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歌人の夢や日常つつみ込む漫画を誰か描かないかな
11
ぎゅうぎゅうに 詰め込まれたる 車内から 助け求める 歌詠んでみる
15
ご無事でと 見送る背中 けし粒に ただ恋しくて 目をこらしつつ
9
紫に朱の差し色や宵化粧 峰みねを染め月を待つらむ
19
好きでした、が言えなかった。だってさ、私と同じ女の子だもん。
9
膨大な宇宙の隅の午後
7
時 はちきれ客車で吾すしとなる
17
青天の
霹靂
(
へきれき
)
空
(
そら
)
を引き裂いて
迸
(
ほとばし
)
る雨 夏押し流す
22
還暦を前に思案すボーダーは卒業かしら継続かしらと
29
向日葵の種の落つ 残暑は座る 秋の
領域
(
テリトリー
)
より 去らぬ夏
19
あの雲の動きは僕ら
地球人
(
ほしびと
)
の末路を知悉してるのかしら
13
シロさんに 副菜のヒントは いただいた きのこのスープ いっちょあがりだ
15
ネジ切りで溝を直して嵌るネジ広い心が大切なのね
13
豪雨にて 下校停止と アプリの通知 体育座りの
8
歳を思う
15
行き会えば会うと見る間に立ちゆきてしばしも留む微かの羽風〈オオスカシバ〉
10
わたしから距離を取りつつ付いてくる月に過日の処理を任せる
8
優しげな光の中にいたいのに星のさらめく消えない迷路
6
生きることが肌を掠めて溶けていく見るともなしに灯台を見る
6
格安の歌人講演生穂村倍払つても行きたし穂村
13
ひとつきを言葉に憧がれ生きむとす来月穂村弘来県
8
「え?消える」不思議なゼリーのおかわりを大盛りにしたよく居るおばちゃん
17
口の中で消える魔法のゼリーなど反応見るのが楽しいんだよ
16
筆先の獣と戯る清書かな文字の本能あるべき場所へ
13
金婚の祝い兼ねたる小旅行ふじやまビールにほろ酔う君は
20
五十年丸めてポイと捨てるよに金婚旅行の部屋の屑入れ
18
健康の ために始めた ウォーキング 実る柘榴を 目印にして
14
青き春 すべて
麗
(
うるわ
)
し あの日々は 記憶の中で なお美化される
11
豆乳で いちごのビスコ 食べたなら また寝ていいよ 体温高い(眠い)
19
秋の雲今はもうなき酸素室 命の音がまだ耳にある
14
秋雷や 川崎の馬場 ぬかるみて 人も足場を また取られたり
10
ラムネ瓶 淡き水色 透ける夏
鬱憤
(
うっぷん
)
たちが 泡と消えゆく
9
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