家族で忘年会
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お日さまを寿ぐような鳥たちの合唱うた朗らかに冬晴れの杜
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一日は初詣だぜと友が言うそのおみくじはきっと大吉
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冷えきったつま先揉んで屈伸し炬燵の中はとても暖か
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冬空に オリオン光る 寒さゆえ はく息白く 夜空に消える
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闇の中光が横を流れゆく僕も一緒についてゆきたい
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病む祖父を 憂う私の 心情は とみなりなほる 健やかなれよ
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コンシーラー 全てを消して 真っ白に 私が隠した あの日のピンク
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それぞれの 想いをかさね 同期会 セブンスコードの 静かに響き
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泥の雲 掃きて清めて 拭い取り いだきて見たき 月のかんばせ
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暗くなる 便所の中で 腰掛けて ひたすら動いて センサー認めて
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うたをよむ余裕があるならだいじょぶね良い娘さんだなぁまんまるさん
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「各停」を待ち 通過をす「急行」を見送りぬ 木枯し吹くホーム
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流星群 師走の空に 願い投げ くる年にまた 降れと祈らむ
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アマリリスと見紛うほど大輪に咲きし花瓶の百合は微笑む
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アドベント 残りと期待 反比例
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朝の友 赤らむ耳や 寒椿
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